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ラッコの映画生活

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2008.01.08
XML
カテゴリ:日本映画
降霊(KOUREI aka SEANCE)
黒沢 清
97min
(DISCASにてレンタル)

0.jpg

正月早々黒沢監督の『叫』を見て、なんかその作品世界にはまったところがあって、同じ監督のまだ見ていない作品やもう一度見たい作品をDISCASの予約リストの上位に移動したら、この『降霊』が送られてきました。後で色々調べていて知ったのですが、この映画はもともとテレビの地上波で放送された2時間ドラマなんですね。1999年というともうはるか昔にテレビを見なくなっていたので、こんなドラマがあったことも知りませんでした。テレビ映画、言い換えればB級映画とも言えるわけで、不満は少なからずあるものの、そうした作品としてはまあ小さな名作として楽しめました。テレビで放映されたものでもあるし、ややネタバレもしながら感想書くことにします。

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東京近郊の緑(田畑?)の中の一軒家に住む中年夫婦。2人に子供はないけれど、普通にいそうなごく平凡な夫婦で、価値観なんかも穏健で、人柄もまったくもって善良そう。夫の佐藤克彦(役所広司)は、業界のことは良く知らないので正社員なのかフリーなのか、テレビ局で働く効果音の技師。妻純子(風吹ジュン)は専業主婦(?!)。今専業主婦にハテナとビックリを付したのにはわけがある。実は彼女は霊媒師とまでは言わなくとも、ものすごく霊感が強い。で人づてに聞いてきたのか身近な者の死で心に悩みを持つ人の相談に乗ったり、必要があれば降霊なんかをやっている。似たような話で『ギフト』っていう映画があったけれど、そこでは夫に先立たれて子供を抱え、生活費を稼がなければならないケイト・ブランシェットは占いを商売にしていた。でも純子は子供もいないし、夫にそれなりの稼ぎがあるから占いや霊媒はボランティアなのでしょう。克彦はもちろん純子の霊能力を知っているんですが、そういうことを忘れて普通に暮らした方が良いと思っている。純子は生活を変えようと電話での霊媒依頼は断り、ファミレスでウエイトレスのパートを始める。でも客が連れてくる幽霊とかが見えてしまう。天から与えられた彼女の一つの能力(ギフト)なんですが、普通の人には見えない幽霊が見えたり、周囲の人間に言っても好奇の目や不審の目に曝されたり、決して幸せな能力ではない。

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この2人とは全く無関係に身代金目的の少女誘拐事件が発生する。犯人は少女を連れて富士の山中に隠れていたらしいのだけれど、少女が犯人の目を盗んで逃げ出す。少女が犯人に追われて逃げる途中に、ちょうど木々や風の音を録音に来ていた克彦がいた。そして彼が気付かぬうちに少女は半開きだった大きな機材トランクの中に隠れ、知らずにそのトランクを克彦は家に持って帰る。現金の受け取りに失敗して逃げた犯人は警官に追われ、工事現場で事故にあい意識不明となってしまう。大学で霊能力などを研究するたぶん大学院生の早坂(草なぎ剛)は以前から純子を研究対象としようとしていたが、受け持ち教授の友人がたまたま誘拐事件を担当する刑事で、行方不明の少女の消息を知ろうと純子の霊視を要請する。しかし少女のハンカチを借りて帰った純子が家で発見したのは夫の機材トランクに入った仮死状態の少女だった。

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以下もっとネタバレします。この映画にはマーク・マクシェーンという人の原作本があって、その翻案らしいのだけれど、脚色での問題点が2つあったと黒沢監督は言ってます。一つはトランクの中に少女を発見してからの夫婦の行動にリアリティーがないこと、いま一つは原作では死んだ少女は幽霊として現れないこと。この映画では少女の消息を言い当てることで一躍有名になるという誘惑に純子(と克彦)が惑わされ色々小細工を始めるのですが、経緯あって克彦が少女を殺してしまい、死体を山中に埋め、少女の幽霊に苦しめられるという風になっています。原作がどうなっているかは知りません。でもこれでもまだリアリティーがない感じです。なるほど夫は仕事に追われる人生で、妻は自分の能力に苦しみながら何もできない。2人はただこうした日々を送りながら年老いていくだけ。自分らしい何かを達成することなどない。お払いをしてもらう神主は「平凡を恐れず、ささやかに生きること」をすすめるけれど、それに飽き足りない何かをもきっと感じている。また実際に純子は少女のハンカチから霊感で夫のトランクに少女が居ることを感じ取る。でもこれとて見ていたのは夫だけで、誰も彼女の能力ゆえだとは信じてはくれないだろう。有名になるということもあるだろうけれど、それ以前に自分を(つまりは自分の能力を)認めて欲しいという彼女は満たされることはない。だからセンセーショナルな「行方不明の少女を霊感で発見」というストーリーを彼女は欲した。しかしそれでも十分なリアリティーは感じられませんでした。

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テレビの夜9時からの2時間サスペンスドラマという枠、コマーシャルを除くと正味90分強という制約、製作費や製作日数に関する制約、スポンサーやテレビ局の注文、その他色々な制約的条件はあったのだとは思うけれど、そして原作があったこともあるだろうけれど、結局のところ黒沢作品としてはやや中途半端になってしまったのではないだろうか。一人でも自分を自分として認め、受け入れてくれる伴侶がいれば人は満足ではないだろうか。夫婦の絆(や愛)の描き方が曖昧だ。あるいは私的に悩める人々の相談に乗り、霊媒などすることの、自分の持てる能力を活かしたささやかな行為の積み重ねは純子に幸せ、と言わないまでも日々の充実感を与えはしないだろうか。逆に大それた野心的行動を取るにしては、その心理の描き方が不十分ではなかっただろうか。随所に細々と黒沢らしい魅力があるだけに、全体としてはやや残念な作品だった。(付記:この作品、昨年見た『アコークロー』というホラー映画の下敷きになっているような気がしてならない。)

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Last updated  2008.01.10 04:09:22
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