042010 ランダム
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Nostalgie

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題二章 「支那服の男」

昨日、小生はいつもの散歩を楽しむため、
大阪のディープサウスタウンを歩いていた。
華やかな街や、閑静なプロムナードなどは、小生は好まない。
ゴミゴミした。ほこりの匂いと人いきれのする下町散歩こそが、
小生の好むところなのである。
時刻は、もう夕刻。
帰宅を急ぐ人並みを逃れて、裏通りの廃虚のようなビルの前まで来た時だった。
ギョっとするような、異様な風采をした男に声をかけられた。
その男は、黒のビロードのような光沢のある生地で縫った支那服に、
黒眼鏡をかけ、
御丁寧に、黒のつば広シャッポゥまでかぶっていたのだ。
いくら何があっても不思議でないディープサウスタウンにあっても、
今どき、この服装は異彩を放つ。

「旦那さん、ちょいと面白い趣向があるんですが、
おつき合いいただけませんか。」

その服装で面白い趣向はうさん臭い。
どうせ、ピンクカフェかなんぞの客引きであろうと、断りかけると・・・。

「いゃぁ、そんなありきたりのもんじゃありませんので。」
「妖しくも、艶っぼい、ドキドキするような見せ物なんで・・・。
なぁに、きっと失望なんざ、させやしません。」

根っから冒険好きの、猟奇の徒であるところの小生のこと、
支那服の男に騙されてみることにして、
言うがままに、案内料の伊藤博文先生を三枚握らせ、
ついて行くことにした。
支那服に黒眼鏡の男が案内した場所とは、なるほど、人々を、
ことに懐中にエロスを忍ばせた男達にとって、一見に価する
見せ物であったのだが・・・。
大阪ディープサウスの下町の、レトロがかったビルの一室で、
窓から差し込むネオンの灯りに照らされた、
その妖しくも美しいレヴューのご報告は、明夜に送らせて頂きませう。
期待、膨らませつつ明夜を待て。


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