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2006年01月03日
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カテゴリ:戦争映画
2004 ロシア 監督:ニコライ・ドスタル
出演者:アレクセイ・セレブリャコフ、ユーリ・ステファノフ、アレクサンダー・バシロフほか
TV映画 全11話 535分 カラー

 第二次世界大戦時におけるソビエト軍の懲罰部隊の悲惨な戦闘を描いたテレビムービー。よくぞ、ロシアでここまで内部事情を暴露・批判した内容の映画が作れたと驚嘆した。全部で11話構成になっているが、一話の完結性は乏しく、全体で一つの映画と思った方がいいだろう。
 懲罰部隊とは、政治犯、刑事犯に加え、軍人で敵(ドイツ軍)の捕虜になったもの、上官を暴行した者、ミスを犯した者、盗んだ者が全ての官職を剥奪されて、一兵卒として前線に送り込まれたものである。こうした懲罰部隊はソビエト軍に限らず、ドイツ、アメリカなど各国にも存在していたが、ソビエト軍(赤軍)のそれは質量共に他国を凌駕するもので、1942年から1945年までの間に、実に1,049の懲罰中隊が構成されたそうだ。一中隊50名としても5 万名も存在しているのだ。
 加えて、本作を見ればわかるが、懲罰部隊に入れられた多くが、無実もしくはそれに近い者達であり、スターリンの粛正、共産党の密告等の餌食となったのである。当然のごとく、共産党などは腐敗、不正の温床でもあり、その権力争いと密告に明け暮れた恐怖政治ぶりが良くわかる。また、よく日本兵が「生きて辱めを受けるな」と教育された事がしばしば引用されるが、ソビエトの場合はその比ではない。意志にかかわらず、捕虜になった時点で人民の敵、裏切りであり、日本兵以上に恐怖で支配されている事がわかる。さらにソビエト軍が恐ろしいのは、懲罰部隊の背後に必ず保安隊がおり、「スターリングラード(2000)」でも描写されたように、後退してきた味方を逃亡兵と見なして、容赦なく撃ち殺してしまうのだ。
 こうした、世にも恐ろしいソビエト赤軍の負の歴史を、本作は臆することなく描写しているのが凄い。当然、スターリン批判でもあり、赤軍批判でもある。ロシアで大好評を博したという本作を、ロシア人はどのような目で見て、どのような評価を下し、かつその歴史を捉えているのだろうか。
 内容は前述の通り、かなり奥深いものがある。主役はあくまでも懲罰大隊長を務める元少佐なのだが、期せずして捕虜となった場面から、裏切り者の烙印を押されて懲罰部隊の指揮官となり、懲罰大隊が最前線でゴミのように酷使され、壊滅していく様子が描かれている。元少佐の言葉に出せない怒りと不条理さが、部下や上官との人間関係に思い切り投影される。これにロシア映画特有の登場人物個人の性格付けのためのフラッシュバックを多用し、幅の広いストーリー展開となっており、全11話がダレず飽きさせずに楽しむ事が出来る。ただし、同じくロシア映画特有の映像割の複雑さと解説不足(登場人物や場面)も健在で、良く見ていないと何だかわからないシーンも多々あるのが難点。
 壊滅していく懲罰部隊なので、当然重苦しいストーリー展開ではあるが、悪玉役の保安隊や密告屋が懲らしめられるシーンも少しはあるので、ただ暗いだけではない。また、脇役の登場人物には政治犯、刑事犯もおり、政治犯の語る話はこの映画の政治的背景を理解させるのに一役買っている。元白軍兵、トロツキー派など実に様々な思想のもと、結局はスターリンにしてやられたという絶望感のもと団結するのが面白い。刑事犯は強盗犯や詐欺師など、無思想、無宗教の奔放さと明るさが逆に楽しい。彼らの即物的な価値観が共産党的価値観との対比としてうまく描かれている。

 映像はテレビ用と言う事でやや粗めの画像で、迫力という点には劣る。しかし、薄汚れ、破けた軍服や負傷兵、死体の表現は実にリアル。ここまで油汚れや血のりのついた軍服表現は見た事がない。
 戦闘シーンは、さすがにかつてのソビエト芸術記録映画のような無尽蔵な物量はない。兵士も大隊と言いながら中隊規模にしか見えないし、兵器類もかなり乏しい。戦車類ではT-44もしくはT-54車台のIV号戦車が5,6台登場する。この戦車ははっきりとは断言できないが、「バトル・フォー・スターリングラード(1975)」「モスクワ大攻防戦(1985)」「東部戦線1944(2002)」に出てくるIV号戦車とかなり似ている。わざわざ新しく改造したりするのも資金がいるから、前作からの再利用ではないかと思うのだが。あとは、対戦車小銃PTRD-1941デグチャレフと、45口径対戦車砲?が数多く見られる。航空機ではドイツ軍のスツーカが出てくるが、実機とは思えないのでCG、合成の類と思われる。

 全体として無駄な部分も少ないし、懲罰部隊の悲惨さとソビエト共産党の不条理さ、非情さを心底味わう事ができる良い作品だ。戦闘シーン等にやや大人しさや物足りなさを感じるのが残念だが、是非とも、ソビエトの犯してきた非情の歴史というのもをじっくり味わって頂きたい。
 発売時セールスは「ロシア版バンド・オブ・ブラザーズ」という事だったが、確かに大隊と大隊長をメインにしたものという観点ではそうとも取れるが、本作はもっと人間の本性とか心の部分に踏み込んだ作品である。「ロシア版兵隊やくざ」か「ロシア版コンバット」でもちょっと違うしなあ。
 劇中出てくる印象的なセリフ
「革命は非合法だ」「死んで自らの罪を洗い流せ」「この国は体制維持のために何でもする」「神のいない国は死ぬ」「国民の半分は牢屋に、半分は敵に殺される」「もし我が軍が豊富でも、これほど無駄な兵力を失わないだろう(ドイツ軍指揮官)」

興奮度★★★★
沈痛度★★★★★
爽快度★★★
感涙度★★★

(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧ください)
(第1話)
 対独戦線で連隊長ワシリー・ステファノヴィッチ少佐(アレクセイ・セレブリャコフ)は期せずして捕虜となる。連隊は壊滅状態で残りの部下も少ない。ドイツ軍SS将校はステファノヴィッチらに、転向して共産主義と戦う事を呼びかけるが、ザゾノフら3名以外はそれを断る。ザゾノフらはステファノヴィッチらソ連兵を射殺する。
 しかし、ステファノヴィッチは急所をはずれ、一命を取り留め、瀕死の重傷で森の中へ逃げ込む。そこには、同じようにドイツ軍から逃げた兵が集まっていた。(所属は、117旅団202連隊、302軍団、93歩兵師団96連隊、37師団101連隊の名称が見える)
 ソビエト軍に戻った彼らは前線逃亡もしくは捕虜となった裏切り者として処罰を受ける。スターリンの227番にそう書かれているのだ。当然死刑なのだが、前線での兵が欠乏している赤軍はステファノヴィッチに、懲罰大隊の大隊長として前線に戻り、罪を償う事を命じる。
 刑事犯(強盗・詐欺師ら)、政治犯、軍規違反兵などの部下を乗せた列車が前線に向かう。途中で内輪喧嘩で36人が死亡する。

(第2話)
 懲罰大隊の兵らは背後に保安隊が控えており、逃げ出す事もかなわない。命令に従って前に進むしかない。ステファノヴィッチは兵の中から、統率力に優れたパウキン(政治犯)、グリモフ(ユーリ・ステファノフ)(強盗の頭)らを中隊長に据える。赤軍本部は懲罰部隊に地雷原と突っ切っての橋頭堡確保を命じる。自殺行為だが、後ろには保安隊がおり進むしかない。パウキンや、グリモフは馬鹿馬鹿しい作戦に賛同しないが、ステファノヴィッチは涙を流し、祖国のために死のうと頼むのだった。
 案の定、地雷原と敵弾のために半数以上が倒れる。恐れをなして退却したものや負傷のために戻った約100名の兵士らは、保安隊に有無を言わさず射殺された。

(第3話)
 大隊は当初の700名からわずか200名に減っていた。宿営地で、カード好きのリョッカのいかさまを機に喧嘩が起き、兵が1名殺される。ステファノヴィッチは、グリモフに犯人を射殺させる。希望のない懲罰部隊で内輪もめで殺し合うなどあまりに愚かなことだからだ。
 ステファノヴィッチは、先の攻撃で功績のあったムラノフ、グリモフらの褒賞(罪を赦して正規兵に)を保安隊のカルチェンコ少佐に求めるが、無視される。
 前線の懲罰部隊には食料が届かなかった。グリモフらはドイツ兵に扮装して保安隊の食料庫を襲撃。怒り狂ったカルチェンコ少佐は犯人捜しをするが、誰も名乗り出るものはなく、無理矢理に2名を犯人に仕立てあげて本部に連行する。ステファノヴィッチが兵の解放を求めて本部に行っている間に、一部の兵が2名を脱走させる。しかし、保安隊の追っ手が迫り、全員射殺されるのだった。

(第4話)
 若干の補充兵が加わる。その一人サヴェリはユダヤ人と馬鹿にした上官(大尉)を殴った罪を負っていた。最初の突撃でサヴェリは恐怖の余り、自分の足を撃ち抜いて負傷のふりをする。
 一方、グリモフ、ムラノフら7名は敵情偵察に出かける。ムラノフはトロツキー派の元大尉で中央委員でもあった。グリモフは共産党の搾取のために、食料に事欠き、末弟を殺して食べた事を語る。ムラノフは命令だったと言い訳をする。そのムラノフは地雷を踏んで死亡する。

(第5話)
 病院に収容されたサヴェリは軍医から自傷であることを見抜かれるが、二度としない事を誓って見逃して貰う。そこに自分を馬鹿にしたプレデュノフ元大尉が、同様に懲罰兵として戦い、負傷して入院してくる。プレデュノフを恨むサヴェリだったが、次第に打ち解ける。また、サヴェリは病院の看護婦スヴェタと恋愛関係に落ちる。
 大隊は本部からドイツ軍将校の生け捕りを命じられる。グリモフ、リョッカらは敵陣地に侵入しドイツ軍大尉を生け捕りにするが、追撃でルパシュキンが死亡。沼でもまた1名が死亡する。しかし保安隊のカルチェンコ少佐は、ルパシュキンは明確に死亡が確認されていないから敵の捕虜になったかもしれないと、無理矢理に誘導尋問を行う。怒ったステファノヴィッチは少佐を殴りつける。しかし、その場の誰もが殴ったのを見ていないという証言で、少佐はどうすることもできなかった。

(第6話)
 前線の村でグリモフは未亡人カトリーナと懇意になる。これまで独り身だったグリモフは家庭の温かさに惹かれ始めていた。カトリーナは前線の塹壕に牛乳と届けるのだった。
 懲罰大隊は敵の防衛ライン攻撃を命じられる。しかし、敵戦車に陣取った機関銃の前に、多くの兵士が倒れる。結局、何の戦果もないまま撤退する。ステファノヴィッチは大隊長解任を要望するも聞き入れられない。そこに、補充兵としてセルゲイ(元少佐)、グリゴリヴィッチ(元大尉)、プリガ(元水兵)らはやってくる。
 また、病院ではサヴェリの傷が癒え、再び懲罰部隊に復帰する。プレデュノフは戦功が認められ大尉に復位して戻っていく。
 大隊はムリノフという町にドイツ軍の残党掃討に出かける。

第7話以降つづく



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最終更新日  2006年01月03日 09時40分05秒
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