「倉稲魂命」と「伏見稲荷大社」
烏森神社の御主祭神である、「倉稲魂命」について、稲荷社の総本社とも言える、京都『伏見稲荷大社』のお話を交えながら、お話いたします。稲荷の神「倉稲魂命」について「倉稲」の意味は、稲束を倉に収蔵した為で、それを「ウガ」と呼ぶのは、清浄で立派な食物と考えているからです。「稲」は元来「生き根」のことで、人々の生命の根本を養い育てる力を持っています。そしてその奥に潜む根源の力は「ミタマ」と名付けられました。つまり、神名のというのは、人の生命を養い育てる根源の力を称えた名なのです。この稲荷の神を祭る神社は、全国三万稲荷社といわれ、少祠、邸内社を入れるとその数は更に増え、諸神のうちで最も数が多いとされております。この稲荷の神「倉稲魂命」が稲荷山(伊奈利三が峰のこと)に和銅四年(西暦711年)二月の初午の日に光臨されたとされており、京都「伏見稲荷大社」が稲荷社の総本社とされているのです。当社「烏森神社」は明治六年に「烏森稲荷社」の社名を改めました。江戸の地誌には芝愛宕下久保町の「烏森稲荷」としてしばしば登場しており、『祠曹雑識』によると百余の稲荷番附の中で、「烏森稲荷」は東の関脇に位置付けられています。