映画「新・第三の極道」(95)
中条きよしの現代任侠もの。かつて敵対した組織の組長(清水紘治)に見込まれ、その組の若頭に迎えられた中条だが、それをおもしろく思わぬシーザー武志(いわずとしれたシュートボクシングの総帥、結構俳優でも出てる)が反発。幹部会での入れ札を提案して追いおとしを謀る。さらには中条のおそらくは愛人であろう行きつけの店の女将をさらい、幹部会への出席すらさせまいとする。また阪神大震災を劇中に取り込んだ早期の事例であり、シーザーとつながるチンピラ集団が被災地で悪事を働き、義援金輸送車の強奪をはかったりする。タイトルの第三の極道とは中条に協力する普段は堅気で裏盃をかわしている人々を指す。興信所の探偵や実は腕っぷしがたつオカマ(正道会館の角田!芸達者な人である)などなど。でも、第一と第二の極道の定義がわからない。自分はやくざ映画は十代の頃、実録路線「仁義なき戦い」から入ったもので、どうしても「仁義なき戦い」以降の作品、かつ現代もので任侠道などと言われてもしらじらしく感じてしまい、本シリーズなども食わず嫌いで手を出していなかった次第。が、観るとそれはそれで案外、楽しめてしまった。ただ、シーザー武志にしろ、チンピラ集団にしろ、中条が前半で一蹴した相手がしつこく食い下がるという感で、真の強敵という印象ではない。任侠おそるべしと思ったのはさらわれた女将のくだり。組員を使って探すのは「筋が違う」と否定の中条。てっきり第三の極道らを動員と思いきや、女将、中条が幹部会出席のため、そのまま敵に暴行を受け、裏ビデオまで撮られる始末(まあ、基本的に三池監督作なので女性はひどい目に遭うと思って観てたけど)。和服も乱れたまま、解放され、ようよう店に帰ってきた女将。カウンターだけの店、待っていた中条、あれこれ言うかと思いきや、ただ一言のみ、「すまん」。任侠道、誠におそるべし(おまけに翌日観た第三作には女将登場せず、オーイ)。と思いつつ、自分も今度から何か謝らねばならぬ時にはこれ一言で押し通そう、とひそかに参考にしたりして(笑)。なお、ツタヤにはこの「新…」から並んでいたので、てっきり本作起点のシリーズかと思いきや、話が未見の「第三の極道」から直接つながる(あとで自宅書棚のVシネ本、三池本を確認したらもその旨、書いてあった)。実は二作目からリリース元が変わり、キャストも川谷拓三から清水に変更になったため、いかにも前作からの回想のような部分も清水出演による撮り直しとなっていたのであった。