「中国『悪魔の辞典』」
石平 小学館 2008年8月4日
<大卒>
・偉大なる祖国のエリート候補でありながら、哀れな失業者の予備軍である。今や、公務員と葬儀屋と家政婦になることが、彼らにとっての輝かしい未来である。
・実は今の中国では、経済繁栄の最中なのに、かっての日本以上の「超氷河期」が出現しているのである。
中国の場合、新学期が始まるのは9月だから、大卒の就職も9月になるので、毎年の夏は、いわば就職前線の山場となる。
・優良企業からの募集が大変、少なかったため、国家と地方の公務員は、大卒者たちにとって最も人気のある就職口である。
・こうした厳しい競争から落ちて、まあまあの程度の企業に就職できなかった者たちは結局『就職口さえあればどこでもよい』という状況に追い込まれている。
・今のご時世では、葬儀屋に就職できるのはまだ良い方である。
・07年度に大学を卒業した500万人のうち、この年の9月末までに依然として就職できずにいるのは144万人で、全体の28.8%に当たるという。
・中国場合、政府の公式発表の数字はたいてい「良い方」に修正されているが、上述の発表を信じても、07年度の大学卒業生の約3割程度が就職できなかった、ということになる。
・現在の都市部では毎年、2400万人が新規に職を求めることになっているが、彼らに提供できる就職口は約1200万件であるから、半分の1200万人就職できずに新たな失業者となる計算だ。
つまり、都市部では毎年1200万人の人々が失業者の大群に加わることになるのだ。
・中国の農村部からは、約2億人の労働者が出稼ぎ労働者として都市部へと流出している。しかしそれでも農村部では、また約1億2000万人の人々が「余剰労働力」を抱えて、今の中国は、まさに失業者だらけの失業大国となっている観がある。
・問題は、このような事態が、決して経済が落ちている時期ではなく、むしろ中国の経済が10%以上の驚異的な成長率を成し遂げている最中に起きていることだ。
だとすれば、経済成長が多少でも減速したり、あるいは経済が落ちていく方向に転じれば、この国の雇用事情は一体どうなるのだろうか。それはもはや、目の前が真っ暗となる事態であろう。そして、失業者がこれ以上に拡大していくと、やがて深刻な社会不安を引き起こし、大変な政治問題となっていくのは明らかである。
「中国『悪魔の辞典』」
石平 小学館 2008年8月4日
(・誰よりも中国を知る男」石平氏の予測が懸念されているそうです!?中国経済は、大きな変動の前にあるようです!?
・はたして日本の「失われた20年」の経済の惨状も改善されるでしょうか!?)