マカオ在住の娘夫妻が襲われ、娘は重傷、義理の息子、孫二人の命を奪われて復讐に立ち上がったのはルシファー顔のジョニー・アリディ。滞在するホテルでの殺しの現場に出くわしたことでアンソニー・ウォン、ラム・シュー、ラム・カートンのトー監督常連役者らの殺し屋三人組を知り、自らの復讐の手助けに雇う。今はパリのレストランのオーナー・シェフだが、もともとは暗黒街の男アリディ。銃さばきを通じてウォンらと心通わす。銃の組み立てを競い、射撃訓練で野っ原、次々と当てる銃弾で古自転車を走らせるくだりは男たちの児戯まじり、観ていて楽しくなる場面。が、アリディには過去に頭に受けた銃弾から致命的なハンディが。記憶力に障害があり、復讐の意義すら忘却の瀬戸際にある状態だった…。毎度ながら愛しいまでに心揺さ振る香港ノワール。殺しの黒幕にして三人組のボスの無邪気な凶気サイモン・ヤムも含め、原っぱで立方体状に固められた古紙を転がしあっての銃撃戦などよくもこんなシチュエーションをの、ぬけぬけぶり。また、殺人現場の家で冷蔵庫をのぞ
き、娘が用意した食材だと料理を振る舞うアリディなど食をめぐるシーンの豊かさもトー監督の世界ならでは。豊穣なその作品世界に今作も酔わされ、泣かされる。
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最終更新日
2010年05月01日 13時56分22秒
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