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あずさわ日記

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2010.12.16
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カテゴリ:カテゴリ未分類

丘の向こうには蒼の森が広がっていた。

ハンスは毎日畑を耕していた。

父母が早くに亡くなっていたので。

一人暮らしだった。

初夏の有る日、

畑仕事の合間に、

ハンスは草むらで、

うたた寝をしていた。

すると一匹の白い蝶が舞っていた。

紫の矢車草に止まると、

羽を静かに動かし、

蜜でも吸っていたのであろうか。

その時、待ち伏せて様子を伺っていた、


斑模様の蜘蛛が、

飛びかかり、

あっと云う間に蝶は食べられてしまう処であった。

ハンスは哀れに思い、

蝶を助けてやった。

そしてハンスは又、眠ってしまった。

「おや。もう、こんな時間だ。早く帰ろう。」

明くる日もハンスは畑であった。

今日は昨日の分も頑張った。

すると突然、畑の脇の小道を、

見慣れない美しい娘が歩いてきた。

ハンスは思わず声をかけた。

「やあ、何処から来たかね。」

「…ふふっ。」

娘は何も答えなかった。

毎日畑仕事で、

美しい娘になど合った事のないハンスは、

心を奪われてしまった。


「何処まで行くの。」

「ほほ。」

娘は答えない

「名前は…。」

「名前は聞かないで。」

娘は初めて口を開いた。

「君の名はゾンネ?」

「ヴィント」

「ブルーメいや、ブリューテ。」

「だめよ。」

「ヴォルケだろう。」

「違うけど、もう聞かないで。」


「そうか、判ったぞ。シュメッターリングだ。」

そ途端、娘は一匹の白い蝶になって、飛んでいった。







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Last updated  2010.12.16 21:23:33
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