季節が進む山:戸神山定点観測?(2025年4月28日)
また戸神山である。小旅行に出かけたりして2週間ほど筋トレ散歩をしていないので筋トレ散歩とカメラ散歩と山歩きをいっぺんに済まそうと思い立った。昨年は6月7日、先日は4月11日に戸神山を歩いた。前回から17日、さらに5月15日くらいに行ければ春の戸神山の定点観測になりそうで、心が動いている。ただ、初夏からは少し高い山の花を見に行こうと思っていて、戸神山定点観測は春限定にしたい。 戸神山は自宅から国道1本で少し入ればすぐに登山口という便利さと、504.4mという高さも高齢者には手ごろな山である。登山はもちろんだが、南面の山麓を辿る古い林道跡のトレッキングコースもある。ほんとうに人の少ない山だが、昨年の下山時にはトレッキングコースを歩く私と同年代の3人組に出合ったし、今日も登山路とトレッキングコースの分岐点の手前で出会った高齢のご夫婦はトレッキングコースへ入って行った。戸神山の最大の欠点は、登山口に近い道沿いにたくさんのゴミが捨てられていることである。林道を車が入れた時代に棄てられたと思われる。車が通れない今となっては回収が不可能な大型のゴミもある。 登山道に入って最初に見つけたのはムラサキケマンである。ずいぶん昔に七ツ森でこの花の群生を見てからのお気に入りである。昨年の四月から終活として山歩きを再開して最初に行ったのが七ツ森だった。時季がずれていたようで叶わなかったがムラサキケマンが見たかったのである。 ムラサキケマンは登山道の初めに見られただけで、その後はまったく見当たらなかった。小さな白い花を見つけて写したが、オオバタネツケバナという花だった。よく見るタネツケバナは見過ごしてしまうことが多いのだが、花を見ようと歩いていれば目に入るのである。近郊の雑木林でよく見かけるチゴユリも見つけた。小さな花ながら姿かたちの凛とした良い花である。 先日やっと見つけたショウジョウバカマが咲いていたところに、堂々とした濃色のイカリソウが咲いていた。山に入ればイカリソウは珍しくない花だが、この大きさと花の色の濃さはあまり見た記憶がない。近くには白色に近いあわいイカリソウもあり、その中間の色合いのものまでポツポツと咲いていて少しばかり興奮した。 山を行けばヤマツツジと言えるほど珍しくないのだが、山中で見かけた花の咲いているヤマツツジはこれ1本だけだった。ツツジの種類は多いけれども花の色でヤマツツジを見間違うことはない(レンゲツツジも似た色をしているが)。いい色である。ヤマツツジを見た後は、ウシハコベ、ニョイスミレ(ツボスミレ)と小さな白い花を続けて撮った。 小さいけれど黄色で目立つ花は、ヘビイチゴだろう。花を見ただけではヘビイチゴかヤブヘビイチゴか私には見分けがつかない。昨年6月の戸神山でヤブヘビイチゴの実をマクロレンズで撮ることができてとても良い写真になった。実がなれば種類の同定は容易だろうと思う。 イチゴはイチゴでもキイチゴの白い花があちこちに見える。葉の形からニガイチゴと見当をつけた。眼を上げると鮮明なトウゴクミツバツツジの花が見えた。40年以上も前、戸神山の近くの丘陵を歩き回った時に花が咲いているこの木をたくさん見て感動したことがある。しかし、ヤマツツジと同じように花が咲いているのはこの木だけだった。 雑木林が切れるあたりに休憩所(跡?)になる小さな場所がある。かつては休憩所らしく自然木の椅子(ベンチ?)が円形に並べられていた記憶がある。そこから先はやや平坦な道が杉林の中に続いている。日があまり当たらない杉林の中には、ウラシマソウ、ニリンソウ(ニリンソウなのになぜかほとんど一輪しか咲いていなかった)、エイザンスミレが次々に見つかる。 黄色い花が目に付いて近づいてみるとヤマブキソウに見える。しかし、かつて見たヤマブキソウの大群落はもっと明るいところだった(今、その群生地は人間の住む場所になってすっかりと消えている)。帰ってから調べると葉の形からホソバヤマブキソウらしい。林の中に生えるとも書いてあった。 花を撮るのに夢中になって山中を歩き回っていたら、気がつけば11時30分である(9時に歩き出した)。12時まで帰宅して昼食の準備をすると宣言して家を出たのだが、山を下るだけで12時を過ぎてしまう。急ぎ足で下ったのだが、道の途中、急ぎ足で下ることができる自分に驚いたのである。あまり疲れていないのだ。山道だろうが何だろうが花の写真を撮りながら歩くのは、圧倒的に休憩時間が多いということで疲れないらしい。読書や絵画鑑賞のブログかわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)日々のささやかなことのブログヌードルランチ、ときどき花と犬(小野寺秀也)