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山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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2017.04.15
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カテゴリ:街歩き

 とりたてて花見というものをやらなくなってから久しい。仙台城址近くに位置する私の家の近辺には花見にいい場所がいくつもあるので、季節になれば毎年のように義母の車椅子を押して花見に出かけることもあった。113歳になった今ではそれもいくぶん無理になった(それでも、明後日の日曜日に義母は教会に行きたいと言っている)。
 年齢とともにどんどん酒量が減って、それに見合うように私のなかで花見への関心も薄れていったようだ。つまり、情けないことに私にとっての「花見」とは「飲み会」のことだったということなのだ。
 ただ、けっして桜の花への関心がなくなったわけではない。2年ほど前には、仙台城址近辺の桜の花の写真を撮り、それぞれの品種名をできるだけ調べ、所在地をマップ上に記したブログを6回にわたって書いたこともある。いまでは、そのブログを町内会のホームページに転載して、近所の桜木の案内として利用している。

 仲の瀬橋を渡って西公園を過ぎると、公園に向かう大勢の花見客とすれ違う。桜がすっかり満開になった錦町公園にもたくさんの花見客が芝生の上で円座になって宴を開いている。金曜日の夕べは花見かデモか、というわけだ。
 金デモの集会は、花見で賑わう芝生からグランドを挟んだ反対側で始まった。






桜満開の錦町公園で。(2017/4/14 18:09~18:24)

 民主党の細野豪志衆院議員が党代表代行を辞任したことに絡んで静岡県知事選に立候補するのではないかと取り沙汰されている。「細野さんは民主党政権時代に原発の再稼働を主張した人だ」と、主催者挨拶はその話題に触れた。脱原発知事はいわばブームのようなものだが、「私たちは脱原発知事を見たい。ただの権力亡者は見たくない」と話は進んだ。

 飯館村と福島市の中間にある川俣村は東電1F事故の被災地といえるが、その川俣村で毎年開催されるフォルクローレの音楽祭「コスキン・エン・ハポン」の話題と、東北電力の話を聞くだけの宮城県の「女川原発2号機の安全性に関する検討会」の批判スピーチのあと、三つの告知があった。
 一つ目は、4月22日、23日の二日間にわたって錦町公園で開催される「アースデイ東北2017」の案内である。22日は10:00~16:00(昼の部)、17:00~20:00(夜の部)、23日は10:00~16:00の開場で、フリーマーケットや音楽ライブなどが行われる。
 弁護士の河合弘之さんが監督した映画『日本と再生――光と風のギガワット作戦』の上映会がせんだいメディアテーク7階スタジオシアターで5月14日13:30~16:30と5月17日10:00~12:30に開催される。原発から自然エネルギーへの転換を求めて、世界の自然エネルギーの実際を描いている映画である。へ申し込みは専用サイトまたは電話(生協あいコープみやぎ 0120-255-044)で。
 『規制基準の問題点』と題する舘野淳さん(核・エネルギー問題情報センター事務局長)の講演会が仙台市・フォレスト2階第7会議室で5月14日13:30から開催される。日本の原子力規制は世界の水準に程遠いもので、政府が言う「世界最高水準」は大ウソであることなど、原子力規制委員会の新規制基準と審査の問題点について話される予定。

 最後に「春が来た」の替え歌の脱原発ソングが披露され、デモで歩きながら歌いましょうということになって、歌えるコーラーが選ばれた。

太陽が好き 春風が好き 雪解け水も好き
豊かな大地 自然が一番 原発入らない




定禅寺通りを一番町へ。(2017/4/14 18:32~18:43)

 集会には「脱原発をめざす宮城県議の会」の中嶋廉さんと角野達也さんも参加され、中嶋さんはデモのコーラーも引き受けられ、替え歌脱原発ソングも美声でこなされていた。
 集会が始まった時はまだ明るかったが、集会中に薄暗くなり、40人の「春宵デモ」は定禅寺通りの緩やかな坂を下って一番町に向かう。






一番町。(2017/4/14 18:45~17:00)

 アッキードスキャンダルと共謀罪法案などいやな話題でネットは賑わっている所へ、アメリカによるシリアへのミサイル攻撃や北朝鮮近海への米空母攻撃群の移動などのニュースが加わって、原発関連の話題はすっかり霞んでしまった。
 そんな中でも、九州電力玄海原発3、4号機の安全性が確認されたと佐賀県知事が発言し、佐賀県議会は再稼働容認の決議をしたという報道があった。玄海原発の30km圏内には佐賀、長崎、福岡3県にわたる一町七市が含まれ、そのうち伊万里市、松浦市、平戸市、壱岐市が再稼働に反対している。
 玄海町と唐津市は、ちょうど東北電力女川原発の立地自治体としての女川町と石巻市に相当する位置にある。玄海町は、2016年度の町予算の59%、42億5千万円が原発関連の収入になっている。ほかの立地自治体と同様、原発関連収入はいわば「麻薬」となってしまって、原発にすがるしか自治体の未来はないかのようだ。
 女川町も、2011年以降は震災復興予算が大幅に増額して原発関連収入は判然としない(経済音痴の私には読み取れない)のだが、2009年度予算では65%の64億円が原発関連の収入だった。
 3・11以降に停止している原発への国の交付金は、原発の81%が稼働しているものと見なして交付されているが、例えば、美浜町の原発関連収入が昨年度の41.5%から今年度は37.3%に減っているように、軒並みその額を減らしている。
 ところが、3、4号機をいったん再稼働した高浜原発のある高浜町では前年度の30%から一挙に55%へ増額した。これは、原発交付金を欲しがる立地自治体に再稼働を急がせようとする政府の方針があって、原発が稼働する立地自治体へは交付金を重点配分するためである。
 このような交付金配分は、地方自治体の「金め」を当てにした政策であって、こんな政治を続けてきたる自民党の政治家には国民がすべて「金め」で動いているとしか見えないのである。しかし、原発建設を阻止して拒否し続けている地域は全国に29ヵ所もある。処理施設や貯蔵施設を含めれば64か所に及ぶ(水口憲哉『淡水魚の放射能』(フライの雑誌社、2012年)より)。「金め」で動いてしまった自治体より、「金め」に動じない自治体の方が多いのである。
 原発を容認し、建設を認めてしまった自治体は、その収入を原発に依存する体質から抜け出せず、原発廃炉どころか、原発の増設を望むようになる。「禁断症状」が亢進してしまうのだ。
 東京電力福島第一発電所のある大熊町に生きて、事故後に避難先のいわき市で亡くなった歌人、佐藤禎祐が原発立地の町を詠んでいる佐藤禎祐歌集『青白き光』(いりの舎、平成23年)

原発依存の町に手力すでになし原子炉増設たはやすく決めむ
原発に縋りて無為の二十年ぢり貧の町増設もとむ
リポーターに面伏せ逃げ行く人多し反対を言へぬ原発の町
原発に自治体などは眼にあらず国との癒着あからさまにて
原発を本音で言ふはいくたりかうからやからを質にとられて
原発に縋りて生くる町となり燻る声も育つことなし
うからやから質に取られて原発に物言へぬ人増えてゆく町
 
 そして、原発事故後、次のような歌が詠まれていた『短歌』2011年10月号)

眠れざる一夜は明けて聞くものか思はざりし原発の放射能漏れ
死の町とはかかるをいふか生き物の気配すらなく草の起き伏し



青葉通り。 (2017/4/14 19:01~19:07)

 闇がしっとりしている。闇のぬくもりに触る。毎年毎年、春の宵にはそんな思いを感じ直している。昨年の春宵の闇より今年の闇が濃くなったはずはないのだが、ひとつ老いた分だけ闇が濃いのか。神経が脆弱になった分だけ闇に圧倒されるのか。いずれにしても、そんなに悪くない味わいではある。
 できるだけ暗い方へ暗い方へと道を選んでデモから帰る。


 

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かわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)

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Last updated  2017.04.16 07:18:41
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