|
テーマ:犬のいる生活(14)
カテゴリ:犬のいる生活
『最後から二番目の恋』というテレビドラマがあった。ちらっとしか見たことはないが、いいタイトルだと思った。老いたひとりが恋をしたとして、それを最後の恋と考えるよりも、最後から2番目の恋として未来にある余地、ある場所を残しておく方がずっと良い。
昨年の9月、イオは12才になった。十分な年齢である。富岡多恵子の詩にこういうのがある。
7年としたら、イオは84才相当ということになる。犬に関する本では犬の1年が人間の4年ほどに相当するという説があって、そうであれば、ほぼ50才相当である。上の詩にはもちろん文学的誇張があるのだが、いずれにしても犬は駆け足で生を過ぎてゆく。 だが、現在のイオは若い牡犬に夢中である。昨年あたりから見かけるようになったバロンという名の8才も年下のボーダーコリーである。 昨年くらいからバロンと出会うようになり、そのたびにイオが落ち着かなくなるのだった。ボーダーコリーのイメージが良くなかったこともあって、イオは嫌がっているのではないかと思って避けるようにしていたのだが、どうも様子がおかしい。イオがしきりに鼻を鳴らすのである。そばに行きたいということらしいので、おそるおそる近づいて挨拶をすると、イオは大はしゃぎでバロンに絡みつくのだった。
誰かを恋するに年齢は関係ないか、咲くべき花の原型はずっとイオの心の内にあったのだ、などと思い直した。それからはせめてもの飼い主のつとめとして、バロンと出会える確率の高い散歩コースと時間帯を選ぶようにしているのである。 バロンという犬は、イオと私のなかにあったボーダーコリー観を一変させた。じつに穏やかな性格の犬で、はじめはまとわりつくイオにずいぶんと戸惑っていたが、静かに相手をしてくれるようになった。どっちが年上か分からないのである。 イオは、リードを離せる場所ではスィッチが入ったように駆け回ることもあるのだが、散歩の途中で歩きたくないという素振りを見せることが多くなった。飼い主としてはどの程度の運動量が適切なのか、迷っている状態である。 2、3才の頃、サブちゃんという牡犬と激しく興奮して転げ回ったが、バロンとも同じように遊びたいと思っているらしい。夢中になりすぎてサブちゃんに激突してしまい、ふられてしまったことを忘れたのか。イオよりも年老いた飼い主は、12才になったのだから静かな大人の恋はどうですか、などと余計なことを考えてしまう。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.03.30 14:51:55
コメント(0) | コメントを書く
[犬のいる生活] カテゴリの最新記事
|