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2006年08月09日
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「本朝奇談 天狗童子」 佐藤さとる・著、村上豊・画(あかね書房 2006年6月5日初版第一刷発行)
本朝奇談(にほんふしぎばなし)天狗童子

むかしむかし、五百年程むかし、否含山という山に与平と言う山番の年寄りが住んでいた。
与平は若い頃ふもとの山を出て諸国を巡り歩いた。
その間に覚えた横笛は中々なもの。与平が自分で作った篠竹の横笛は粗末なものだがびっくりするほど低い音が良く伸びる。
年はとっても達者な与平は山の見回りのときもシカ皮の袋に笛を収めて気が向くと吹き鳴らしていた。
ある夏のはじめの夜、ふと笛を吹きたくなって小屋の囲炉裏の前すわり一心に笛を吹いた。
その節回しは力強く美しく否含山にしみこんでいった。
はじめて本当の音を出たと思ったらむやみとうれしく涙が出たほど。
ヨヘイ、ヨヘイ。その時、与平を呼ぶ声が・・・村の人か?いや村の人に与平を呼びつけにするものはなん人もいない。戸を開けると大きな月がはなたれるところ。

「ヨヘイ、ここだ。」

頭の上からするどい声。与平の山小屋のわきにたつ大きな一本杉の枝には烏のような黒い鳥?
大天狗の使いでやってきたチビのカラス天狗・九郎丸は威張りながらも、大天狗が笛の事でこれから与平に会いに来ること、自分はその先触れでやってきたこと、そして自分も与平の笛を中々良かったと思ったことを告げる。

大天狗は与平の笛を誉め天狗の仲間になるよう勧めに来たが、与平は天狗にされては・・・と思いこの年では・・・と断るがそれならば、ここにいる九郎丸を弟子にしてしっかりしこむように言った。
与平は引き受けるのは良いが、直ぐには習得できないことと、その間にも村人たちからカラス天狗の弟子がいることを隠すわけにも行かないだろうというが大天狗は心配ないと言う。
そして九郎丸に与平に使え笛を習得したら小天狗に取り立てると約束した。
うれしそうな九郎丸。

そしていきなり九郎丸ののど元を引っつかむと・・・カラスの羽を一気にひん剥いた。
なにかがずいずいっとふくらみ、まるはだかの九つくらいの人間の童子がいた。
頭はざんばら髪、目元のすずしいふっくらした男の子。

大天狗はこの”カラス蓑”がないと九郎丸が天狗に戻れないこと、着るのは誰でもできるが脱がせるのは大天狗にしか出来ないことを教え与平に預けた。
与平は九郎丸に自分の着替えを着せ、帰る大天狗を二人で見送る。

九郎丸は物言いは生意気だが、大天狗の言いつけ通り与平に従い与平の仕事を手伝いながら笛を習った。一年あまりたった頃、初めて二人で吹きあわせをした。九郎丸は初めて感じる懐かしさにとまどい涙を流す。
九郎丸は涙を恥じ、人間のように暮らしていて人間のようになりつつある自分に不安を覚えるが、与平は恐ろしい大天狗から九郎丸を人間に取り戻したいと考えていた。
そしてその夜・・・


「だれも知らない小さな国」などコロボックルのシリーズでおなじみの佐藤さとるさんの新刊ですが、元々同人誌「文芸冊子」「鬼が島通信」に連載されていたようです。
連載の形式は自分には不向きであったとあとがきにも書かれており、単行本化はしないつもりだったそうですがあかね書房の須藤紀生さんが最後の仕事として是非編集をさせて欲しいとお願いしてくださったお陰で単行本化実現となったようです。(須藤さん、ありがとうございます)

佐藤さんの作品の中には鎌倉や横浜が舞台に出てきますがこれも昔の相模や鎌倉などが出てきます。
ところが、私、16世紀初頭の関東はドラマなどで断片的に覚えているばかりで地名も聞いたことはあるけど一体どこ?と言った恥ずかしい状態(これで日本史を取っていたなんて言えませんね)
それでも楽しめましたけどね。

戦乱でいつどうなるか分からない厳しい時代に生きている与平じいさまたち、大きな力を持っていても人間への関わりには厳しいルールが存在する天狗たちですが、とても魅力的に描かれています。天狗館、入ってみたいなあ。(私には手すりも無いはしご段は上れそうにも無いけど)

九郎丸もですが意外な身上の弟分?の茶阿弥。護法天狗の中峰さま。そして女天狗の不意狐院さま。光男ら木っ葉組のカラス天狗(のひな)たち。そして意外と優しい(でも正直でないとかなり怖そうです)大天狗様。
天狗にかかわりを持ってしまう因縁。因縁があるからこそで天狗にするために人を攫うわけではないのね。
本来天狗の生き方って決して自分勝手でも人間に危害を与えるものでもないのですね。
出家した天狗は金天狗、修験道を治めた天狗は銀天狗と呼ばれるようですし。
適性もあって、物事に動じるようでは、向かないようです。
でも挿絵の天狗はユーモラスな感じ。九郎丸の半人間・半天狗の姿も可愛い。

籠作りのジンザ、正体が後半明かされますが、仕事と分けて考えるところが良い人です。

与平じいさま。若い頃は諸国を回っていたのだから好奇心の強い若者だったのかもしれませんね。山奥に住んでいても政情に詳しいところは戦乱の時代だからかもしれませんが大天狗にも驚きつつもやり取りを思い出してくすりと笑ってしまったり自分の身がどうなるかわからないのに天狗館を見物してみたいと思うのも好奇心の現われなのかな?と思ったり。
達者で知恵も有り山仕事を何でもこなす頼りになる人です。結構大胆ですが・・・
九郎丸のことを可愛がってますよね。

そして九郎丸。プライドがあるのだけど意外に素直で、真面目なところが何とも可愛い。生意気で鼻につくというのではなく、自分にも自分がしなければならない仕事にも誇りを持っているところが良いです。
与平じいさまがやらかした!ことで怒ったり無茶したりでしたが、それでもじいさまの心配もするし、大天狗への忠義心もあるし、まだ子どもなのにその頑張っている姿が可愛い。
小さいながらも肝も据わってますしね。

九郎丸の後半生はさらっと書かれていて物足りなさもありますが、だらだら長くなるより良いかも。
結末は予想できましたが、やはり話は納まるところに納まるのが良いので良かったと思います。


だれも知らない小さな国  佐藤さとるさんの本を初めて読んだのは小学校5年か6年の時。学研の科学・学習の別冊、夏休み読み物特集に出ていたのを読んだのが最初でした。講談社文庫で出ていた時に集めていたのでお金の無い学生にはうれしかったですね。今だと青い鳥文庫かな。






最終更新日  2006年08月09日 16時30分01秒
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