ヤサン・ヤサン・・・
水曜日の午後、学校から帰ってきた長女と服屋の集まる地下街へと繰り出した。前々から「冬に着る上着がなーい!」とわめいてて、それじゃあと水曜日に行く約束をしてたので。そしてその日に長女が良く遊ぶ同じクラスの友達が赤の「ヤサン」を着て来たんだと話すのであんたもそういうのがいいの?と訊きながら二人で出て行った。さて、ここでお読みの方たちは「ヤサン」とは何ぞや?とお思いのことであろう。これぞ、この冬韓国ファッション界では必須アイテムと言われる程に持て囃されている代物なのである。ちょっと大袈裟な書き方だったかも・・・? 私なんかは何の興味も関心もないが。別に欲しいとも思わないし。しかし、猫も杓子も、老いも若きも、男も女も関係なく着られる服だし、流行りに敏感な人たちには爆発的人気を博している模様である。しかしてその「ヤサン」とは・・・こちらのポータルサイトで検索してみるとショッピングサイトやコーデに関する質問箱などがずらりと出てくる。その中の辞典のところを見ると・・・「ヤサン」は、「夜商」とある。えっ? 夜の商売・・・つーことは、夜店や屋台で働く人たちの防寒着、ってコト?辞典コーナーの「ヤサン」にはもうひとつ検索結果がある。 「夜想」だ。「夜想曲」とすれば「ヤサンコク」、ショパン等でお馴染みのノクターンだ。これもちょっと違うようだ。はてさて・・・これを買った次の日に病院から家に来ていたツレに話した。すると「ヤサン」とは、「野戦上衣(ヤジョンサンウィ)」を縮めたもので(野・上=ヤサン)もともとは軍人たちがフィールド(野外)で戦う際の上着のことを指す語だというのだった。こちらでは軍務は男子国民の義務なので街中でもよくグリーンカーキ基調の迷彩柄上下姿の軍人アジョシ(おじさん;といっても若者だ)をよく見かける。 ←ま、こんな雰囲気・・・この上着もヤサンの一種だったのだ。要はミリタリールックという訳だ。昔日本でも流行ってなかっただろうか。こちらでは巡り巡って今年流行しているようだ。尤も、流行のスタイルは迷彩ではなくカーキを始め単色のもので、そこにボアチョッキを着脱できるデザインが主流だ。 何だか沢山貼り付けちゃったかな?ひょっとして今季ファッションショーでもやってたのかもしれないが・・・もはや流行などとは決別し、隔絶しているオバハンの私には知る由もないが。意味の分かったところで買った日の話に戻るとする。延々と似た店(服屋、ケータイ代理店、アクセサリーショップ等)の続く地下街を練り歩き、あの店この店でお目当てのヤサンの価格を見てみると・・・ た、高い。私だってこんな高い服買わないのに・・・私はあるヤツと古着で充分だ。目に付いた店に入ってみて時たまちょっと羽織ってみたら?と長女に着せてみたりもした。しかし小六の長女にはちょっと大きい。少々短めのものを探さないといけないのだが・・・ある店で長さ的には条件クリアしているものを見つけた。販売のオバサンは自分も子供の母親だからサイズは良く分かるんだと言いながら勧めてきた。しかし問題は値段だ。かなりためらう価格だったのでもうすこし廻ってからまた来ますと出て行くとそのオバサンはムッとしていた。商品に自信があるなら客を笑顔で送りゃあいいものを・・・娘がそこで思い出した話をしてくれた。友達の誕生日のプレゼントを買おうととあるファンシーショップ(といっても単なる文房具屋。こちらは学校付近にゴロゴロある)に入ったところ、店のオバサンにあーだこーだ、こーゆーのがいいんだと一方的に言われて全く買うつもりのなかった物を買わされて気が付くと店の外に立っていたというのだ。そしてつい先日、ケータイが故障してるので新しいのを購入しようとアッパ(父親;つまりツレ)とこの地下街の代理店に寄ってみた所、そこのオバサンが娘がちっとも欲しくないのをこれがいいんだと勝手に勧めてきて雰囲気的にもう決めてしまわれそうになったその時の気分と言ったら嫌々ガマガエルに嫁がされる親指姫のようだった、と形容していた。因みにその時娘は私に助けを求める電話を店から掛けてきて、私の「今度にしたら?」の一言で難を逃れた。なのでイヤな物を買わされそうな時ははっきり主張をして店を出るなりその場を去ればいいんだ、カネ払って品物を選ぶ主導権はこっちにあるんだから、と歩きながら話して聞かせた。そして更に寄る事数軒・・・感じのいい所二軒だった。そのうち長女の欲しいカラーがなくて後日郵送できると云う所一軒。今日オープンしたから安くしてる、という店・・・しかしそこには短か過ぎるジャケットしかなかった。そしてなぜかそこで娘は欲しいと云っていたケータイをすぐ横の店で吸い寄せられるように手にして見ていた。前にアッパと行った所では50000ウォンだと言われていたそのデザインのフォンが、通信社を別のところにすれば無料で出来るとのこと。しかしその通信社で作ると前に使ってたところと同一で新規にならないし違約金が残っているので子供も多いことだし別の子の名義で作っておけばどうかと勧めてくれた。なのでまだケータイ名義人になったこともない末娘の名義ですることにした。ショッピングの休憩がてら、長女は故障させた罰で3ヶ月間お預けになっていたケータイもゲットできたのだった。そしてヤサン探し再開。かなり長い間廻ったし、いい加減足も痛いから早いとこ決めたいと歩いていたところ、娘の選ぶポイントとする腰に紐がついているデザインのものが掛かっているのを発見。羽織ってみるとうんとか言っている。気に入るのを見つけられたのでこの辺で手を打つことにした。こうして無事に買い物を終え・・・と行きたかったが今度は娘が大手文房具店(日本で云えば、イトーヤみたいな所?そこまで大きくないかな?)と、本屋(例によって、教保文庫)に行こうというのでちょっと寄って、本を数冊買って、この日の買い物は無事終わったのだった。おしまい。