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カテゴリ:文化
武村 政春
次々見つかり研究進む
しかし、近年、通常のウイルスの10倍、100倍もの大きさがある「巨大ウイルス」が次々と見つかり、もしかしたら生物と非生物の間をつなぐ「ミッシングリンク」かもしれないと期待されています。
ウイルスはタンパク質を合成できないため、自力で増えることができません。そこで生きた細胞に感染し、細胞の資源を使って自己複製を行います。それは、設計図を他社の工場に持ち込み、勝手に機械や電気を使って自分のものを作るようなものです。 これでよく知られていたウイルスは、自分を複製するために必要最小限の設計図しか持っていませんでした。しかし、巨大ウイルスには多くの遺伝子があり、中には生物に近いレベルでタンパク質を合成するための設計図を持っているものもいるのです。 今後、もし、リボソームを持っているウイルスが見つかれば、それは生物に近い働きを持つことになります(ただ、自力での自己複製はできないかもしれません)。ウイルスは非生物としてひとくくりにされてきましたが、非生物から生物へとつながる、さまざまな段階に位置しているかもしれないのです。
生物進化にも深く影響
一般的に、生物が進化する過程で、ウイルスが大きな役割を果たしていることは間違いありません。ウイルスと宿主の細胞の間で、遺伝子の導入や水平移動などの相互作用が起き、さまざまな生物の多様性を生み出して来ました。
(東京理科大学教授)
たけむら・まさはる 1969年、三重県生まれ。名古屋大学助手等を経て、現職。専門は巨大ウイルス学。巨大ウイルスの一種トーキョーウイルスの発見者としても知られる。著書に『生物はウイルスが進化させた』『巨大ウイルスと第4のドメイン』など多数。
【文化】聖教新聞2017.6.9 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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マイメークロトルではなく、マイクロメートルではないでしょうか。
新聞などに使われる組文字(4文字を1文字の枠に入れる組版)で「マイクロ」と「メートル」を縦もしくは横に並べた時、読み間違えて「マイメークロトル」と読んでしまうミスに該当するのではないかと思います。 ネット上に何例か見かけましたので、拡散することに危惧を覚えたもので、お知らせ致します。 (March 10, 2019 02:07:12 PM) |
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