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夏恋karen

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2007.03.13
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カテゴリ:映画館で観た映画







バランスを崩してカゴが倒れた。
石畳の路上に
転がるプラムの黄色。





彼だけが感じるほのかな香りに
気づいた者は
そのとき誰も
いなかっただろう。






人々は「愛の香り」に酔いしれて
触れあい キスをし
官能をむさぼりあっていた。
立ちつくしていたのは
皮肉なことに
それを作った
愛を知らない一人の男だけ。









プラムの香りが引き寄せたもの。
それはあの日の
甘美な記憶の断片。




振り向く少女の赤い髪が揺れて
この手の中で崩れ落ちてゆく。
冷たくなっていく肉体とともに
幸福な香りも
消え失せてしまった。




頬を伝う初めての涙。
この感情を何と呼ぶのか
彼は知らない。



神は最高の嗅覚を彼に与えたが
他には何も与えなかった。



望まれずに産まれ
匂いを持たず、
愛されることもなかった
無垢な魂。



白い肌に手のひらを押しつけ
何度も何度も
すくい取ろうとした。
閉じこめたかったもの
追い求めたもの、それは
紛れもなくあの
「幸福な瞬間」だった。





パフューム.jpg






この映画を観てからもう今日で3日目。
劇場を出たそのときに
すぐには言い表せなかった感情が
日を追うごとに
鮮明になってゆくのが不思議。



まるで映画の残り香を
楽しんでいるみたい。
これはそんな大人のための
少し残酷なおとぎ話。




ジョン・ハートの余韻のある声が
ナレーションとして
この物語を綴っていきます。
天才的な嗅覚を持って産まれた
主人公のグルヌイユ。
彼がどんな風に生を受けて
どんな風に消えていったのか・・・。




冒頭の悪臭立ちこめる魚市場の描写は
あまりにもグロテスクで目を覆いましたが
彼の生い立ちの酷さを際だたせていて
胸がつまりました。
いつ死んでもおかしくないのに
彼はいつも「生き抜いて」きたんですね。
でも何のために?




酷い扱いを受け続け
人間として人間らしく
生きることを知らないグルヌイユの
唯一の安らげる時間は
もって生まれた超人的な嗅覚で
イマジネーションの旅をすることだけ。




目を閉じて
草原を抜け
森の奥深く
小さな水辺までたどり着く。




匂いをひとつひとつ辿りながらの旅は
本当に静かで美しい。
トム・ティクヴァ監督の
情緒面に語りかける映像作りは
素晴らしいと思います。



あまりにもまっすぐな探求心ゆえ
踏み込んではならない領域へ
彼はなんのためらいもなく
入り込んでしまうけれど
彼を殺人犯として憎々しく思うことは
ついに一度もありませんでした。
こんなことを言うと
不謹慎だというのは分かってる。
でもどの死体ひとつとっても
ホントに絵のように美しかったんです。



不思議な感情だけが
いつまでもまとわりついて消えません。



一つ間違えば、気持ち悪い猟奇殺人犯。
ほとんど言葉を発しないグルヌイユを
ベン・ウィショーが演じると
ピュアでイノセントな感じさえしました。




ラストの結末も
おとぎ話に徹していて
あまりにも悲しくて切ない。
だけど私は納得でした。
あれ以外には他にないでしょう。









Last updated  2008.03.26 22:48:36
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あかまっちゃん2004@ Re:アース  EARTH(01/17) ようやくDVDで見ました。ただ、プロジ…
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セビセビ@ 七光り うおぅ。。 なぜかは分りませんが、禁止…
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