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2013/09/13(金)12:41

小空経 マッジマ・ニカーヤ 第121経 前半

このようにわたしによって聞かれた。あるとき、尊師は、サーヴァッティに滞在し、東園の鹿母堂(ろくもどう)に住していた。 さて、尊者アーナンダは、夕刻時に独坐の瞑想より立ち上がって、尊師のところに近づいた。近づいて、尊師に敬礼して一方に坐った。一方に坐して、アーナンダは、尊師にこのように言った。 「尊師よ、かのあるとき、尊師はシャカ族のところに住しておられました。都市は、すなわち、シャカ族の都城です。 尊師よ、そこで、(次のようなことが)わたしによって、尊師より、面前で聞かれ、面前で受け取られました。(つまり)『アーナンダよ、わたしは、今、空性の住処に多く住している』と。 これは、わたしによって、善く聞かれ、善く受け取られ、善く注意され、善く知られるものでしょうか?」   【森についての想い】 「たしかに、このことは、アーナンダよ、善く聞かれ、善く受け取られ、善く注意せられ、善く知られた。かつて、わたしは、アーナンダよ、そして、今も、空性の住処に、多く住している。 あたかも、この鹿母堂が、空(=中にいない)であるのは、象や牛や馬や騾馬についてであり、空であるのは、金や銀についてであり、空であるのは、女と男の集まりについてであるが、この比丘の教団による独住だけは、空ではないように、 そのように、実に、アーナンダよ、比丘は、村についての想いに集中することはなく、人についての想いに集中することなく、森についての想いによって独住に専念する。 かれの、森についての想いに向かう心は、躍進し、喜び、確立し、信に向かう(adhimuccati)。 かれは、このように知る。 (すなわち)あったのは、村についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あったのは、人についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あるのは、この森についての想いによって独住する、ただこの不安だけである。 かれは、「空であるものは、この想いにあるものであって、(それは)村についての想いに向かうものである」と知る。 「空であるのは、この想いにあるものであって、(それは、)人についての想いに向かうものである」と知る。 「あるのは、この、森についての想いによる独住であって、それだけが、空でないものである」と(知る。)   以上のように、そこ(A)に全くないそのもの(B)によって、そこ(A)を空であると見る。なおまだそこに余ったものがあるとき、在るところのそれを、「それはある」と知る。 このように、かれには、アーナンダよ、この、如実であって転倒なき清浄な空性が顕現し存在している。   【地についての想い】 さらに、また、アーナンダよ、比丘は、人についての想いに集中することなく、森についての想いに集中することなく、大地についての想いによって独住に専念する。かれの地についての想いに向かう心は、躍進し、喜び、確立し、信に向かう。   アーナンダよ、あたかも、牛の皮が百の棒でよく打たれてしわがなくなるように、そのように、実に、アーナンダよ、この大地について、高いところ低いところ、川の淵、切り株や刺の多い藪、山の崖である一切に専念することなく、地についての想いによる独住に専念する。かれの地についての想いに向かう心は、躍進し、喜び、確立し、信に向かう。 かれは、このように知る。 (すなわち、)あったのは、人についての想いによるもろもろの不安であるが、それらは、ここにはない。 あったのは、森についての想いによるもろもろの不安であるが、それらは、ここにはない。 あるのは、この、地についての想いによって独住する、ただこの不安だけである。 かれは(このようで)ある。 「空であるものは、この想いにあるもので、人についての想いに向かうものである」と知る。 「空であるものは、この想いにあるもので、森についての想いに向かうものである」と知る。 「あるのは、この、地についての想いによる独住であって、それだけが、空ではないものである」と(知る)。 以上のように、そこに全くないそのものによって、そこを空であると見る。なおまだそこに余ったものがあるとき、在るところのそれを、「それはある」と知る。 このように、かれには、アーナンダよ、この、如実であって転倒なき清浄な空性が顕現し存在している。 【空無辺処についての想い】 さて、また、アーナンダよ、比丘は、森についての想いに集中することなく、地についての想いに集中することなく、空無辺処の想いによって独住に専念する。かれの、空無辺処についての想いに向かう心は、躍進し、喜び、確立し、信に向かう。 かれは、このように知る。 (すなわち)あったのは、森についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あったのは、地についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あるのは、この空無辺処についての想いによって独住する、ただこの不安だけである。 かれは(このようで)ある。 「空であるものは、この想いにあるもので、森についての想いに向かうものである」と知る。 「空であるものは、この想いにあるもので、地についての想いに向かうものである」と知る。 「あるのは、この、空無辺処についての想いによる独住であって、それだけが、空ではないものである」と(知る)。 以上のように、そこに全くないそのものによって、そこを空であると見る。なおまだそこに余ったものがあるとき、在るところのそれを、「それはある」と知る。 このように、かれには、アーナンダよ、この、如実であって転倒なき清浄な空性が顕現し存在している。 【識無辺処についての想い】 さて、また、アーナンダよ、比丘は地についての想いに集中することなく、空無辺処についての想いに集中することなく、識無辺処についての想いによる独住に専念する。かれの、識無辺処についての想いに向かう心は、躍進し、喜び、確立し、信に向かう。 かれは、このように知る。 (すなわち)あったのは、地についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あったのは、空無辺処についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あるのは、この識無辺処についての想いによって独住する、ただこの不安だけである。 かれは(このようで)ある。 「空であるものは、この想いにあるもので、地についての想いに向かうものである」と知る。 「空であるものは、この想いにあるもので、空無辺処についての想いに向かうものである」と知る。 「あるのは、この、識無辺処についての想いによる独住であって、それだけが、空ではないものである」と(知る)。 以上のように、そこに全くないそのものによって、そこを空であると見る。なおまだそこに余ったものがあるとき、在るところのそれを、「それはある」と知る。 このように、かれには、アーナンダよ、この、如実であって転倒なき清浄な空性が顕現し存在している。   【無所有処についての想い】 さて、また、アーナンダよ、比丘は空無辺処についての想いに集中することなく、識無辺処についての想いに集中することなく、無所有処についての想いによる独住に専念する。かれの、無所有処についての想いに向かう心は、躍進し、喜び、確立し、信に向かう。 かれは、このように知る。 (すなわち)あったのは、空無辺処についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あったのは、識無辺処についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あるのは、この無処有処についての想いによって独住する、ただこの不安だけである。   かれは(このようで)ある。 「空であるものは、この想いにあるもので、空無辺処についての想いに向かうものである」と知る。 「空であるものは、この想いにあるもので、識無辺処についての想いに向かうものである」と知る。 「あるのは、この、無所有処についての想いによる独住であって、それだけが、空ではないものである」と(知る)。 以上のように、そこに全くないそのものによって、そこを空であると見る。なおまだそこに余ったものがあるとき、在るところのそれを、「それはある」と知る。 このように、かれには、アーナンダよ、この、如実であって転倒なき清浄な空性が顕現し存在している。 【非想非非想処についての想い】 さて、また、アーナンダよ、比丘は識無辺処についての想いに集中することなく、無所有処についての想いに集中することなく、非想非非想処についての想いによる独住に専念する。かれの、非想非非想処についての想いに向かう心は、躍進し、喜び、確立し、信に向かう。 かれはこのように知る。 (すなわち)あったのは、識無辺処についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あったのは、無処有処についての想いによるもろもろの不安であるが、それらはここにはない。 あるのは、この非想非非想処についての想いによって独住する、ただこの不安だけである。 かれは(このようで)ある。 「空であるものは、この想いにあるもので、識無辺処についての想いに向かうものである」と知る。 「空であるものは、この想いにあるもので、無所有処についての想いに向かうものである」と知る。 「あるのは、この、非想非非想処についての想いによる独住であって、それだけが、空ではないものである」と(知る)。 以上のように、そこ(A)に全くないそのもの(B)によって、そこ(A)を空であると見る。なおまだそこに余ったものがあるとき、在るところのそれを、「それはある」と知る。 このように、かれには、アーナンダよ、この、如実であって転倒なき清浄な空性が顕現し存在している。

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