若山牧水「みなかみ紀行」
若山牧水「みなかみ紀行」を読んだ五月初めに行った群馬のドライブの途中暮坂峠で牧水の詩碑に出会ったのが縁である彼は旅が好きでよく出歩いているしかもひと昔の旅だから良く歩いている紀行文を読むとなかなか健脚の様子がうかがえる一日に40キロくらいは平気で歩いているようだ歩く服装や持ち物にも気を配っている地図、磁石、時刻表を持ち歩いていることが文や詩からわかり、相当の歩人であると思った草鞋よ、お前もいよいよ切れるか今日、昨日、一昨日、これで三日履いてきた履上手の私と、出来のいいお前と二人して越えてきた、山川のあとをしのぶに捨てられぬおもひもぞするなつかしきこれの草鞋よ(中略)枯草に腰をおろして取り出す参謀本部五万分の一の地図白玉の歯にしみと ほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけりこの有名な歌で酒好きであることは容易に想像することができる紀行文の中でも、昼や夜は当然のごとく朝食時にも酒を注文している暮坂峠で牧水の銅像と詩碑に出会いいま、著作・みなかみ紀行を読んで旅と自然と酒が好きな詩人であり歩人であることを知ったことで一層の親しみを覚えることとなった。蛇足になるが、この本ではホトトギスがほったんかけたか、ほったんかけたかと鳴いているのが新鮮であった。