カテゴリ:ドラマ
風太郎(松山ケンイチ)は自ら死を選び、それを決して止めようとせず見守る緑(ミムラ)。ダイナマイトの導火線に火を点けてから風太郎が爆死するまでのわずかな間、途切れ途切れに もし、風太郎が赤貧ではなく、ごく中流の家庭に生まれていたら・・・ もし、三國家が金持ちではなく、中の上くらいの家庭だったら・・・ そんなストーリーが流された。 風太郎を生き様を見ていると、中流家庭に生まれ、進学・恋愛・就職・結婚・子育て・・・というステレオタイプの「幸せ」が、決して当たり前ではないのだと感じる。むしろそれが、切ないほど輝いて見える。 でも、原作者や製作サイドが前面に押し出したテーマはズバリ、 人間の「弱さ」ではないかと思う。 お金がないせいで不幸な目に遭い、心の傷を埋めようとして異常なまでにお金に執着するのも弱さかもしれない。逆に「人は金じゃない、心だ」と連呼するのも、現実から目を反らしている意味ではまた弱さなのかもしれない。 そう解釈すれば「銭ゲバ」とは、そのまま「弱い人間の一形態」という意味になる。 風太郎は酷薄な手段を講じて大金持ちになったが、結局幸せにはなれなかった。 緑は父や妹・茜(木南晴夏)の仇である風太郎を憎みつつも、その最期を見届けて涙を流した。 風太郎の父は、死亡記事の息子の写真を切り抜き、餞の盃を満たした。 幸せって一体何なんだろう、本当に。 残酷でモラルの欠片もない主人公と、破滅的なストーリーには賛否両論あったようだ。でも、これほど人間の弱さや汚さを丁寧に掘り下げるドラマは近年なかったので、こういう刺激も必要なのではないかと思う。 それと、キャスティングはほとんど完璧で、どの役者さんも最高の表現力を発揮していたのは本当に素晴らしかった。どの一人が欠けてもこのドラマのクオリティは出せなかっただろう。 キャスト、スタッフ、関係者の皆さま、ありがとう。本当にお疲れ様でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/03/18 01:07:58 AM
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