浅きを去って深きに就く

2020/02/06(木)05:03

ADHD③

脳科学(133)

どんぐり発達クリニック院長 宮尾益知   服薬で衝動性を抑えられる 注意欠陥多動性障がい(ADHD)は、自己抑制が難しいことが根幹になっています。そのため、自分にとって利益になるためにと考える、行動パターンを決めるといった行動療法、だいたいでよいとして大まかに行うなどの心理療法に加え、薬物療法を併用することが最も効果があります。 わが国は、メテルフェニデート徐放剤(コンサータ)、アトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)があります。コンサータは中枢神経刺激薬に属し、自己抑制をする前頭前野の機能を上げて効果を発揮します。田同・衝動性・不注意に効果があります。副作用は食欲不振、てんかん発作・チックを悪化させることがあるといわれています。 ストラテラは、不注意、段取り、時間概念などに効果があります。副作用は眠気、嘔(おう)気(き)、食欲不振などがある場合に注意が必要です。インチュニブは多動・衝動性。不注意に対する作用が前2剤よりは弱いですが、感情の爆発を防ぎ、人に対して思いやり、やる気などを惹起します。副作用は、眠気、血圧低下などです。 3剤とも脳に働き、心臓機能にも影響を及ぼすため、不整脈などがある場合に注意が必要です。服薬により衝動性が抑えられ、行動を制御することができたり、注意を適切に分配したりすることができるようになります。また、時間を計画的に使い、重要性を考えて、物事が行えるようになります。 コンサータの作用として、自己に向き合うことができるようになります。このため、親との葛藤、できなかった過去の自分などを思い出すようになり、それを否定するようになります。加えて、自分を完璧にしなければとの思いが強くなります。過去頑張った自分を認め、完璧でなくてもそこそこでよいと思える自分をつくっていくことが課題になります。     【女性の発達障がい▷8◁】公明新聞2019.7.9

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