ウィルス関連の用語 一覧
ウィルス関連の用語 一覧参照:https://www.riken.jp/press/2018/20180508_1/index.html#note2◎1.内在性レトロウイルス(ERV)トランスポゾンの一種である。ゲノム中のおそらくレトロウイルス由来の配列であり、ヒトゲノム中の約8%、マウスゲノムの約10%を占めると考えられる。外来性レトロウイルスが生物に感染し、生殖細胞ゲノムに取り込まれ、次世代に受け継がれて生物ゲノム中に定着したもの。多くのERVは内部の配列に変異を持つものが多く、トランスポゾンとしての活性を失っているものが多い。ERVはEndogenous Retrovirusesの略。2.自己免疫疾患何らかの免疫異常によって自分の身体を構成する物質を異物のように認識し、自己抗体や自己に反応するリンパ球を作り、自分の組織を攻撃する疾患。代表的なものに関節リウマチなどあるが、根本的な治療法は見つかっていない。3.DNAのメチル化DNAを構成する塩基のシトシン(C)にメチル基を付加する反応。遺伝子の制御領域の高度なメチル化が、遺伝子発現を抑制すると考えられている。4.ノックアウト目的の遺伝子を人為的に欠失させること。5.転写因子DNAに結合するタンパク質。遺伝子の発現量を調節する機能があり、発生や成長に重要な役割を担う。6.トランスポゾン細胞内でゲノム上の位置を移動(転移)することができるDNAの単位。動く遺伝子。ヒトゲノムの半分以上を占める。7.エピジェネティック修飾遺伝情報を伝達するDNAの塩基配列自体には変更を加えず、DNAのメチル化やヒストン修飾などの化学修飾(メチル基やアセチル基、リン酸基等が可逆的に付加されること)を介して、ゲノムDNAの機能に変化をもたらす修飾のこと。8.ヒストン修飾ヒストンとは染色体を構成する主要なタンパク質である。染色体は、ヒストンH2A、H2B、H3、H4のそれぞれ2分子からなる八量体に、DNAが左巻きに1.65回巻きついた複合体を基本単位(ヌクレオソーム)として存在している。ヌクレオソームから各ヒストンのアミノ酸末端領域が突出しており、メチル化やアセチル化、リン酸化などの修飾を受けることにより、染色体構造に変化をもたらし、遺伝子発現の抑制や活性化を調節する。9.ES細胞脊椎動物の初期胚が持つ、全ての種類の体細胞へ分化する能力を多能性という。多能性を持ち、試験管内で培養して無限に増やすことができる細胞を多能性幹細胞という。ES細胞は、哺乳類の着床前胚(胚盤胞)に存在する内部細胞塊から作製された多能性幹細胞。10.次世代シーケンサーサンガー法を利用した蛍光キャピラリーシークエンサーである「第一世代シークエンサー」と対比させて使われる用語。機種によるが、一度に107~1010(1,000万~100億)個のDNAの配列を決定できる。以前はヒトのゲノム配列を決定するのに14年程度かかったが、次世代シークエンサーを用いると、数日で決定できる。11.線維芽細胞結合組織を構成する細胞の一つ。コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった真皮の成分を作り出す。核小体が明瞭な楕円形の核を有し、細胞質は塩基好性を示す。12.VL30ファミリーERVのファミリーの一種。げっ歯類のみに存在する。13.LTRウイルスゲノムの両末端に存在する、数百塩基の長い繰り返し配列。ウイルスの転移活性に必要なほか、さまざまな転写調節配列が存在する。LTRはLong terminal repeatの略。14.MAPK経路MAPキナーゼ(mitogen-activated protein kinase, MAPK)経路は細胞の増殖、分化、ストレス応答などに関わるセリン/セレオニン プロテインキナーゼファミリーのシグナル伝達経路であり、真核生物のあいだで広く保存されている。15.ノックダウンmRNAの分解促進でタンパク質の量を著しく低下させることにより、遺伝子の機能を大きく減衰させる方法。遺伝子破壊以外の操作により行う場合が多い。