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日々のあぶく?

January 14, 2006
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装画・挿絵 木内達朗

それぞれの「きみ」が主人公となって紡がれる物語。
脈絡ないようで、それがラストに収斂される。

あいあい傘・
十歳の誕生日の数日後、傘に入れてといってきた友だちに押し出された恵美は
自分の傘から一人で傘に入っていた名前もよく知らない別のクラスの由香のもとへ行こうとして事故に合う。
松葉杖生活を余儀なくされた彼女は一緒にいた友人、傘を持たせた母をも責め、クラスから孤立する。
十一歳になった恵美は「みんな」はいらないと思う。
今のクラスは万里が仕切っている。
なわとび大会の回し手になったのは飛べない恵美と病気がちな由香だった。
一緒に練習しながら穏やかだがどんくさい彼女にいらだち、ついには由香のせいで事故に合ったと責めてしまう恵美。
調子のいい堀田ちゃんが孤立したり、無口で無愛想になった恵美が由香とぎこちなくも距離を縮めていく姿が描かれる。

ねじれの位置・
五年三組のヒーローだったブンちゃんこと和泉文彦の座は転校生・中西基哉によって脅かされていた。
交通安全標語でも、水泳でも、野球でも―
彼が本音を話せる大学一年生の不愛想な姉・恵美は基哉と仲良くなればいいなんて言う。
どこか余裕の基哉を苦々しく思いつつも負ける前に譲ってしまう文彦。
でも、彼にピッチャーの座を辞退されて我慢の糸が切れ喧嘩してしまう。
友だちになる五分前、ジャングルジムにねじれの位置で座る二人を恵美は写真に撮る。
先発の文彦とリリーフの基哉、黄金コンビになるだろう二人が食べるのは姉が「うざったい友だちみたいな味だよね」と言いつつも好きなボンタン飴だった―

ふらふら・
中学の1年D組の人気者・堀田芳美はいろいろなグループの人間関係を把握し、調子を合わせている。
好きなのは「平和」なのに敵を作って「戦争」をはじめる友だち。
ついには調子の良さを咎められ、堀田自身が敵として弾かれてしまう。
いつもクラスからは浮き気味だけど、それでいて過不足ない二人・和泉恵美と楠原由香は小学校の時に彼女が犯したことも咎めず、静かに受け入れてくれた。
由香は暖かく、恵美は相変わらず不愛想だったけれど―
コロコロ敵が変わる友だち付き合いの虚しさを感じつつもカメレオンに戻る堀田を恵美は責めず、「頑張れば」と送り出す。
そんな彼女達に堀田はボンタン飴を渡す。

ぐりこ・
サッカー部では一年で二人だけレギュラーになり、大会のベストイレブンにもなっ
たスポーツ万能、
成績優秀で一二をいつも争いながらも仲が良いブンちゃんとモトくんは皆が一目置く黄金コンビだ。
成績も悪い・三好では小学校の時からブンちゃんの親友だと言っても信じてもらえない。
ブンちゃんのお姉さんはそっけなくもグーでしか勝てなくても地道に少しづつ進めばいいと言ってくれる。
ある日、自分の口が滑ったのが災いし、ブンちゃんが佐藤先輩たちに狙われた。
でも、ブンちゃんも加勢したモトくんも彼を責めなかった。
分からないことの方が多くて、分かることなんて少しだけど、"ブン"と"モト"は三好の聞きでも駆けつけるといってくれた―

にゃんこの目・
視力が悪くなる発作に見舞われたハナ。原因は分からない。
親友の志保は最近、彼・戸川くんにべったりだ。
彼女に振り回され気味のハナは同じ二年C組の由香に恵美とばかり一緒で淋しくないかと問う。
由香は「友だちがたくさん欲しいとは思うけれど、恵美とたくさん一緒にいたい」と言う。「恵美を"もこもこの雲"だ」とも―
以前、入院中の由香を励ましてくれたという病院の天井絵から抜け出したという本当のもこもこの雲を探す恵美。
「"ほんとのもこもこの雲"は由香」だとも恵美は言う。
心因性の視力低下で度なし眼鏡をかけていたハナだが、一緒にいなくても淋しくない相手が友だちだと言う恵美、
志保は相変わらずだけど、でも・・・

別れの曲・
バレンタインデーにチョコなんて期待できないし、補欠だったサッカー部を引退したのにちょくちょく顔を出している佐藤。
母のピアノ教室に通い、思いを寄せている梅村琴乃からは
二年でサッカー部長で生徒会副会長の中西とサッカー部副部長で生徒会長の和泉が移っているビデオを貸して欲しいと言われるし、
彼女自身は別のクラスの岸と付き合っているらしいし、部活に出て和泉に怪我までさせてしまう。
でも、和泉の姉はそんな彼がベンチでガッツポーズした姿といつもは寂しそうに映ってた事、
天気のいい青い空を邪魔する雲を邪魔じゃないから頑張れ、といって和泉に渡すはずのチョコをくれる。
「ねこふんじゃった」が佐藤の「別れの曲」となった―

千羽鶴・
お見舞いの千羽鶴は頭を折らない。
中学三年の秋、転校したクラスの一ヶ月足らずしか会わなかったが入院した由香のために千羽鶴を折ることを提案した西村。
だが、由香の親友であるとされる恵美が参加する気配はなく、誘っても断られるだけ。
いじめにあい、自分が入院した時にクラスメイトが追った千羽鶴にはひどい言葉が書かれていた。
それに負けないよう、由香のための千羽鶴を折るが、そんな西村は浮いていると言われてしまう。
戸惑う西村に「『みんな』でいるうちは友だちじゃない。
いなくなっても一生わすれない友だちが一人いればいい。
だから『みんな』に付き合っている暇はない」
とぶっきらぼうと言いながら恵美は由香の元に連れて行く。
自分のために千羽鶴を折る由香は笑顔で彼女を迎える。
由香の側には恵美が描いた「もこもこの雲」の絵があった―

かげふみ・
中学最後の年、黄金コンビだったブンとモト。
だが、モトが思いを寄せていた石川美紀が付き合っていたのも、市内選抜チームに選ばれたのもブンだった。
でも、モトとのコンビネーションが悪くなったことを危惧したブンは選抜チームを辞めると言っているらしい。
モトのことを「親友」で「相棒」で「ライバル」だとを言うブンを殴る。
そんな彼らを友人の墓参りに連れてきながら姉・恵美は見守る。
ずっとうつむいた後は笑顔になると―

花いちもんめ・
小学五年から仲良くなって五年目、高校入試直前、危篤状態に陥った由香を心配する恵美。
先生以外で彼女の体調を知っているのは恵美だけ。
そんな時に偶然かもしれないが、由香のことを気にかけてくれた堀田、ハナ、西村。これは由香による優しい奇跡かもしれない。
ずっと一緒にはいられないかもしれないけど、それでもいいかと最初に言った由香、
花いちもんめをしたらきっと恵美のことを欲しいといってくれるだろう由香、
そして、二人で「だれもいらない」と言うのだ。
足の悪い恵美とのろまな由香、二人の歩調はあっていた。
思い出があるから悲しくない。
優しい子は天国に行く時に「もこもこ雲」を残す。
一緒の写真はなかったかわりに、恵美は雲を写真に撮る―

きみの友だち・
一日だけ、恵美の写真がギャラリーに飾られた。
京都の大学に行ったモト、浪人中のブン、三好、プー太郎の佐藤先輩、
堀田、ハナ、西村もいる。
人の写真と雲の写真の中、由香の墓参りを終えた恵美と僕は結婚する―

僕の視点で描かれた物語。
でも、いろいろな気持ちが代弁されていて、暖かくなる物語。
何故こういう形態になったかも「きみの友だち」で全て分かる。
今では友だちも増えた恵美だけど、あの頃のことも忘れてない、もちろん由香のことも。
"友だち"の定義は人それぞれだけど、これを読むと温かくそれぞれの登場人物にエールを送りたくなった。
恵美と由香の絆の強さも輝いているが、その周りに登場する揺れる人々も魅力的。
ブンとモトのコンビも何ともいえず良い。
恵美が「うざったい友だちみたいな味」といいながら嬉しそうに食べるボンタン飴、それをはじめにくれたのは堀田だった。と言う静かなつながりもいい。






Last updated  January 14, 2006 11:03:23 PM
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