ユビキタス・オイル・ストラテジー

2008/06/16(月)21:53

原油価格暴騰-23日の終値:原油問題ABCその2ーバレル、ガロンとは

原油問題ABC(23)

23日の終値  23日のNYMEX/WTIは、22日より1.38ドル/バレル高の132.19ドルで終了した。22日を安値と捉え投機筋が買い進んだようだ。他方、暖房油先物は、22日の史上最高値より8.87セント安の3.8656/ガロンで終了した。  本日は、原油相場の異常振りについての興味ある発言を二つ書き留めておきたい。 1.スーパーメジャー・シェルCEO(最高経営責任者)  エネルギー価格は供給不足というよりも市場の先行見通しにより上昇を続けている。中東でタンカーが行列をなしているわけではないし、ガソリンスタンドでガソリン在庫が無くなり車が行列をなしているわけではない。現在の石油高騰は市場心理に根ざしたものと考えざるを得ない。心理(psychology)については見通しを述べることは出来ない。 2.チャベス・ベネズエラ大統領  取り巻く環境からすれば、石油価格は100ドル/バレルで落ち着くであろう。OPECは目標価格帯(筆者注:22~28ドル)を定め石油価格をこの範囲に維持しようとしていたが、この価格帯はブッシュ(米大統領)により破壊された。もし米が(イラクから)撤退すれば、イラクの石油生産量増加に貢献することになろう。イラクは大産油国の一つであるが、イラクは目下侵略に抵抗している。  筆者のコメント  シェルの発言は世界の石油産業をリードするものとして至言である。現在の石油市場が当業者(実際に石油を使うために購入するもの)の手をいかに離れたものであるかを如実に表している。チェベス大統領の発言は、これまでの反米、資源ナショナリズムのリーダーとしてのものとしては十分に理解出来るものではあるが、100ドルという表現には産油国の、世界経済、消費者を配慮しない貪欲さが如実に表れているもので到底理解出来るものではない。ただ、現在の価格暴騰の出発点としてイラク戦争を挙げた点は政治家としての閃きを示したものとして評価出来る。因みにそのイラク戦争の主因は2001年9月11日(9.11)に米国で発生した同時多発テロ事件である。民間航空機が世界貿易センタービルに突入した瞬間のテレビ映像は未だに生々しい。 原油問題ABCその2:バレル、ガロンとは  原油価格は国際的にバレルという単位で表される。その由来は、石油産業草創期の米国において原油が樽(バレル)で運ばれていたこととされている。国際的な石油統計では世界的にメートル法が使用されるようになってからトンで表されることが多くなったが、国際石油専門家、米国を中心としてバレル/日が多用されている。因みに日本はキロリットルで表示されている。なお、エネルギー統計ではカロリー表示からジュールが主流になってきている。一バレルは159リットルである。英語の略語でbblが使用されることがあるが、どうしてバレル(barrel)がbblと略されているのかは未だに謎である。米国の石油製品はガロン単位で表示されるが、一ガロンは3.785リットルである。

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