感想を述べます！

明日で２０１５年が終わりになります。
そんな今年の最大の出来事といえば、自民党による安全保障法案の強行採決です。
その出来事の中でこんなことがありました。
参院平和安全法制特別委員会にて、民主党代表代行の蓮舫議員が、中谷元（なかたに・げん）防衛相の答弁が、武力行使の一体化に関する大森政輔元内閣法制局長官の「大森４原則」と、周辺事態を例示した野呂田芳成元防衛庁長官の「野呂田６類型」を混同していると指摘して質疑を一時中断しました。
その際に、安倍首相がこんなことをのたまいました。
「まあいいじゃん、そんなこと」
それを聞いた蓮舫議員は、
「『どうでもいい』とはどういうことか！」
と猛反発しました。
これに対して安倍首相は
「本質とは関わりないと言った。どうでもいいとは言っていない」
と反論したものの、鴻池祥肇委員長（こうのいけ・よしただ、自民党）が「自席での発言は控えてほしい」と注意しました。これにより、首相はすぐに発言を撤回したそうです。
ちなみに、安倍首相は以前にも同じ民主党の辻元清美議員に対しても
「早く質問しろよ！」
とヤジを飛ばして、抗議された上で陳謝したこともあります。

・・・とまあ、かつて政権を取った民主党の「体たらく」を手本として自惚れないようにするべく、身を引き締めて政権に立った自民党ですが、ここにきてなりふり構わない行動を取っている感がぬぐいきれません。
しかし、こういったことは過去にも結構あるわけで、その第1号となってしまったのが、１８９０（明治２３）年１１月２５日、第１帝国会議召集日に起こりました。
この日、衆議院本会議では議長、副議長の選出が行われたのですが、いっこうに決まる気配がありません。とくに副議長の方は過半数に達する人がいないため、投票が４回も行われました。
そして、決選投票のやり方をあれこれ協議しているところに、仮議長をしていた内閣書記官長の曾禰荒助（そね・あらすけ）が休憩の提案をするためにこう発言しました。
「諸君も頭が熱いようじゃ。ちとお冷やしなされては」
ところが、イライラし始めていた議員たちには逆効果になってしまったようで、頭を冷やすどころか「議員侮辱だ！」「失敬だ！」「謝れ！」などの怒号が飛び交い、議場はさらにヒートアップの様相を呈しました。
これでは仮議長も失言と認めざるをえなくなったらしく、
「今の言葉は悪かった。お詫び申す」
と発言の撤回を行い、議員たちの興奮はやっと治ったそうです。
結局、この議会は朝の８時半から深夜２時半まで一切休憩なし！という強行軍で行われました。失言をした張本人はトイレにも食事にも席を外さなかったといいます。

歴史を紐解くと、昔も今も本質的に変わっていないもんだなぁ〜と呆れてしまいます。「人道としての筋が通らなかった」ともいわれる、中国におけるアヘン戦争を契機に開国し、屈強の軍事力を抱くほどになった日本ですが、その後諸外国と戦争を行うようになり、結局は敗戦の憂き目に遭います。現代の日本では、周辺各国との話し合いが通用しないという状況が度々起こり、やりたい放題やられているというのが残念ながら現実にあります。それをふまえた上でのこの安全保障法案であるわけです。しかし、秘密保護法案可決の時と同様に、何の議論もなく一方的に決められた・・・という印象がぬぐいきれません。将来日本が「歴史は繰り返される・・・」とならないためにも、我々は歴史というものを、大学受験のために暗記するのではなく、教訓を学ぶためにしっかりと学ばなければならないのかもしれません。

ドジタス編纂会・編「笑いの宝石箱・ドジダス（１）」青春出版社刊　１９９０年