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テーマ:街歩き(663)
カテゴリ:街歩き
【続き】
若林の住宅地の道を抜けると、白い塀に突き当たる。宮城刑務所の塀だが、漠然と想像していたのはくすんだ色の高い塀に囲まれている刑務所だったのだが、低いとは言えないがべらぼうに高い塀ではないし、色はもっとも明るい白なのだった。 刑務所というと、ドラマティックな感興が湧きそうな気もするが、じっさいには何も浮かばない。生活実感とかけ離れているということだろう。いや、本当のところ、まったく無縁というわけでもない。私が4、5歳の頃、やくざな父親が刑務所(あるいは拘置所、留置場)に入っていたのだが、それは別のところに書いた。繰り返して言及するほどの特別な感情は生まれないということだ。 刑務所の塀に沿って歩くというのは退屈な散歩だ。変化というものがない。やれやれ、やっと刑務所の白塀が終ったと思ったら、古城小学校の長いフェンスが続く。道の反対側は住宅地だが、まったく普通の住宅地である。
古城小学校の西端を右に折れて行くと、大きなマンションが3棟見える。この辺は古城一丁目のはずなのに「ロイヤルコート河原町」という看板があった。一番近い地下鉄駅「河原町」に因んだものだろう。確かに、地下鉄を降りて東にまっすぐ歩いてくればマンションの前に出るのである。
宮城野貨物駅に向かうJR貨物線の高架をくぐると踏切が見え出す。「行人塚踏切」の表示が高く掲げてある。ちょうど赤いランプが点滅して、下り電車が通過していった。
行人塚踏切を渡って新幹線の高架の下を通れば、ふたたび住宅地である。 これは帰宅してからネットで調べたことだが、広瀬川の氾濫を鎮めようと人柱になった行者がいて、その人の塚が「行人塚」と呼ばれていた。その塚の地に建立されたのが古城神社で、水防の神様なのだという。これで、踏切名と神社が結びついた。 JR線を越えると河原町である。商店と住宅が混在する道を200mほど西に歩いて左折する。その道も、ほとんど同じような道で、写真で見比べてもどこで撮ったか判然としないほど似ている街並みだ。
道の先に広い旧市電通りが見え出す。週日なのでもう通勤の車が混み出している。大通りに出る手前を左折した。地図で見つけていた「桃源院」という寺院を覗いておこうと思ったのだ。 なんか、私とイオの朝ドラ散歩は神社仏閣を訪ね歩いている雰囲気になってきたが、それにはわけがある。地図で街歩きの場所を探すとき、神社や寺がいい目印になる。神社や寺があるということは、その土地に古くから人が住んでいる証拠になる。そういう街が散歩で楽しめるというのは経験が教えてくれた。
桃源院を出て広瀬橋に出る。歩き出しは上流側の歩道を歩いたので、帰りは下流側の歩道を歩く。下流を望むといっても、JR線の鉄橋があって遠くの景色は見えない。それで、川を覗き込むように写真を撮った。波立ちのいい流れである。夏ならば、鮎のいい付き場になるような瀬だ。 旧市電通りは通勤の車がびっしりと並んで渋滞している。コインパーキングからスムーズに出られるのか不安になるほどだ。まだ勤めていた頃、自家用車で出勤したこともあったが、いつも通勤渋滞が終った時間帯の出勤だった。今頃になって、恵まれた職場だったとしみじみ思うようになった。
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