「1月20日 脱原発みやぎ金曜デモ」 氷雨降る夜の街を行く!
昼過ぎから雨が降り出した。夜には雪になるという予報だった。家を出て勾当台公園に向かう途中で、雨に雪が混じりだした。そのまま雪に変わるのかと思ったが、街の真ん中はずっと雨のままだった。 雨が降るくらいだから仙台としては暖かいのである。とはいえ、冬の雨が楽しいはずはない。野外音楽堂に人は少ない。前が降っているということで、集会は屋根のあるステージで始まった。 勾当台公園野音ステージで。(2017/1/20 18:08~18:30) 1月27日から公開される映画『スノーデン』のオリバー・ストーン監督がインタビューで語ったことの話題から集会は始まった。IWJの岩上安身さんの質問に答える形で、マルウェアによるサイバー攻撃(サイバー戦争)について話している。 スノーデンの証言は、アメリカが日本全体を監視対象にしているばかりではなく、送電網やダムや病院などのインフラ施設にマルウェアを仕込んでいるというもので、ストーン監督はスノーデンの証言は信じられると話している。 すでにアメリカ(とイスラエル)は、2007~2010年にイランの各施設にマルウェアを仕込むことに成功し、世界中にサイバー戦争は可能であることを知らしめている。日本のインフラ設備に仕掛けられたマルウェアは、日本がアメリカの同盟国を止めたときにそのが発動するだろうと考えられが、しかし、ストーン監督はそもそもアメリカは日本を同盟国とは考えていないのではないかと語る。つまり、メキシコ、ブラジル、オーストリアなどなども含めた普通の戦略対象国の一つにすぎないのである。 監督は、岩上さんのようにサイバー戦争の現実性を深刻に受け止めているジャーナリストはほとんどいないことを嘆いてもいる。これもまた、ギュンター・アンダースが語る「アポカリプス不感症」なのであろうか。核によって人類が絶滅するという世界の終わりを私たちがリアルに想像することができないのと同じように、サイバー戦争というバーチャル空間の戦争を私たちはリアルに想像することができていないのではなかろうか。 二日前(18日)に、原子力規制委員会が佐賀県の玄海原発3、4号機が新規制基準に合格したと発表した。もともと規制委員会は原発を再稼働させるために作られた御用委員会なので、そのような結論は想像の範囲内にすぎない。 玄海原発の30km圏内に壱岐島がかかっている。もともと30kmで避難計画を立てることに問題があるが、一つの島を30kmで分断して避難計画を立てるなどは愚の骨頂である、というのが主催者挨拶だった。 ニュージーランド旅行から帰ってこられた人が、原発のないニュージーランドについて話された。ニュージーランドには「非核法」があって、原子力を一切認めていない。かつて、アメリカの原子力空母の寄港を「非核法」によって断固として拒絶している。 原発ばかりではなく、現在は火力発電所の建設も認めていないうえ、水力発電のためのダム建設も住民に拒否されていて、自然エネルギーへの転換が進んでいる。自然度の高いニュージーランドから学ぶことが多い、と話された。 宮城県の環境生活農林水産委員会が「仙台パワーステーション建設問題に関する公聴会の開催を求めることについて」の請願の審議を行ったが、この件について公聴会を行う法制上の権限がないため、採択ではなく「趣旨採択」となったという報告もあった。公聴会は開かれないが、3月中旬には説明会が開かれるということである。 同じ委員会で8000Bq/kg以下の放射能汚染廃棄物を一般ゴミと混焼するという問題も審議されている。委員からは「もっと時間をかけて慎重にやるべき」、「保管してのちに焼却処分を行うべき」、「廃棄物を保管している農家へ東電が保管料を支払うよう県が働きかけるべき」などという意見が出されたが、県は混焼を目指すという主張に頑なに固執しているという報告もあった。 県の主張のなかに、「6年も保管している農家の我慢も限界だから焼却するのだ」というのがあったが、半減期30年のセシウムのことを考えれば、6年など短すぎて問題にならない。国や県が責任をもってきちんと保管すれば「農家の我慢の限界」などは発生することもなかったのである。県の主張は、行政の怠慢を農家の感情の問題にすり替えているにすぎない。 女川原発2号機の原子炉建屋3階で耐震強度が7割ほど低下したことが、原子力規制委員会での審査会合で明らかになったというニュースの話題も話された。東日本大震災やその余震による強い揺れで建屋の壁が損傷して強度低下が進み、建屋全体の壁にはと1130ヶ所ものひび割れが見つかっている。 7割も耐震強度が落ちた建築物が安全とはとうてい考えにくい。東北電力は建屋だけの問題としているが、建屋の耐震強度がそれほど極端に落ちてしまうほどの揺れにあった原発本体に問題がないと想像するのはきわめて難しい。県の検討委員会で、「被災原発」としての規制基準を作るよう国に働きかけるべきだという専門家の発言がいかに重要であるかを立証するようなニュースである。 昨年12月に原発建設等を行うCB&I社の子会社CBIストーン・アンド・ウエブスター社(S&W社)を買収したばかりの東芝の損失が7,000億円にのぼるというニュースの話題もあった。2006年の米原子力大手ウェスチングハウスの買収から発生した損失を「東芝メディカル」という優良企業の売却益で何とか凌いだ東芝は、今度は半導体部門を分社化、売却して乗り切る方針らしい。そうすれば、東芝には原子力部門しか残らないことになる。原発に固執した大企業の末路が見えてくるような話題だった。いずれ、三菱や日立にもその将来像が危ぶまれる日がきっと来ることだろう。勾当台公園から表小路を一番町へ。(2017/1/20 18:38~18:44) 35人のデモは、勾当台公園から表小路を西に向かい、仙台市庁舎の前で一番町へと左に曲がっていく。 一番町に入る前は暗いが、雨に濡れた路面が車の光を反射してデモ人は美しい影になっている。雨降りはいやだが、雨の降る夜の写真は好きである。一番町を行く。(2017/1/20 18:48~18:59) とても心配なニュースをネットで見つけた。10月18日付けの下野新聞に掲載されていた「福島原発事故の10カ月後、周産期死亡率が急上昇したというというニュ―スだ。 周産期死亡率というのは、妊娠22週から生後1週までの死産や新生児死亡の割合で、それが岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬の6県で2012年1月に前月に比べて15.6%も急上昇したという大阪の小児科医とドイツ環境保健センターの研究報告がアメリカの医学誌に報告されたという。 チェルノブイリ事故でも、後年さまざまな健康被害が発生したと報告されている。残念ながら、原子力推進を掲げる国際機関はなかなか認めようとしないが、この研究を報告した医師の林敬次さんが言うように、原発事故による「健康被害調査を広い範囲で包括的に実施すべき」であることは間違いない。 低線量被ばくでどのような障害が発生するか、いまだ不明なことが多いのはたしかである。しかし、不明であること、未知のことがらを人は畏れるべきである。ましてや、低線量被ばくがもたらすものは生命に関わることである。それは個人の生命であるばかりではなく、人類の生存の問題ですらある。私たちは、環境の放射線レベルがどれくらいで人類の生存は可能であるかを残念ながら知らないのである。 福島事故でばらまかれた放射能によって発生した汚染ゴミを焼却して再び環境に放射能をまき散らすこと、汚染土を建設土として全国にばらまいて日本の環境全体の放射線レベルを上げてしまうことに畏れを抱くべきである。その不可逆性を畏れるべきである。何よりも、私たちはいまだに無知なのだという事実そのものを畏れるべきである。氷雨の降り続く青葉通り。 (2017/1/20 19:04~19:10) いつの間にか、カメラのレンズに雨粒がついていた。気をつけていたつもりだったが、確認もしないで写し続けていた。雨滴によるボケも雨の日のデモらしくていいだろう(まあ、負け惜しみである)。 読書や絵画鑑賞のブログかわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)日々のささやかなことのブログヌードルランチ、ときどき花と犬(小野寺秀也) 小野寺秀也のホームページブリコラージュ@川内川前叢茅辺