お別れ
とうとう来てしまいました。最後の日。利用者さん全員の方にお別れをしたかったけど、止めました。夕べ、1人の方にお話しましたら「どうして辞めるの? ダメ。辞めるなんて言わないで!」と私の手をギュッと握って泣き顔になりました。とっさに私は「少し勉強して、また来るからね。」とウソを言いましたら、「そうなの? なら待ってるからね。」と笑顔で返してくれました。(ああ、また、その場限りのウソを言ってしまった。最後の最後まで。)と私は悲しくなりました。また、もう1人の方にお話しましたら、「また来るって言われても、それまで待てないわ。わたしにお迎えが来る方が早いから・・・。」と言われました。そうなんですね。高齢者の方々だけに、いずれ訪れる「死」を覚悟されていてそれが、近い将来か遠い将来かわからないだけに、不安でいっぱいなのでしょう。この方には気の毒だったけど、それが分かったのでもうこれ以上お別れを言うのを止めました。自分の都合で辞めていく私の身勝手で、利用者さんを悲しませるのはもっとつらいです。職員の方には言葉でお別れして、玄関から出て行く時に胸の中で深く頭を下げました。「利用者の皆さん、今までどうもありがとうございました。」