からしまよねーずっ!

2005/07/11(月)20:56

旦那様には内緒ね-1

ファーストキスの相手、憶えていますか? 旦那様は全く知らないけれど、 私は、今でもその彼の事、よく思い出すんです。 結局彼女には、してもらえなかったけれど。 彼はテニス部のキャプテンで、 でもテニス部のキャプテンと聞いて思い浮かべるようなイメージでは無く、 背も低く、特別ハンサムというわけでもなく、 クラスでも目立たない存在の男の子でした。 でも、当時兄の影響でファッションに目覚め始めていた私は、 ある日、兄と同じ靴を履いている彼に気付いたんです。 私の高校は大阪と言っても田舎の方にあり、 お洒落とは縁遠いのどかな校風の学校で、 男の子がお洒落すると言えば、それはヤンキー風にする、という事でした。 だから、彼のその靴を見た時、私はすぐに彼に惹かれました。 私にとって大阪市内の私立校に通う兄はファッションの先生でしたから、 その兄と同じ靴を履いている、というだけで、彼に憧れてしまったんです。 その日から、彼の持ち物一つに一つに興味を持ち始めました。 制服だから服のセンスまでは分かりません。 でも、観察すればするほど、彼が持ち物にこだわりがある人だと分かってきたんです。 鞄、ハンカチ、靴下…。 でも、まわりで騒ぐ男子と違い、いつも静かに友達と何やら話している彼。 女子と話しているところを見たことがありません。 私は、何だか自分一人だけ宝物を見つけたような、そんな気持ちになり、 彼のことが好きなんだ、と自覚するようになりました。 気が付くと、いつも彼を目で追っていました。 部活の時も、わざとテニスコートに近いコースを走ってみたり、 そして、帰りの電車の時間を合わせてみたり。 幸運な事に、彼と私は同じ駅で乗降していました。 毎朝、彼と会いますように、と祈りながら駅に向かいます。 もちろん時間は調査済なので、大抵は会えるようになりました。 で、同じクラスということもあり、挨拶だけはしてくれるのです。 でも、並んで一緒に歩く、という事を彼はしません。 女の子は苦手、という感じ。 それと…私には全く興味が無いんでしょう。 「おはよう」 その一言に、今日一日のすべてがかかっています。 良い笑顔で、可愛い笑顔で、キラキラした笑顔で。 注文は限りなく出てきます。 でも、1秒も無いくらいの短い挨拶の後、いつもいつも残るのは後悔だけ。 あ~、また緊張で顔がヒクヒクしてた~! 泣きそうになりながら電車に乗る毎日。 今思えば、絵に書いたような片思いでした。 彼を中心に世界が回っているんですから。 彼と目が合った、というだけで、彼も私の事を意識してる? と楽天的になったかと思えば、 部活で後輩の女の子に指導している彼を見掛けると 「あ、きっとあの可愛い後輩のことが好きなんだ」 と激しく落ち込んだり。 そんな毎日が過ぎてゆき、 気が付くと、もう高校生活最後の学園祭が近付いていました。 学園祭。 それは、彼に自分の気持ちを告白する、最後のチャンスでもありました。 (続く)

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