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今日の新聞を読んで驚いた。一面と社会面に大きく出ていた記事は、以前私が勤めていたC監査法人の会計士4人が、K企業の粉飾決算に積極的に関わっていたとして逮捕された、というもの。夕刊には4人の名前も載っていて、そのうちの1人とは過去に一緒に働いたような記憶がある。夜のニュースでも取り上げられていて、逮捕された代表社員の顔がテレビに映っていた。クライアントや部下の会計士達から「先生」とあがめられていたであろう人達が、今や犯罪者として逮捕された。しかも同じ日に、A銀行も、粉飾決算を故意に見逃したとして、C監査法人を訴えたと言う記事が、K企業の記事の横に載っていた。本来粉飾決算を見つけるのが仕事の会計士が、自ら会計の専門知識を駆使して、粉飾決算のやり方を指南していたとは、言語同断である。C監査法人のブランドは地に落ちた。
ただ、他の監査法人も多かれ少なかれ似たようなことをしているはずなので、そもそもの会計士業界の構造に問題があると言えるだろう。監査法人は、厳しい立場で意見しなくてはならない、そのクライアントから報酬をもらう。ここに絶対的な矛盾がある。そんな状況において、監査法人の会計士の「先生」達は、クライアント企業に対して独立の第三者的立場にいれるはずはなく、クライアントから数々の接待を受けて、いわば「旧友」みたいな間柄になっていく。 私が所属していた国際部では、外資系企業の子会社を監査していたため、クライアントとはドライな関係であったが、たまに国内企業の監査のお手伝いに行くと、その歓待ぶりに驚いたものだ。下っ端会計士だった私は、上司に「去年と同じような調書作っておいて」と言われて、ひたすら去年と同じ資料をかき集めた。国内の大企業の監査意見は、現場の監査結果に基づいて決まるのではなく、関与社員、代表社員といった「大先生」が、クライアントと話し合って決めているとの印象を受けた。私達スタッフが現場に入る前に、既に先生方は全ての問題点を把握し、どんな監査意見にするかも決めている。下っ端会計士は、ただ単に「監査しました」という体裁を整えるためだけに何週間も送られていた。加えて、標準監査報酬は、公認会計士1人1日○○万円というように算定されるため、できるだけたくさんの会計士を長い間送ったほうが監査報酬を請求しやすかったのかもしれない。 現場で監査する前から既に結論が出ているなら、私はここで何をやっているのだろう、、、と疑問に思ったりもしたけれど、とにかく仕事は楽だったし、ご馳走してもらえるし、国内系の監査のお手伝いは国際部スタッフの間でも人気があった。 来月初めには、公認会計士2次試験の合格発表があって、新しく会計士補になった人達を採用することになる。これだけ粉飾決算問題が明るみになった今、いったいC監査法人はどういう採用戦略を取るつもりなんだろうか。今、組織のモラールはどんな感じなんだろう。人は辞めていないのだろうか。人事・組織に関わる仕事をしている今となっては、そういう点に興味を覚える。そのうち、Y企業やS企業の件でもC監査法人に捜査が入るだろう。一度徹底的に膿を洗い出して組織を変革する必要がある。これが会計士業界の構造の見直し、変革につながることを願っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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