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カテゴリ:ING入賞作品 鬼羅の歌
鬼羅の歌 時が流れた。 耕は 畑をたがやし 種をまき 芋を作り 菜っ葉を育て そして 鬼羅のそばで歌い続けて 死んだ。 鬼羅は つめたくなった耕のかたわらで 約束どおり 耕の歌を思い出し 真似た。 畑の土は固くなり 山の草が茂り 山の木の芽がのびた。 やがて 耕の体は崩れ 山の土となった。 鬼羅は その土に根をはった一本の木のように そこを離れなかった。 喰うことも飲むこともせず ただ 耕の歌を繰り返した。 さらに 長い長い時が 過ぎた。 鬼羅は 耕が土にかえった同じ場所で 一陣の風にもどった。 この街に 吹く風は 鬼羅の風。 澄んだ男の子の声で 歌う。 鬼羅が覚えた 耕の歌。 千年をかけて 歌えるようになった。 あの歌を聞くと どんないさかいをしている者だって 胸がきゅーんとして けんかを続けられなくなる。 ほら 鬼羅が歌ってる。 鬼羅の歌 終 写真byげこる「げこるでつくる」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.05.11 06:19:10
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