2018/05/20(日)17:11
常識外
私の常識からは考えられないようなことが世の中にはたくさんあるなーとつくづく思う。
まず、今日、賢浩が、「午後の授業に、MP3を持って行きたい。」と言い出した。最近、いっちょ前に音楽を聴きながら宿題をするようになったのだが、集中できていないので、MP3をとりあげ、必要なときだけママから借りる、ということにした。
「なんで、学校にMP3が必要なのか?」と聞いたら、みんな授業中に音楽を聴きながら作業をしている、というではないか。そんな馬鹿な・・・・。
賢浩がいうには、美術の時間は、それがゆるされているのだそうだ。みんな、音楽をイヤホンで聴きながら、絵を描いているそうだ。先生が、手をぽんぽんと叩いて、話を聞くようにと言ったら、イヤホンをはずして、先生の話を聴かなければならないが、それ以外で、個人作業の時は、音楽を聴きながらやっても構わないと先生自身がお墨付きを与えているらしい。そんな話、信じられなくて、恵子に確認したら、「うん、その先生は、音楽を聴きながらやってもいい、っていうよ。」と言った。わたしの理解の範疇を超えている。私は、「ママは、そういう考えには反対だから、先生が許しても、ママは許さない。」と伝えた。賢浩は、ぶーぶー文句を言いながら、学校に出かけた。
今日もドイツ語コースに行った。あいかわらず、ロシア人同士のおしゃべりがうるさい。文法の問題用紙が配られ、まずは個人個人で考えることになった。ロシア語話者がクラスの70パーセントを占める。彼らは、授業中でも、隣同士でひそひそと話すのではなく、教室の一番端に座っている人が、コの字型に座っている反対の対角にいる人と大きな声で話す。各自が文法問題に取り組んでいる時も、おかまいなしにロシア語で話す。先生もみかねて、「いったい、何を話しているのか?」と聴いた。すると、悪びれる風もなく、「昨日、ロシアのテレビ番組を見ていたら、チーズのことについて取り上げていた。ロシアのチーズの品質はかなり劣るそうだ。」というようなことを堂々と話しはじめた。授業と全然関係ないことなのだけど、先生も、そこで話を中断させないし、ロシア人たちも、熱弁をふるい始めた。しまいには、「もし、みんなが興味あるなら、その番組のことをもっと詳しく話しますよ。今から、食品の品質について、クラスで話し合いましょうか?」と提案した。私は、その神経の図太さに驚いた。それをとがめない先生にもびっくりした。
ロシア人一人ひとりはいい人なのだけど、集団になると、わたしの常識では考えられない振る舞いをする。ここに来ると、日々、ロシア人(正確に言うと、旧ソ連人)に対する印象がすごく悪くなる。
このコースでは、教科書やワークブックは無償で提供される。先生は、「これは、あなたたちのものだから、返す必要はない。書き込みをしてもいいし、使い終わった後に、売ってもいい。」と言ったので、驚いた。一応、ドイツ語の授業を受けに来ている人たちなのに、筆記用具やノートを持参してきていない人が何人もいる。いったい、何しにきているのかと不思議になる。大半の人は、辞書も持ってきていない。今日は、先生が、「ノートを持っていない人もいるようなので・・・」といって、みんなに、ノートを一冊づつ配った。「私は、ノートを持ってます。」と誰かが言ったら、「いらなければ、このノートは、子供に上げてもいいわよ。」と先生が言った。このノートだって、結局は、税金から支払われている。こういうことがあって、いいのかと思う。
このコースに来ている人の大半は、生活保護を受けている人だ。わたしの隣に座っているナイジェリアから来た女性もその一人。彼女は、4歳の女の子のママだが、一緒に生活しているボーイフレンドとは、まだ結婚していないので、母子家庭ということで、生活保護を受給しているそうだ。でも、来年、その彼と結婚するので、そうすると、生活保護が打ち切られるそうだ。それぞれ事情があるのだろうけど、なんだか腑に落ちない話。
生活保護を受けている人は、交通費も支給される。このコースに来るのに、自分の支出はゼロ。でも、それをありがたいことだと思っている人は少なくて、「このコースに来てやっているんだぞ。」という態度の人が多いように思う。だから、授業中私語をしてもなんとも思わないし、休憩時間になると、「もう、休憩時間だ。」といち早く、先生に伝える。交通費は、精算払いなのだが、「今日中に支払ってもらわないと、明日から来ない。」とか、脅迫めいたことを平気で言う。このコースにいると、海外生活が長い私だけど、軽いカルチャーショックを受ける。