テーマ:恋愛について(2606)
カテゴリ:ひとりごと
学園祭が近付いてくると、
校内のあちこちで、悲喜こもごものストーリーが展開されます。 今日はサッカー部の○○がバレー部の××に断られた、とか、 誰それはやっぱり元彼と参加するらしい、とか。 昼休みや放課後の体育館裏や学食横は、この時期告白コーナーに変身です。 うちの高校では、学園祭の夜、 ファイアーストームを囲んで学校全体のフォークダンスタイムがあるんです。 普通なら生徒全員が参加で、 ただ順番に踊る相手をチェンジしていくんだと思うのですが、 この高校ではチェンジは無し。 そうなんです。 ダンスの相手が居なければ、このフォークダンスには参加できないんです。 学園祭が終われば、即下校。 だから、みんな必死です。 特に、3年生は最後のフォークダンス。 参加しないで帰るなんて、そんな屈辱には耐えられません。 結局好きでもないけど、帰るのがいやだから、と ペアになる妥協カップルも沢山あるのですが、 でもやっぱり最後はずっと想っていたあの人と、と考えるのが普通です。 私もその一人。 でも、女子とあまり話さない、テニスが恋人、という感じの彼。 フォークダンスを踊るところなんて、想像すら出来ません。 それも、挨拶しかしたことのない私となんて。 きっと彼も帰宅組(フォークダンスに参加しない連中のこと)だし、 私も帰ろう、と思っていました。 いつの世にも、おせっかいな友人というのは居るものです。 それは学園祭当日の事、 喫茶コーナーを開いていたうちのクラスで、 飲み物を紙コップに注いでいた私のところに、 友人2人がものすごい勢いでなだれ込んできました。 「mayo!mayo!やった!やったよ!」 みっちゃんが半泣きで私に抱きついてきます。 「OKやて!M君、踊ってくれるって!」 サチが、そう言って私の頭をクシャクシャにかき混ぜました。 「えっ!?なに!?なんで!?」 訳がわからず、でも二人が私のためにしてくれたことは大体の察しが付きました。 その結果、信じられないくらいの幸せが私に訪れたことを実感するのが怖くて、 私はしばらく二人にもみくちゃにされながら、ただ呆然とするだけでした。 ファイアーストームの回りにいるから、と彼は友人に言ったそうです。 私は、本当に彼がいるのか、ものすごく不安でした。 足も手も震えています。 ゆっくりと校庭に向かい、夜空に向かって燃え上がる炎の近くを見渡しました。 炎で逆光のようになっていて、そこに集まる人達の顔がよく見えません。 心臓がバクバクして、手も汗でビッショリです。 こんな汗ビッショリの手で、踊るのやだ。 と思った瞬間、誰かが後ろから私の名前を呼びました。 振り返ると、彼がそこに居ました。少しはにかんだ笑顔で。 「あの…ほんとに、いいんかな?」 やっとのことで、声を絞りだした私に、彼は、 「だからここにいるんやけど」 と小さな声で言ってくれました。 スピーカーから音楽が流れ、騒ぎながら他のカップルが輪を作り出すと、 彼が小さく、 「いこか?」 と私の手をとって、引っ張って行ってくれました。 えっ!? この人、こんなに積極的だったの? 私をリードして、輪の中に入っていく彼。 はにかんだ笑顔は相変わらずだったけど、 私の手を強く握ってくれている彼の手。 汗でビッショリの私の手でも、絶対に解けないくらいに。 踊っている間、 私の頭の中で、最高の幸せとともに、 もうすでに新しい不安がムクムクと沸き上がってきていました。 彼、女の子が苦手なんかじゃない。 彼女…いるかもしれない。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 引っ張って引っ張ってすみません(汗) 続きます! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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