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山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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小野寺秀也

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2018.05.02
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テーマ:街歩き(613)
カテゴリ:街歩き

 高校生だったか、大学に入っていたか、もうすっかり忘れてしまったが、国見の頂上にある仏舎利塔まで歩いて行ったことがある。一人ではなかった。数人の友人たちと一緒だったはずだが、その顔触れも記憶にない。
 かろうじて覚えているのは、仏舎利塔と仙山線の踏切、踏切の近くに仙台女子商業高等学校があったことくらいである。仙台女子商は、男子商と統合されてその場所にはもうない。記憶にある目印がなくなって、どの道を通っていったのか判然としない。
 候補の道は2本ある。一つは東北福祉大学の脇を通る道であり、もう一つは唸坂を上って行く道である。東北福祉大学近くを歩いたことは何度もあるのだが、その付近を通って国見峠に向かったという実感はまったく生じなかった。ただ、当時と様子がすっかり変わってしまったということもあるかもしれない。
唸坂(うなりざか)というのは、作並街道(国道48号)から登っていく急坂で、伊達政宗の仙台築城で使う石を引く牛がこの坂で唸り声を挙げたことに由来する名前だという。石を引くときは下り坂で、空荷の帰り足で坂を登るときに唸ったのだろうが、それほどの坂ということらしい。

​​
Photo A(左) 唸坂(1)。(2018/5/2 5:11)
Photo B(右) 唸坂(2)。(2018/5/2 5:13)​​

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Photo C(左) 唸坂(1)。(2018/5/2 5:18)
Photo D(右) 唸坂(2)。(2018/5/2 5:20)​​


 街歩きや散歩の道筋に坂があるのはいい。道が曲がっているのもいい。作並街道を通るたびにこの唸坂を一度は歩いてみたいと思っていた。つまり、この坂を歩いた記憶はやはりないのである。
 大崎八幡宮の大鳥居を今日の散歩の起点として歩き始めた。作並街道から唸坂を覗くと、坂はすぐに左に曲がっていって木立の陰に隠れてしまう。もうこれだけで十分に散歩人には魅力的な導入部なのだ。
 もう3年も山登りをしていない。十分に自覚しているつもりだが、歩き始めれば坂の終わりを早く見たくてつい歩幅が大きくなる。もちろん、そんな歩き方はとても長続きしないので、しだいに歩幅は狭く、足の運びと呼吸をシンクロさせるようになる。
 登り始めてすぐに道は作並街道と平行になるが、どんどん高度を稼いでいく。この辺りは、仙台の旧市街の西北を囲むような丘陵地帯で「荒巻」と呼ばれている。仙台城のある青葉山も地名で言えば「荒巻字青葉」のはずである。
 その丘陵の一部が広瀬川に削られて谷になっていて、作並街道はその谷の中腹を川に沿って作られた道で、唸坂はその作並街道から丘陵の頂上に向かう道なのである。これは帰宅後に見たGPSによるトラックデータによるのだが、大崎八幡宮から国見峠頂上付近の仏舎利塔の標高差はほぼ200メートルである。


Photo E 門前のオダマキ。(2018/5/2 5:22)​


 歩くペースと呼吸は落ち着いてきたが坂道はずっと続いている。道の左側は下の作並街道まで急激に落ち込む斜面だが、立派な屋敷や塀の切れ目の所々には鬱蒼とした林を下っていく細道があったりする。その道を辿って行きたい衝動に駆られるが、誰かの屋敷に続く私道の可能性もある。早朝5時に他人の敷地に踏み込んでしまう勇気はない。
 しかし、長い坂だ。どこかに唸坂の終点があるのだろうが、よくわからない。ようやく道は作並街道から離れるようにわずかに北寄りに方向を変える。そこから見える坂は少し緩やかだが、見える範囲で登ってきた距離と同じほどの長さである。
 坂道といえども、見通しのいい道はいくぶんつまらない、などと思いながら道脇を見るとオダマキが咲いている。それも石段の中央、石の隙間から生えているらしく根本には白いスミレも花開いていた。道から6、7段、幅は1.5メートルほどの石段のまん中で立派に成長している。
 そのオダマキは大事にされているにちがいない。株を痛めないように気を遣って出入りしているであろう家人を思って、思わずカメラを向けた。


Photo F JR仙山線「国見」駅。(2018/5/2 5:30)​


Photo G 東北文化学園大学前の坂道。(2018/5/2 5:31)​


Photo H 電波塔が見え出す。(2018/5/2 5:38)​


 信号を一つ越えたあたりから道は緩やかになり、道の先にJR仙山線の「国見」駅と踏切が見え出す。信号のあるあたりが唸坂の終点で、「唸坂上」と呼んでもいいかもしれない。
 仙台女子商業高等学校はかつてこの辺にあったということをネットで知ったのだが、道はもっとずっと狭くて、人家も少ない記憶と、現在の風景は比べようがない。記憶と干渉しあう要素をまったく見つけられない。
しかも、踏切を越えれば、東北文化学園大学のビル群の前をまっすぐに道は登っている。その直線性において、記憶とは絶縁しているのだ。
 コンクリートを踏みしめて歩いて行くと右手に国見浄水場の広い敷地が見えてくる。ここの水は、広瀬川の支流、大倉川上流の大倉ダムから直接送られてくると思っていたが、そうではないらしい。ダムから取水された水は大倉発電所で利用されて大倉川に放流された後でふたたび取水されて国見浄水場に送られて来るのだという。
 国見浄水場にさしかかったところで見上げると国見峠の電波塔が見える。相当な坂道が続くが、とにもかくにも電波塔までは行かなければと少し急ぎ足になる。上りはじめに比べれば道はずっと緩やかである。

​​
Photo I1(上)仙台仏舎利塔への参道(?)。(2018/5/2 5:48)
Photo I2(下)山門(?)と急坂。(2018/5/2 5:50)​​


 道の右手は、国見浄水場、仙台高校と続くが、左手斜面は森である。林の側には歩道はなく、浄水場側の歩道を歩いていたのだが、林のへりに白い花の咲く木がところどころに見える。ウワミズザクラには少し花期が早いような気がして、道を渡って見に行った。アオダモだった。
 歩道のない林のへりを歩いていると、ときどき後ろから車が追い越していって、やや安全性に欠ける。そろそろ歩道に戻ろうと思ったころに林の中に道を見つけた。方向的にはまっすぐ頂上に向かっている。無駄になっても、林の中の草地の道は歩いてみたい。
 何の花も咲いていない道を登っていくと、ちょっとした台地になっていてそこに門があった。インド風の装飾があって、案内はないものの仏舎利塔への道らしい。このような門をどう呼ぶのが知らないが、仏教寺院に倣って山門と呼んでおこう。
 山門の向こうは急斜面の道で、しかも裸地である。少しならず驚いた。登山道ならいざ知らず、ふつうなら階段道だろう。そう思いたくなるほどの傾斜なのである。
 つい最近整地したらしく、剥き出しの土に木の根が残されていて、少しずつ草が萌えだしていた。そのなかに、ノコンギクかヨメナらしい草があった。葉を撫でてみると、どうもヨメナらしい。ヨメナを鉢植えにしたいと思っていた(ノコンギクは二つの大鉢で繁茂している)ので持ち帰りたかったが、土を掘るとそこを起点にして道が荒れそうな気がした。大げさだが、それほどの斜度なのだった。


Photo J1 仙台仏舎利塔。(2018/5/2 5:55)​


Photo J2 電波塔。(2018/5/2 5:58)​


 息を切らして上り詰めると、そこは仏舎利塔のまん前である。さすれば、この登ってきた荒々しい道は「表参道」ということなのか。また少し驚きなおしたのだった。
 この仏舎利塔は、日本山妙法寺の山主藤井日達上人が当時のネール首相から送られた仏舎利を収めるために建立されたことを記した案内板があった。日本山妙法寺という宗派は行動的な宗派らしく、​仙台の脱原発デモ​で一緒に歩いたことがある。〔人類絶滅の恐怖〕の象徴である日本全国に広がる全原発の廃炉解体を祈る「命の行進」の途次だったという。首相官邸前や国会議事堂前の抗議行動でも数人のお坊さんを何回か見かけたことがある。
 人類の平和や人々の安寧を願う宗教人がその信仰心に基づいて行動することは当然と言えば当然だが、過去も現在も現生の権力や栄華が欲しくて時の政治権力にすり寄る宗教団体が後を絶たないこと考えれば、いかにも貴重なことではある。一つ二つの大臣席が欲しくて、原発推進ばかりではなく、自衛隊を海外の戦地で戦わせようとする集団的自衛権を認める戦争法案を自民党と一緒になって成立させた宗教団体をバックにする政党すらあるというのに、何とも得難いことのように思える。
 宗教や政治の話はひとまず置いて、散歩を続けなければ……。


Photo K 国見峠付近。(2018/5/2 6:04)​


Photo L 霞む仙台市街。(2018/5/2 6:07)​

Photo M 仙台高校過ぎの坂道。(2018/5/2 6:17)


 国見峠という以上、そこは道筋でなければならない。仏舎利塔から尾根筋を北に向かうと変則的な四差路(十字路とは言い難い)に出る。国見ケ丘五丁目という案内図のあるこの辺りの道筋が国見峠ということだろう。
さて、ここからは帰路となり、ひたすら下る道になる。下っていく道のむこうには仙台市街が遠望できる。見えると言ってもすっかり霞んでいて、ビル群が薄い影絵のようにしか見えない。急坂が続くこの付近にはどこか市街を遠望できるいい場所があるに違いない。たとえば仙台高校の屋上などは展望台としてどうだろう、そう思いながら右手に仙台高校の校舎を眺めながら通り過ぎる。


Photo N 分岐。(2018/5/2 6:23)​


Photo O JR仙山線の歩行者専用踏切。(2018/5/2 6:27)​


Photo P JR仙山線「東北福祉大前」駅。(2018/5/2 6:30)​


 坂道が緩やかになって、分岐路に出る。どちらを行くか決めていなかったが、左は広い新出来の道、右のほうが古い道らしい。ということで右の道に入る。
 また急坂になった道は緩やかにワインディングしていて、突然、目の前に踏切が現れた。広くはないが立派な車道だと思っていたが、突き当りは歩行者専用の踏切なのだった。
 道はほどなく貝ヶ森からやってくる広い道に合流する。その道は、高架になっている仙山線「東北福祉大前」駅の下を通ってくる。この駅も初めて見たように思う。
 右に折れて下っていけば、国見台病院に出る。国見台病院のあたりまでは何度か歩いて来たことがある。わが家からの散歩としては、たぶん時間的にも距離的にもこの辺りが限界ということだろう。


Photo Q 国見大病院前の交差点。(2018/5/2 6:32)​
​​
Photo R1(左) 大崎八幡宮北参道(1)。(2018/5/2 6:42)
Photo R2(右) 大崎八幡宮北参道(2)。(2018/5/2 6:43)​​


Photo S 大崎八幡宮表参道のゴールデンレトリーバー。(2018/5/2 6:48)​


 国見台病院前の交差点を右折すれば国見小学校の裏の道に出る。​「蟹子沢遡行」​と称して沢跡を辿る街歩きのときに国見小学校まで到達したのだが、その先の沢筋を見失って諦めたことをはっきりと思いだした。
 これからは見慣れた風景となって少し急ぎ足になる。今日の散歩は時間がかかると思って、自宅を4時45分くらいに出たのだが、ここでもう6時半を回っている。7時までは帰りたいと計画していたが、もう無理である。
 国見小脇の道を下り、子平町のバス通りを南に折れて、大崎八幡宮の駐車場に入る。駐車場から続く北参道の雰囲気が好きで、大崎八幡に来た時は必ず通っている。
 大崎八幡の本殿前で軽く一礼をして急いで表参道を下る。八幡町通りに面した大鳥居の手前に犬がきちんと向こう向きに座っている。横を人が通ると、そちらを向いて座りなおしている。
 私が近づくと私の方を向いて座りなおす。飼い主さんが胸のふさふさした長毛を撫でてやる。見事な毛並みのゴールデンレトリーバーだった。「素晴らしい毛並みですね。ほんとうにゴールデンレトリーバーらしい」と声をかけると、飼い主さんははにかみながらもとても嬉しそうに微笑むのである。
犬と飼い主さんに別れて、帰路を急ぎながら考えた。もしかしたら、飼い主さんは飼犬のみごとな毛並みを自慢したかったのかもしれない。犬もそのことをよく理解していて、通る人の方に向き直って座ることを繰り返していたのではないか。さらにさらに、もしかしたら毎朝のようにあそこで自慢しているのかもしれない。
 そんなことを思っていた。さて、それを確かめるために、この時間帯に散歩がてら見に来ようかとも思ったのだったが、確かめない方がいいような気もした。
 美しい犬に出合って、今日の散歩は終わったのである。



散歩コースと撮影場所(地図のベースは、「プロアトラスSV7」)。


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Last updated  2018.05.05 17:59:18
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