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March 21, 2006
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カテゴリ:
警察内部を描く第一人者と言った感のある横山氏。
今回は泥棒サイドの視点で展開。
深夜、寝静まった民家を狙い現金を盗み出す「ノビ」と呼ばれる忍びのプロであり、
取調べに対して消して口を割らない「壁」を思わすしたたかさに"ノビカベ"との異名を取る真壁修一が主人公。
彼が双子の弟と共に推理を繰り広げ、彼ならではの"ツテ"を駆使して真相に辿り着く構成は面白い。

消息・
法学部に入ったエリートでありながら、浪人中の双子の弟・啓二が空き巣を重ねて警察に追われる身となり、
それを悲観した母が放火、二人を助け出そうとした父もろとも死亡。
当時、外出中で難を逃れたが、その後、傷害事件を起こして大学を退学、のちに"ノビカベ"と呼ばれるまでになった修一が出所した。
彼は捕まったきっかけとなった家の妻・稲村葉子が夫を殺そうとしていたとの疑惑を抱いており、"あの時"以来彼の中耳にいる啓二の反対を押しきって捜査を始める。
かつての恋人・安西久子とのぎこちない関係は気になるところ。

刻印・
雁谷署刑事一家の盗犯係長であり、修一のかつての同級生・吉川聡介が変死した。
泥酔にも見えるが、気懸かりがあった―

抱擁・
カプセルホテルや安旅館を転々とする修一の元に久子から連絡が欲しいとの報が入る。
修一を選んだ久子、啓二は二人の仲を応援するが、修一の反応は薄い。
その頃、久子の幼なじみで現三郷警察署署長の娘・三沢玲子から久子の勤める保育園で盗難があり、久子が(修一のこともあり)疑われているらしいと伝えられる。
だが、久子が彼に連絡を取りたがったのは盗難の件ではなく、彼女にプロポーズしたという園の事務長で園長の息子とのことだった。
調べるうちに意外な犯人が浮かび上がる。

業火・
盗人狩りに襲われた修一は襲われた理由を探ることに。

使徒・
刑務所で一緒だった大野からかつての同業者・山内の娘が、引き取り先の家族からの疎外されており、
彼女のためのサンタクロースになってくれ(今年の冬は大野自身が刑務所から出られない)との依頼を果たすことになった修一。
無事に依頼を果たすも、家の外には警察らしき姿が。
大野が修一を売ったのか、それとも?

遺言・
盗人狩りの時に襲われた"宵空き"(宵闇に紛れて空き巣を働く)黛明夫が死亡した。
死ぬ間際、彼は一度しか会ったことのない修一にメッセージを残していた。
メッセージの意味は?彼の身内はどこに?

行方・
お見合い相手が双子の兄弟で、入れ替わりに怒り、弟と破談にした後、
兄がストーカーと化し、困りきった久子が修一に助けを求める。

双子とは、どちらかが影踏みをしているようなもの。
啓二と修一の関係がなんともいえず良い。
それだけに、久子と修一を思って消えようとする啓二、
引き止める修一に(久子には見えない微妙な三角関係が)どうなるかとやきもきし、
最後の啓二が話す死ぬ時の真相はホロリとさせられる。





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Last updated  March 21, 2006 09:08:56 PM
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