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テーマ:小学生ママの日記(28703)
カテゴリ:子供
今日は飛び石連休の谷間。私も夫も仕事は休み、ニコちゃんも学校が休み。平日に3人とも揃うのは最近では珍しい。たまたまニコちゃんのカウンセリングの予約が今日だったので、親子3人で伺った。
カウンセリングは午後からだったので、午前中は3人で買い物にでかけた。銀行にも寄った。共同口座を夫一人の名義に変更したかったからだ。「夫に万が一があった時、口座のお金はどうなるのか?」と聞いたところ「遺言書があれば奥さんが口座にアクセスすることはできます。」と言われた。「その遺言書とは公証人(Notar)の元で作成されたものでなくてはいけないのですか?」と聞くと「そうです。単に本人が書いてサインしただけのものだといろいろと問題になるので、公証人のサイン入りの遺言書をお持ちいただくことがベストです。」と言われた。帰りの車中で夫と「一度きちんとした遺言書を作っておこう」という話になった。私の家族や夫の家族間で相続争いが起こるとは想像できない。その点に関してはすごく信頼しているから、いちいち遺言を書かないといけないことが面倒くさいと思える。ものすごい遺産があれば骨肉の争いになるかもしれないが、私や夫の場合これといった財産もないのでむしろ遺言を書くほうが恥ずかしいと感じる。 車の中でニコちゃんが「ママ、この前ママと一緒に勉強するって約束したのに、僕は全然ママの説明を聞かないで途中で放棄しちゃったでしょ?あれは本当は僕はしなくちゃいけないって思っていたんだよ。でも僕の頭の中には悪魔が住んでいて「こんな勉強する必要ない、ママに「やりたくない」って言え」ってずっと僕にささやくんだよ。僕はいつも悪魔の声に負けちゃうの。以前学校でNくんのTシャツを破いた時も悪魔がそうしろって僕に命令したからなんだ。」と唐突にいい出した。「それは困ったね。そういうことはカウンセラーに話したほうがいいよ。頭の中に住んでいる悪魔に勝つ方法を一緒に考えてくれるのがカウンセラーの仕事なんだよ。」と伝えた。 「ママ、2日前にママと一緒に数学のテストのやり直しをしていた時に、ママが僕にこの椅子(スツール)に座れっていったでしょ。僕にはああいう背もたれがなくて高さが調節できない椅子が一番向いていると思ったよ。高さが調節できるやつは調節弁をいじってしまうし、背もたれがあると後ろによりかかりたくなるし、回転する椅子は回転させたくなって、僕は勉強に集中できないんだよね。」と言った。スツールに座らせたのは初めてではないのに、今になってそういうことを話すのが面白く感じた。車の中ではニコちゃんはとても饒舌だった。 午後3人でカウンセリングに伺った。カウンセラーは私たち3人を見て驚いていた。私は1週間前に3人で伺う旨の手紙を郵便受けに投函したことを伝えたが、カウンセラーのもとには届いてなかったようだ。それでも歓迎してくれた。 ニコちゃんは「頭に悪魔が住んでいる」という話をカウンセラーにした。カウンセラーは「どうやったら悪魔に負けないか、それはニコと私の二人で考えよう。今日はママとパパと話がしたいのだけど、君はあっちの部屋で待っててくれる?」と指示した。それでニコちゃん抜きの3人で話し合った。 私と夫の話を聞いたあと、カウンセラーは「それぞれの話をきいて思ったことは、ニコには明確な指針が必要なのに二人の方向性がばらばらでニコは境界線がわかっていない状態に置かれている。これは大きな問題だと思う。」と言った。それについては私も以前から思っていたことで、全く反論の余地がない。「あなた達はそれぞれがニコのために一生懸命やっているが、相手がしていることに対してはまったく評価をしていない。ご主人、あなたは今まで奥さんがしてきた数々の努力を認めていますか?」と質問した。 私が「ニコが幼稚園の時からErgotherapieに連れて行ったり、学習障害児支援センターに連れて行ったりしましたが、その度に夫から「そんな所に何故ニコを連れて行かないといけないのか?ニコは普通だ。ましてや薬を飲ませるなんてありえないことだ。ことを大げさにしているのは君の態度だ。」となじられました。声を張り上げると「君はすぐに怒る。だからニコが余計反発する」というので、じゃあ自分が面倒をみてみろ、というと、僕にはできないと言って、ニコのご機嫌を取り始める。何かと言うと「君は厳しすぎる」と非難され、はっきり言ってもうニコと正面から向き合う気力はない。」と話したことを受けて、カウンセラーは夫にそう聞いたのだ。夫は「もちろん評価してます。でも薬はありえないし、今でも本当にニコがADSなのかどうかわからないです。」と言った。カウンセラーは「認めていると言っておいて矛盾する感想ですね。やっぱり一番の問題点は両親の方針の齟齬です。どうぞ二人でお互いの行動を認めあってください。共通の認識をもってニコに接してください。」と強く言った。「できれば3人でもう一度話し合いたい」と言われたので6月にはいってもう一度3人で話あいをすることになった。それまでニコちゃんとの個人カウンセリングは一旦休むことになった。 またカウンセラーは「ニコは過剰負担状態に置かれています。「やりたい」「やりたくない」以前に「できる」「できない」という問題なのです。今の状況で求められていることはニコにはできないことが多いのだと理解するべきです。」と言った。 私もこのままニコがギムナジウムで6年生に進級するのは難しいし、本人のためにならないと思っている。しかし問題は本人が今のクラスにずっといたいと願っていること。転校や留年するなら不登校になるとまで言っている。 カウンセリングの帰り道、賢浩のクラスメートだったM君のお母さんに会った。 「12年生は今Abiturで明後日に最後の数学の試験があるからせっかくの休みなのに、休めませんね。」というような話をした。M君はかなり優秀な子で特に数学が得意だったので、当然大学で理系を勉強するのかと思っていた。Mくんのお母さんは「あの子は卒業後兄たちと同じように地元の会社でAusbildung(職業訓練)をするのよ。」と言ったのですごく驚いた。 Mくんにはお兄さんが二人いて、二人共Realschuleの卒業生。そして二人とも地元の会社で職業研修をして、そのままそこに就職。一番上のお兄さんはその後学校に入り直しAbitur(大学受験資格)を受け大学に入り、30歳を過ぎた現在修士課程で勉強中。二番目のお兄さんも会社をやめ学校に入り直し、20代前半で現在Abiturの真っ最中。 そういう話を聞く度に、ニコちゃんも今無理してギムナジウムにいる必要はないと思う。将来大学に行きたいと思ったら、ドイツではいくらでもやり直しはきく。しかし留年することやギムナジウムからほかの学校にかわることはニコちゃんの硝子のプライドが許さないのだと思う。説得はカウンセラーにおまかせするしかない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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