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アメリカへ出発する日まで、あと一週間しかなかった。
慌しさの中で、僕は理生のことを考えた。何度も何度も・・・・。 大学に入学して初めて会った頃の理生は、固い表情をしていた。生真面目で、不器用 な感じだったな。 大学の仲間で飲み会があるとき、なかなかみんなの中に入ってこれない人がいると、理生は さりげなくその人の横にいって静かに話をしていた。 僕が研究にゆきづまっている時、自分の仕事をするように振る舞いながら、さりげなく僕の 研究を手伝ってくれた。 理生と過ごした日々が、次々と浮かんでくる。 それは、少しも不思議なことではない。 理生は誰よりも僕の傍にいてくれたのだから・・・・・。 僕は荷造りの手を止め、窓を開けた。 五月の風が部屋に流れ込み、夜空には星が輝いていた。 理生、僕は君に言わなければならないことがある。 旅立ちの時までに、君に言っておかなければならないことがある。 理生、僕の声が聞こえるか・・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.05.07 21:04:56
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