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カテゴリ:本
思いやれども行くかたもなし 結城光流著 あさぎ桜イラスト(平成19年10月1日初版発行 角川ビーンズ文庫)
少年陰陽師最新刊。前回珂神編が終了したため、今回は章と章の間の短編集。 百鬼夜行の蠢く場所は 思いやれども行くかたもなし 疾きこと嵐の如く それはこの手の中に 以上四編。それぞれの感想。 百鬼夜行の蠢く場所は (The Sneaker 2005年7月号増刊 「The Beans VOL.5」初出) 敏次は勤勉だが融通が効かない。 行成と成親が敏次と昌浩の行き違いを案じていると当の敏次が訪れる。 行成と成親の砕けた物言いに驚く敏次。 年も近いが色々あって身分を超えた友人のような付き合いをしている二人。 帰邸する時間だからと成親が辞すると牛車がやってくる。うなじに粟立つような感覚。あれは… 翌日、遅出の敏次が手に持った布包み。 不審に思った昌浩がそれはと尋ねれば、行成への贈り物に混じった呪物とのこと。 見鬼の才のないはず?の昌浩がそれに気づくとは!と驚く敏次。 事を荒立てたくない行成がこっそり敏次に浄化を頼んだようだが報告せざるを得ない。 では天文博士に相談をしたらどうだという昌親の勧めに従い昌弘らの父でもある天文博士のもとに向かう敏次の昌浩。 しかしそこへ更に行成に届けられたと別の呪詛の報告が! 陰陽頭の命で呪詛返しに向かう敏次と昌浩。 行成様ピンチ!出来る男は狙われます。 敏次頑張ります。今回は昌浩のことを少しは見直してくれたかな? 敏次に厳し過ぎ!もっくん。六合に…は笑ったけど。挿絵もね。 成親も実は大活躍。昌親と父も登場。 成程!百鬼夜行。権力の中枢は色々大変ですね。 思いやれども行くかたもなし(The Sneaker 2006年2月号増刊 「The Beans VOL.6」初出) 陰陽師の見る夢には意味がある。助けを求められる夢をみた晴明は占じて見るが結果はわからず。 占じた時に出てきた邸と小さな子ども。晴明の命を受け調べに向かう太陰と玄武。 その邸に降り立つと対屋に太陰の見た目と同じ年頃の少女が御簾から出てきた。 おぼつかない足取りだが玄武の頬をその少女の手が触れたそしてその手で顔を確かめると次には肩に移動させた。 「玄武、どうするの?」我に帰った太陰が尋ねると 「げんぶ?…もしかして水神様のお使い?」とにっこり笑った… この少女は一体?だれが助けを求めたのか?そして水神様とは? 玄武が何時になく色々な表情を出しています!汐姫とのやり取りが可愛い。 結界で守ることはできても敵を倒す力を持たない玄武が落ち込んだり、最後が少し切ないですね。 見た目と年齢が一致しない神将ですがやはり頭を撫でてあげたい。 疾きこと嵐の如く(The Sneaker 2006年8月号増刊 「The Beans VOL.7」初出) 退出する行成の乗った牛車が風に襲われ横倒しに。額にけがをした行成。 その時の風の中に何かがいたらしい。 市に向かう彰子と隠形し随従する天一。 彰子が市に行くことを昌浩がいつまでたっても心配するとこぼす彰子。何時まで経っても左大臣家の姫君かしらと寂しさをにじませる。 大切に想っているが左大臣家の姫君だからではないと天一。 いつか客分でなくそこにいるのが当たり前になるといいなと思う彰子。 気を取り直して市に急ぎますが、激しい突風に足を取られよろめく。 「大丈夫ですか?藤花殿」そこに現れたのは昌親。供は天一だけと聞き、一緒にと昌親。 しかし再び疾風が吹き荒れ、昌親の袖は破られ、三条の市はひっくり返された。風の中心には二つの影。 この風は一体?二つの影の正体は? もっくんのお目目が大きいことを再確認! 先は玄武の話でしたがこちらは太陰!そして大陸から来た… 有能な人物に囲まれているということは本人が努力を重ねていてもやはり大変なようです。 …は太陰に何を言いたかったのかな? 朱雀&天一と何かと巻き込まれやすい玄武が面白かったり。 外堀埋めにいそしむ成親流石! 成親の気遣いをうれしく思いいつかそうなればと思う彰子ですが兄さんは本気ですよ! 行成を抑えようとする敏次の反応も最高!そして昌浩。やっぱり純情ですね。 それはこの手の中に(The Sneaker 2007年3月号増刊 「The Beans VOL.8」初出) 昌浩らが帰った後も治癒のため道反の地にと留まる様仕向けられた勾陳、そして元より一緒に残る予定だった天一、と予定外に残ることになった六合。 道反の守護妖から殺気にも近い八つ当たりをされる六合。腕試しと称して勝負を挑まれる。 受ける六合、大怪我させない程度に倒しますが力を加減したと再選を臨まれる。 大きな物音に駆けつけ、守護妖たちを叱りつける風音。互いに仲間の所為と罵る守護妖だったが、静かに怒る風音に気押されたじたじ。 そんな時、風音を救う時に助けた借りを返せと現れた山の比古神。父・道反大神も心より感謝はしていたが… 「汝が娘を我が妻に乞う」 乞われた風音はどうするのか?そして六合は? 守護妖達のやっかみに耐える六合は偉いです!馬の骨から昇格おめでとう! 風音は穏やかな母とは違い激しい気性。でも六合の前では… 勾陳ともっくんが水鏡で話す様子が楽しい!昌浩にはもちろんですが勾陳に対しても心配性だよね、紅蓮は。 天一、色々な方面から抑え役に頼まれていたのね。さすがに勾陳も… 神様は祟るもの。そして突拍子がなくて理不尽なもの。それに目くじら立てるのも…って昌浩は毎度、実感してるよね。 どのお話も楽しかったです!行成様は少しお気の毒でしたけどね。 最近の本編は辛い展開が多かったので余計に楽しめました。(でもあれはあれで好きなんですけど) もちろん、一気読み。 楽天ブックスさんで注文したのに「在庫なしのためキャンセル」されてしまってかなり落ち込んでいたのですが、一昨日子供の付き添いで出かけ待っている間に本屋に走って購入。待ち時間も気にならず楽しめたので良かったかな?(肩は凝りましたが…) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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