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眠りの底で

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2008.05.05
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   鬼羅の歌  
  kira.JPG


          その夜 鬼羅の耳の奥で 男の子の歌声が響き続けた。

          体の内はドクドク鳴りつづけ カアッと熱くなったかと思うと 

          冷たい刃物のような風がふきぬけたりした。

          心の臓と腹の臓がいっしょくたに絞られ 痛んだ。

          夜が明ける頃 鬼羅は決めた。

          自分をこんな目にあわせた男の子を 探そう。

          探して食ってしまおう。

          鬼羅の腹が ぎゅるるぅと喜んだ。



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          鬼羅は獣のように 四つんばいになり 地に鼻をつけ 男の子の匂いをたどった。

          太陽が昇りきる頃 山のふもとに 小さな畑と小屋をみつけた。


          また あの歌声が聞こえる。

          芋の葉が広がる畑に 男の子がいた。

          腹が ぐるうっ とせかす。

          鬼羅は 男の子の背に しのびよった。


       

       
  kira2.JPG
   写真byげこる「げこるでつくる」






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Last updated  2008.05.05 07:09:54
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