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さて愈、 行幸の当日、 義家、義綱達は、 それぞれ腕に覚えの有る兵共を引き連れるや、 藤原師実の前駆として、 帝の乗輿の脇に仕えた。 当時の兵の頭領としては 大変晴れがましい事であった。 帝の乗輿の行列は白い衣装を中心に 官位を表す色とりどりの衣服を身に纏う 艶やかなものだった。 砂利を踏みしめる音だけが長く長く聞こえた。 暫く行列が進むと 何やら先頭でいざこざが起こった様子で、 行幸の歩みが止まってしまった。 若い検非違使が血相を変えて報告に来た。 「只今、園城寺の悪僧共が、 行幸に悪さを致して居りまする。」 すると近侍して居た藤原師実が 真っ赤な顔をして怒った。 「何を。報告などは後じゃ。」 「…」 「源太…とやらは、 如何いたした。」 すると近侍の小者は、 「源太殿は手勢を引き連れ既に…。」 すると師実は、 ニヤリと笑うや、 「心憎い男め。」 と呟いたとか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.12.16 21:05:04
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