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山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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2014.01.27
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テーマ:街歩き(661)
カテゴリ:街歩き

  東京の街歩きは、どこを選んでも私に特別な思いがある場所というのはない。高円寺も同じで、せいぜい街の魅力についての三浦展さんの著述が記憶に引っかかっている程度だ。

 たとえば、いま若者にどんな街が人気なのか。インタビューしてみればすぐにわかるが、多摩ニュータウンや港北ニュータウンが好きだというものはほとんどいない。雑誌『東京ウォーカー』などの人気投票で上位に来るのは、吉祥寺、下北沢、高円寺といった街だ。そこにも、「共異体」への志向性が現れている。
 ......
 まず、それらの街には多様で異質な物が存在している。豊かな社会で育った現代の若者にとっては、物がたんに大量に存在するだけでは魅力がない。自分の知らない、異質な物、店、人が多様に存在することが重要である。 [1]

 吉祥寺、下北沢、高円寺といった街には車があまり通らない。車の多い幹線道路は街の中心から外れている。代官山、自由が丘もそうだ。道は概して狭く、街路が入り組んでいて、あたかも梅の枝のように微妙に曲り、分岐しながら、ラビリンス的な魅力を生みだしている。こういう魅力は、郊外のロードサイド空間にはまったくないものだ。 [2]

  この高円寺を歩くのだが、街を一度通り抜けるだけで「共異体」の実感を得るなんてことは不可能だ。ただ、街歩きの場所を決めるとき、地図を見ながら「道は概して狭く、街路が入り組んでいて、あたかも梅の枝のように微妙に曲り、分岐し」ている街を選んでいる。そんなところには確かに歩く楽しさがある。

  東京メトロ丸ノ内線「東高円寺」駅から地上に出て、地図にある緑地を見に行くと「蚕糸の森公園」だった。国立の蚕糸試験場が昭和55年に筑波に移った跡地を公園にした旨を記した碑があった。

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Photo A 蚕糸の森公園広場のプラタナス。 (2014/1/27 12:59)

  公園広場の真ん中にはじつに立派なプラタナスの大木(Photo A)がある。その向こうには、壁面を水が流れ落ちる滝(?)が作られている。その背後に回ってみると、小さな一筋の滝があって、そこから流れでた水は公園の中の小川(Photo B)になって、日の光を浴びてきらきら光っている。

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Photo B 公園の中を流れる小川。(2014/1/27 13:00)

  蚕糸の森公園を出発点として歩き始めるが、東高円寺駅前の交差点(Photo C)を渡りながら、イタリアンの店を見つけた。お店が混むランチ・タイムをはずして昼食にしようと、小一時間くらい歩いてから昼食にしようと考えていたのだが、計画変更である。

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Photo C 「東高円寺駅前」交差点。 (2014/1/27 13:07)

  「GRAND PA」というイタリアン・レストランで、頼んだのは「エビのマッシュルーム・クリームソ-ス(タリアッテレで)」という名前のパスタ。ミンチ状のマッシュルームをクリームで溶いたようなソースで、エビと輪切りのオリーブの実が入っていて、とてもおいしいパスタだった(白ワインもついでに1杯)。
  自宅にマッシュルームで作った茸ソースの作り置きがあるので、それを生クリームで溶いたら、ほぼ同じようにできるような気がする。レシピを一つ教えてもらったようななんとなく得をした気分で、あらためて歩き出す。

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Photo D 「ニコニコロード」入口。(2014/1/27 13:32)
Photo E) 「ニコニコロード」商店街。 (2014/1/27 13:33)

  「東高円寺駅前」交差点から北へ向かう道を歩き始めると、すぐ右手に商店街らしい狭い道が見える。入ってみると「ニコニコロード」と看板の付いた街灯の下にさらに丁寧に「ニコニコロード」いう旗がいくつもぶら下がっている小さな商店街である。

  ニコニコロードは大久保通りを越えて続いている。大久保通りを越えてすぐ左手に「田中稲荷」という小さな神社がある。そこの案内看板によれば、ニコニコロードは中野駅から蚕糸の森公園脇を通って堀之内の妙法寺まで続く「堀之内新道」の一部だという。明治29年の普請で「新道」なのである。

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Photo F 犬は歩けない遊歩道。(2014/1/27 13:40)

  田中稲荷神社を過ぎると、この堀之内新道は歩行者専用路(Photo F)を横切る。その道の入口に「旧稲荷橋」という小さな石柱があるので、小川の埋め立て地を散歩道にしたものらしい。この手の遊歩道は、東京にはずいぶんたくさんあるようだ。
  遊歩道なのだが、「園内に犬を入れないで下さい」という看板があって、犬と一緒に散歩ができない道なのであった。そういえば、小さな公園で同じ看板をいくつか見た。公園にも遊歩道にも犬を連れて行けない東京の愛犬家はどこを散歩しているのだろう。犬好きの私には、なんとも息苦しい話だ。
  公園なるものは、何を目的として作られるのだろう。ただ単に、公園は在ることが望ましいもの、として慣性的に作られてはいないか。

この余儀ない子供たちの〔街路や入り組んだ露路からなる子供たちのメタフィジカルな〈公園〉からの〕後退に呼応するように、都市公園は、いくらかの罪亡ぼしの意味もふくめて〈新たな部分〉をつけくわえた。この〈新たな部分〉は、極彩色に塗られたコンクリート製の築き山であったり、円筒形の飛び石であったり、動物の模像であったり、セメントの樽でつくったような太鼓橋であったりする。ときには、貝殻やかたつむりのような形をしたコンクリート製の宇宙船である。つまり都市組織工学に結びつけられた建築設計家たちは、超モダンでちゃちな〈枯山水〉を、〈公園〉のなかにしつらえて子供たちに提供しはじめたのである。しかし子供たちが欲しいのはコンクリートつくりの極彩色の〈枯山水〉ではなくて、街路と入りくんだ露路とから成立っている〈街衢〉そのものの占有である。
                
吉本隆明「修景の論理」から [3]

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Photo G 還七通りからY字路を過ぎて、桜のある通りへ。  (2014/1/27 13:53)

  旧水路上の遊歩道から右に折れると小さな公園があって、そこもまた犬は入園禁止なのであった。公園脇の道を道なりに歩く。次第に左へ曲っていく道は住宅街を通って還七通りの「高円寺南五丁目」交差点に出る。

  還七通りを越えるとすぐにY字路に出る。その道に一本だけ桜の木が生えていた(Photo G)。桜並木もいいが、桜の木が一本だけというのは花の季節にはとてもいい景色になるものだ。私はそういう桜が好きだ。

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Photo H 高円寺参道と山門。(2014/1/27 13:54)

  桜の木の下を過ぎると左手に「高円寺」の山門(Photo H)が見えてくる。参道を進むと、山門前には低い柵が並べられて入れない。山門の右脇の道を通って本堂へ向かう。本堂の前には銀杏の大木。寺や神社には銀杏の古木がつきもののようだ。

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Photo I アロエの大木と金柑の木。(2014/1/27 14:03)

  高円寺の山門横の小径を抜けて、寺の西脇の道を北上する。寺と墓地の間の狭い坂を上がって行くと道は少しずつ右へ右へと曲っていく。道脇には、みごとに繁茂したアロエの大木(?)が花茎を四,五本上げている。その少し先には、金柑の木がたくさん実を成らせている。どちらも私の住む仙台ではなかなか見られない。

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高円寺Map。Sは写真撮影ポイント。地図のベースは、「プロアトラスSV7」。

 

[1] 三浦展『ファスト風土化する日本』(洋泉社 2004年)p.190。
[2] 同上、p.197。
[3] 吉本隆明「修景の論理」『情況』(河出書房新社、昭和45年)p.129-130。

【続く】






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Last updated  2014.02.03 15:39:21
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