005799 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

☆へっぽこノベリストの部屋☆

☆へっぽこノベリストの部屋☆

水色の朱鷺 ~夢の中の鳥~

肩に銃を担いだ少女が、廃墟の中に座っていた。




入り口の方で、からん、と、小石を蹴る様な音が響く。


「誰・・・・?」
「伊里亜だよ・・・?」


その瞬間、少女がすばやい身のこなしで立ち上がり、相手の懐に滑り込む。
「・・・ごめんなさぃッッ!」


少女は涙を流しながら、相手に詫び、銃を構える。

細く長い指が、銃の引き金を引いた。

     ガ ァ ン ・ ・ ・ 


「梓・・・」
『伊里亜』は、口から血を吐きながら、倒れこみ、少女の名前を呼んだ。
梓と呼ばれた少女は、つらそうに下を向き、つぶやいた。
「ごめん・・・伊里亜」



梓は短剣をつなぎから取り出すと、伊里亜ののどのあたりに構える。


「やめてェェェッッッ!」

水色の朱鷺 ~夢の中の鳥~

『水色の朱雀』と、いう集団を知っていますか?



その集団は、殺し屋の一族。命じられれば、誰でも殺す。




『水色の朱雀』のメンバーの一人、梓は、まだ12才になりたての女の子。


背は小さく、いつも水色のだぶだぶのつなぎを来て、銃を背中に掛けている。


重そうなスニーカーをはき、赤みがかった茶髪の髪を綺麗に肩で整えている。

小さなナイフを血に染めて、廃墟に立ち尽くす、梓。


涙が瞳から一滴零れ落ち、廃墟のコンクリートの地面をぬらす。


梓は、血で濡れたスニーカーをきゅっきゅっといわせながら、廃墟を後にした。


梓のツナギには、血が飛び散ってついていた。






「伊里亜・・・もっといっしょにいたかったのに・・・」








きゅっきゅっとスニーカーの音を響かせながら、梓は廃墟を後にした。


© Rakuten Group, Inc.