日々のあぶく?

2011/08/31(水)13:35

さよならドビュッシー/おやすみラフマニノフ 中山七里

本(1447)

・さよならドビュッシー 大地主を祖父に持つ香月遥は推薦で音楽科のある高校への進学が決まっていた。 遥と同い年のいとこ、インドネシアに帰化した叔母夫婦の娘・片桐ルシアは、 一人来日中にスマトラ島沖地震が起こり、両親を亡くした。 その後、遥の両親不在中に起こった火事で、祖父とルシアは亡くなった。 遥は全身やけど、皮膚移植、リハビリなどを経て、高校へ進学。 祖父の遺産を半分相続する遺言も発表される。 高校では特待生となった後に火事があり、いじめも発生。 特待生であるために短期間で成果を出さなければならなくなった遥に手を差し伸べたのは、 新進気鋭のピアニスト・岬洋介。 従来とは違う指導は、指が思うように動かせなくなっていた遥の状況にはまり、 長時間は無理だが、劇的に演奏復帰できるように。 遥が命を狙わらる様な細工があったり、母が事故か他殺かわからない状況で死んだり、 コンクールに出ることになった遥に対し、一部の反発は強くなる。 ハンデを口にし、くじけそうになる遥に時に優しく、時に厳しく対応する岬は、 犯人探しにも乗り出す。 そしてー 第8回このミステリーがすごい!大賞受賞作品。 前回読んで戦慄した「魔女は甦る」は第6回の最終選考に残った作品だった。 「魔女~」とずいぶんテイストが変わった。 演奏場面の表現が素敵で、原曲を聴きたくなった。 作家の方は音楽経験が?と思いウィキる(笑) ご自身は経験なく、だが、ご長男が音楽高校~大学に進学しているらしい。 調べておいてなんなのだが…すぐ作家の背景がわかるのは便利だけど、 わからず想像する期間がないのはいいのか悪いのか…。 ~ネタバレ~ わかりやすく書いてあるので、火事で区別がつかなくなった遥=ルシアだというのは 早々にわかる。 遥(本当はルシア)の命を狙ったのは、ルシアが祖父と遥を殺したのでは?と疑った 元は祖父、火事後はルシアの介護を担当したみち子さん。 遥の母が亡くなったのは、ルシアが原因。 岬はピアニストとしての才能抜群だが、突発性難聴(左耳のみ)を発症し、 一時期進路を変更、検事正として有名な父に従い法学部に進学、司法試験とトップで通過、 法曹界期待の星であった。そのため、警察でも有名。 今は薬漬けになりながらもピアニストとしての道をすべてをかけて邁進中。 遥(=ルシア)はコンクールで優勝。だが、真相を岬に告げられ、すべてを受け入れる。 ・おやすみラフマニノフ 音大の学長であり、有名なピアニスト柘植彰良と共演できる学内オケの 選抜メンバーに選ばれた城戸晶(バイオリン・コンマス)と柘植学長の孫・柘植初音(チェロ)らは プロへの切符をつかむため、練習に励んでいた。 だが、完全密室で保管されていた、時価2億円のチェロ・ストラディバリウスが盗まれる。 また、学長専用のピアノが破壊されたり、脅迫状が届いたりし、 選抜メンバー内の不信感が募る。 また、指揮担当の指導教授も妨害のような指導をし、大学は警察に通報せず、 コンマスとなった晶は心身ともに追い詰められていき、非常勤講師の岬洋介に助けを求める。 個性的なオケメンバーや、オケ場面などは「のだめ」を彷彿とさせる。 オケ選抜メンバーなどはまさに「のだめ」のSオケ状態。 学長の代わりにピアノを担当することになったのは「さよならドビュッシー」でも 強烈な性格を披露した(才能はあるがアクが強いのでキャラがめっちゃ立っている)下諏訪美鈴。 真相は微妙だが、楽しめるシリーズだと思う。 ~ネタバレ~ 時期としては一部「さよなら~」とかぶっている。 指揮担当教授が指導を放棄し、代わりに岬が指揮をすることに。 美鈴の個性を殺さず、オケと調和させるなど、指揮者としての才能を発揮。 真相は多発性硬化症を発症した祖父を守るために初音が犯行に及んだ。 だが、初音自身も多発性硬化症を発症し、演奏不可能に。 実は柘植彰良の子供(認知はされてない模様)だった晶が、 自暴自棄もあいまって、同い年の姪である初音をかばい、自分が罪をかぶろうとする。 だが、岬に真相を看破される。 元凶である柘植は、父として、祖父としてではなく、ピアニストとして、 プロの音楽家として生きていくことの厳しさを告げ、最期の演奏をする。

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