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いつかどこかで

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May 8, 2007
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カテゴリ:絵本

              本日不調のため ( 精神的にね )、また過去ブログの記事を再アップします。
              既に一度読んで下さっている方、申し訳ありません。

               みなまた 海のこえ    

娘が5歳位の頃だったでしょうか。
夫が何気に ( 夫はあまり本に興味がないので本当に何気なく )
本棚から一冊の絵本を選び出し、娘に読み聞かせていました。
私は聞くともなく聞いていましたが、ふっと夫の声が途切れたのに気付き、
ふたりの方を見ると、夫は目頭を押さえ声を詰まらせていたのでした。

                       ※水俣病についてはこちら 『 水俣病HP 』


『 みなまた 海のこえ 』  文・石牟礼 道子 絵・丸木 俊 丸木 位里


しゅうりりえんえん

しゅうりりえんえん

わたいはおぎん きつねのおぎん

しゅり神山のおつかい おぎん



                  と唄うようなリズムで、きつねのおぎんを語り手として語られます。


しゅうりりえんえん しゅり神山は

わたいどもの山じゃった

大岩小岩がすわっておって

くずのかずらや 山ぶきいちごの 花やぶくらが

わたい家たちの入り口じゃった

春がおわれば つつじがさいて

山には 霧や雨がうるうる

ぱっと陽がてる 紅やまももの 実がうれる

やぶのそこらは 野いちごだらけで

おちゃらの小鼻は 紅だらけ     
※おちゃら=おぎんの孫娘


                  美しい不知火の海と山に住むけものや、川に水を汲みに来る村人や、
                  夜闊歩する妖怪の四季の日々が語られます。

                  そこにチッソの会社が来て、山を削り木を伐り、たくさんの動物が死にます。
                  何となく息が苦しくなって、漁師に頼んで舟に乗り海を渡るきつねもいます。
                  きつねが天草からくる漁師の舟に乗って海を渡ったという逸話は
                  漁師の中で実際に語られているそうです。


しゅうりりえんえん

海べに もひとつ 井川があった

水をくみくみ ちよちゃんのばばさまが

おつかいおぎんに語ります



ちよは みんなの宝じゃった

あれが生まれたときは うれしゅうて

村じゅうみせてあるいた



あらぁ かわいさ かわいさ

美しか赤ちゃんじゃあ 花んごたるよう



あれの父親 わたしの息子はいいよった

ほれ ちよのおちゃら

ほれ おちゃらのちよちゃん

おっ 笑うた 笑うた



三つになったら

舟霊さんにあいさつさせて 舟にものせよ

そすればしぜんに 魚つりおぼえる



四つになれば おしえもせぬのに 貝をひろうて

はい ばばしゃん

こんやのおかず というじゃろう



五つになれば だんだん畑についてきて

麦ふみおぼえて おどりのまねする



六つになったら なにさせよ

おちかいもできる 魚もいろいろおぼえてくる



十五になれば 花のつぼみも うす桃色で

ちよがおどって 唄えば

舟も祭りも さぞさぞ

にぎわうことじゃろう


                  そのちよちゃんが、やがて明けても暮れても泣き続け、
                  体を弓のように反らせて苦しむようになり。
                  病院を回っても、お祈りしても、おぎんに尋ねてもどうしようもなく、
                  ある日、目を開けたまま死んでしまいます。
                  それからちよの母親も同じように、父親も、猫たちも、隣の家人も、どこもかしこも。


しゅうりりえんえん 空からきこえる

ちゃーらら らーら

ひかりの奥の舟の上から ちゃーらら らーら

ひがん花ひがん花

しゅうりり えんえん


                  鎮魂で終わります。





石牟礼道子氏の文に胸が塞がれる思いがします。
丸木夫妻の絵の迫力にも圧倒されます。

読んで楽しい本ではもちろんありません。感動するというのとも違います。
かといって、ただただ暗いというのでもなく、どこかに救いはあります。
誰にも一度は読んでほしい本です。

この本をきっかけに、子供が小学生の頃、
埼玉県東松山市にある 『 丸木美術館 』 を訪ねました。
『 原爆の図 』 の原画、その他の絵に言葉がなく、
ただ胸がどきどきと音をたてるような感覚がありました。
子供たちはただ、「 恐い 」 と。
もっと大きくなった時もう一度、と思いながら行かないままここまで来てしまいました。
リンクを貼ろうと調べていたら、気になる記事があったので載せておきます。
うちからはそう遠くはないのだから、是非また行かなくては。



        ■ 「原爆の図」の丸木美術館、入館者減で存続ピンチに ── 埼玉・東松山市

        ヒロシマ・ナガサキの惨禍を告発した「原爆の図」で世界的に知られる画家、
        故丸木位里、俊夫妻の作品を集めた、埼玉県東松山市の「原爆の図 丸木美術館」が
        入館者の減少から、存続の危機に見舞われている。
        美術館は67年、夫妻が自宅そばに私費で設立したが、世間の関心は次第に薄れ、
        04年度はピーク時の2割の約1万3,000人台に落ち込んだ。
        現在は運営費をカンパでしのいでいる状況という。(毎日新聞)


                                                    ひろしまのぴか



                                      ※ 水俣病HP URL 追加しました





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Last updated  May 8, 2007 07:39:53 PM
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