仙台散歩 : 「7月31日 脱原発みやぎ金曜デモ」 戦争法案反対なる暑中見舞!
古い友人から暑中見舞いが届いた。東北大学理学部を卒業し、東京で職業人を終え、今は故郷の北九州で暮らしている。厳しく労働運動を生き抜いた友人らしい葉書だ。涼しげな花火模様の暑中見舞葉書の中央に朱文字で書かれているのはたった2行だけだ。 安保法制断固反対 原発再稼働許さじ 暑中見舞などほとんど書いたことのない私は、さてどんな返事にしたものか思案中だが、この2行以外はすべからく枝葉末節に思えてしまうのが辛い。 集会@錦町公園。(2015/7/31 18:45、46) 仙台としては珍しく暑い日が続く。いや、この時期は毎年こんなふうに暑い日が続いていて、年ごとに老いる身がその年の分だけ暑さが増すように感じているだけかもしれない。 集会の司会も、デモの途中で倒れたりしないようにご自分の体調に十分に留意されたいという言葉で始まった。 フリー・トーク。(2015/7/31 18:44~56) 東京第五検察審査会が、東京電力の元会長ら3人を業務上過失致死罪で強制的に起訴すべきだという議決したというニュースを、主催者が報告した。これは、検察審査会による二度目の議決で、これで福島原発事故の責任をめぐる裁判がやっと始まるのである。 九州電力が8月中の川内原発再稼働を目論んでいるというニュースも流れる中、福島事故の責任を問う裁判は大きな意味があるだろう。あれだけの甚大な人的被害をもたらしながら誰も責任をとらないようにしてしまう政治・行政、社会のシステムの過誤を問うばかりではなく、各電力会社の再稼働への姿勢を押しとどめ、再考させる効果もあるのではないかと思う。 続いて、脱原発をめざして太陽光発電施設を市民の手で作ろうという運動に対して宮城県から補助金交付がなされることが決まったという報告があった。「脱原発をめざす」と明示する市民活動に原発推進の宮城県が補助金を出すというのがこの話のミソである。 「ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)」についての話もなされた。2011年4月、福島県飯舘村から強制避難させられたことを苦にして102才の大久保文雄さんが自殺したことに触れられて、福島県民の苦難は何ら解決していないこと、支援打ち切りで高汚染地区への帰還が進められていることなどを強く批判された。 仙台市議選候補者への原発問題に関するアンケート結果がいくつかのURLに公表されていることや、最終処分場の候補地の一つ、加美町の町長選で現職の猪股洋文さんが無投票当選されて、引き続き町民一体となって処分場反対運動を行っていくことなどの話があった。ミンミンゼミ(集会だけ参加)。(2015/7/31 18:52) 集会の途中、ミンミンゼミが飛んできて「さよなら原発」の旗竿に止まっていた。声を出さなかったので、メスのミンミンゼミらしい。この夏、こんなに間近でセミを見たのはこれが初めてである。 いちおう、集会参加者にカウントするが、デモには不参加らしく錦町公園の樹間に消えていった。 錦町公園から定禅寺通りへ。(2015/7/31 19:07~15) 先週の日曜昼ゼミの参加者は35人だったせいか、今日の55人はとても多く感じる。もちろん、デモは参加者が多いほどいいに決まっているが、これぐらいの人数はカメラの納まり具合がとてもいいのである。 これ以上の人数の場合には、広角レンズに替えたりしながら写すこともあるのだが、今日は1本のレンズですませられる。 一番町へ入る。(2015/7/31 19:20、21) 一番町へ入ると、デモの交通安全担当のスタッフが駆け寄ってきて、「配ってましたよ」とチラシを1枚渡してくれた。SEALDs_TOHOKUが主催する「戦争法案ヤバいっしょ! 学生デモパレードin宮城」のパンフである。 広瀬通りを渡ると、フォーラス前でSEALDs_TOHOKUのメンバーが街宣していたのだが、顔見知りがさきほどのチラシを配っていた。どちらかといえば「ミドルズ」なのだが、応援を買って出たらしい SEALDs(シールズ:Students Emergency Action for Liberal Democracy-s)が主催する「戦争法案に反対する国会前抗議行動」が圧倒的な動員力を発揮し続けている。それをきっかけに学生を初めとする若者たちが全国各地で声を上げ始めた。 仙台でもSEALDs_TOHOKUが発足し、8月9日(日)に最初の抗議行動を起こす。私はミドルズをさらに越えていて「ジールズ」とでも呼ばれるべき年齢だが、せめて後方からでも応援したくて花京院緑地公園には行ってみるつもりだ。 SEALDsのめざましい動員力をマスコミが積極的に報道するようになったせいか、一方でSEALDsに対する卑劣な中傷、恐喝が始まっている。ネトウヨ市議がSEALDs に参加する学生は就職が難しいなどという脅迫じみた内容をフェイスブックに投稿したり、堀江貴文なる人物が「私なら採用しない」などと、その脅迫投稿に便乗したような発言をしている。挙句の果てに、SEALDs は革マルから資金提供を受けているなどいうデマを政権中枢で口走っているというニュースまで流れている。 こうした動きは、自公政権がSEALDs を初めとする広範な国民の反対行動に恐れをなして、焦っているためだろうというのが大方の見方である。その辺のことは、7月30日付けの朝日新聞や31日付けの日刊ゲンダイが取り上げている。 朝日新聞の記事では企業の人事採用担当者がデモに参加することと人事採用とはまったく関係がないと断言しているし、日刊ゲンダイの記事はこのような権力サイドの誹謗中傷で国民の抗議行動を抑えるのは難しいというコメントで締め括っている。いずれにせよ、安倍自公政権ないしはその周辺の悪あがきに過ぎない。 私も定年間近の2年間、学科の就職担当教授なるものを引き受けて、多くの企業の人事担当者と話をしたり、就職活動する学生の推薦書を書く仕事を担当いたことがある。その経験から言えば、SEALDsのような活動を立ち上げたり、それに参加するような学生ほど就職に有利だとしか思えないのである。 優良な企業ほど学生を見る眼がしっかりしていて、学生の社会性、積極性、自発的な解決能力などを高く評価する傾向にある。そして面接などを通じてそのような人材を見抜く目を持っている。短期的に使い捨てるような人材なら何も考えないような学生でもいいだろうが、長期的な視野を持つ会社ほどその傾向が強い。 多くの人間を組織し、社会のルールに則った抗議行動を企画し、そのうえで自治体や警察ときちんと交渉して公園の使用許可やデモの許可などをもらうという一連のことができる能力を持つ学生をまともな企業が放っておくはずがないのだ。 証券取引法違反で自らも有罪判決を受け、ライブドアを上場廃止にした堀江貴文が、抗議活動をするような学生を「私なら採用しない」と言ったことは、学生を送る側の立場からは歓迎すべき発言なのだ。そのような経営者がいる企業に優秀な学生を就職させたくはないのだから、経営者の方で採用しないというのはたいへん喜ばしいのである。ブラック企業に就職したい学生なんていないのだから。 広瀬通りから青葉通りへ。 (2015/7/31 19:26~30) 戦争法案反対が喫緊の政治課題であることは間違いないが、川内原発の再稼働が近日中と予想される情況の中で脱原発、反原発の行動も緊急性を増している。 おそらく、このデモを歩いている参加者の多くは、戦争法案反対を強く胸にしまい込んで脱原発コールを叫んでいるに違いないのである。 東二番丁通り(国道4号)。 (2015/7/31 19:40)解散地点。 (2015/7/31 19:43) 夕方になれば涼しくなる仙台でも、夢中でデモを歩き、大声でコールに応えれば、けっこうな汗をかくのである。 仙台七夕を過ぎ、お盆が来れば、仙台には秋風が吹く。季節の変化を楽しみに待ち望むというのも、デモの効用のひとつであろうか。