『ムクロのごとく!』Sample変態紳士降臨!? ※表紙↓ ![]() [内容] 骸ツナでヒバツナの三つ巴アリ、総受け気味の執事パラレル。 ※サンプル1↓ 都内某所の豪邸の一室・・・ 今日も、穏やかな朝が訪れようとしていた―― なんでこんなことになってんの!? 「綱吉坊ちゃん!僕の方が似合っていますよね!?」 骸が拳を固めて言い募る。彼が動く度、ロングスカートが揺れる。 「君、言ってやりなよ。このパイナップルより僕の方が綺麗だって、ね」 雲雀はすました顔だが、トンファーをちらつかせている。おそらく、彼を誉める以外の行動を取れば即座に咬み殺される。確実に。 「いや、あの、そのぉ…」 正直言って、どちらも似合っていないわけではない…ソッチ方面のお店に置いたら需要がありそうだ…が、男の綱吉からみて見惚れるほど美しいかと問われれば否。 むしろ寒い。というか、鳥肌が治まらない。 もちろん、正直に言えばどんな仕打ちが待っているか分からない。 だが黙っていると、骸は勝手に解釈する。そして雲雀を糾弾する。 「ほらほら!あなたが醜い足をむき出しにしているから、坊ちゃんが固まっているではありませんか!はしたない!」 「それは君がひらひらした服で目の前をうろちょろするからじゃない?みっともない」 ぴきぃ! 氷の割れる音が聞こえた…気がした。6月なのに…6月の爽やかな朝のはずなのに…。 あるはずもないのに、2人の間で火花が散るのが見える。 「…あなたとはいつか決着をつけなくてはいけないと思っていましたよ」 「君、何様のつもり?吐き気がするね!」 二人の(ニセ)メイドの手に、それぞれの得物が握られている。 「だいたいそんな格好で坊ちゃんを誘惑しようだなんてゲロ甘ですよ!イチから出直していらっしゃい!!」 ぐわっしゃーん! 「あぁあっ!!シャンデリアが!」 どんがらがっしゃーん! 「南国果実は大人しく島に帰れば?」 「ひぃー!?アンティークの花びんがー!!」 ぐわがらがっしゃーん! 「あぁあ…」 次々と倒れていくアンティークの丁度品の数々。ぼろぼろになる壁紙。枕から飛び出した羽毛が舞う中で、2人の執事(ただし衣装はメイド服)が鋼と鋼を撃ち合う度に、青白い火花が飛ぶ。 2人の間合いの外で、あわあわと青くなった綱吉は、ぼろぼろになっていく自室をなすすべもなく見守るしかできない。 「か…勘弁してよー!!」 ちなみに綱吉は、そう簡単には死なないだろう2人のケガなどの心配はしていない。 2人が喧嘩することで豪邸の施設や設備、馬鹿みたいに高い調度品がぶっ壊されることを心配しているのだ。 そしてそれを「ボスの責任」とか何とか言われ、家庭教師によって借金上乗せされることを恐れているのである。 「クフフ…調子に乗ってもらっては困りますね…」 とか言いつつ、雲雀の言葉にぴくぴく目元を歪ませた骸は、右目に「二」の紋を刻む。ぐにゃり、と部屋が歪んだ。骸が幻術を発動したのだ。 「僕の執事スキルを味わうがいい!必殺☆…!」 「い、いい加減にしろー!!」 綱吉の叫び声が空しく響き渡る。 ここは都内某所の大豪邸… そこには若きマフィアのボス(次期候補)と、彼に仕える執事たちが暮らしている。 彼らは今朝も穏やかな朝を迎え――られなかった。やっぱり。 ※※サンプル2↓ 「お暇を…いただきます」 別れは突然だった。 「骸!?…お前、なに言って…」 予期せぬ彼の言葉に、綱吉は目をみはった。 「分かったぞ、骸。お前を今日限り、この屋敷の執事として解雇する」 「リボーン!いきなり…!」 「当然だよ」 雲雀が反論しようとする綱吉の肩を抱く。 「主の意向に逆らうような執事はこの屋敷には必要ない。荷物をまとめて出て行け」 「そんな…!」 「いいんです、綱吉坊ちゃん」 綱吉の前に立った骸は、主の両手を取って優しく微笑む。 「綱吉坊ちゃん…短い間でしたがお世話になりました」 手のひらに乗ったのは刻印の入った指輪。ボンゴレファミリーの執事である 証に息を飲む。 綱吉は彼を呆然と見上げる。 「骸……ッ!」 「綱吉坊ちゃん…どうか、末永くお幸せに…―」 深々と頭を下げた。 そしてそのまま、彼は綱吉に背を向ける。遠ざかる靴音が響く。 「む、骸?待てよ!ムクロ――ッ!」 しかしいくら手を伸ばしても、少年は去りゆく彼を引き止める術を持っていなかった。 ※え。いきなりシリアス??…と見せかけてギャグ。ご安心を。 |