テーマ:日本の伝統と文化(316)
カテゴリ:自然 生活 社會 醫療
謹賀新年
正月と云ふことで、宮内廳ホ─ムペ─ジに掲載された天皇皇后兩陛下が平成十六年にお詠みに成つたお歌を。 宮古島 さたうきびの 高く伸びたる 穂を見つつ 畑連なる 御所にて 二首 顕微鏡に 向かひて過ごす 夏の夜の 研究室に 台風の つぎつぎ来り 被災せし 人思ひつつ 大島に 船近づきて 青松園の 浜の人らと 手を振り交はす 地震により 谷間の棚田 荒れにしを 痛みつつ見る 山古志の里 あまたなる いにしへ人の ねむりゐる 西都原台地に 苗木を植うる 種ぐさの いのち育くむ 藻場にせむと 小さきあまもの 苗を手渡す 真心を こめて開かむと 埼玉に 三千人の 合唱響く 皇后陛下御歌 時じくの ゆうなの蕾 活けられて 南静園の 踊り 大君の 御幸祝ふと 八瀬童子 踊りくれたり 幼児生還 天狼の 眼も守りしか 土なかに 生きゆくりなく 皇后陛下の御歌について 第一首 今年1月、両陛下は沖縄の宮古島でハンセン病療養所 ─ 南静園 ─ をお訪ねになった。以前、沖縄本島で同様の施設を訪ねられた時の皇后さまの御歌に詠まれていたからだろうか、両陛下をお迎えする園内には、まだ季節には早いゆうなの花の蕾が1つ飾られており、このことと、入所者との静かな語らいの思い出を重ねて、この御歌を詠まれている。 南静園 ─ 全国に十三ある国立のハンセン病療養所の一つ。沖縄の宮古島にある。 時じく ─ 時じくには、二つの意味があり、時を問わず常にあることもいうが、この場合第二の意味で、時に非ず、時節ではないことの意。ゆうなの季節にはまだ早く、普通にはまだ蕾も見られない頃であったので、このように詠まれている。 参考 いたみつつなほ優しくも人ら住むゆうな咲く島の坂のぼりゆく (昭和五十年沖縄愛楽園御訪問時の御歌) 第二首 今年8月、京都行幸啓にあたり、八瀬の人々が京都御所の前庭で踊りをお目にかけた。その夜、踊りの人々と共にご覧になった三日月を若い月としてお詠みになっている。 八瀬童子 ─ 八瀬は京都左京の一地区。この村の人は昔より八瀬童子と称し、朝廷の重要な儀式や天皇の行幸の際に、御輿(みこし)(天皇の乗り物)をになう役割にあたった。 第三首 中越地震の被害者の一人であった幼児が、四日ぶりに土石の下から救出された喜びを詠まれた御歌。空におおいぬ座のシリウス(天狼星)が登る季節、ある時は天狼の眼も守ったのだろうか、と詠まれている。 天狼 ─ 天狼星、おおいぬ座の首星シリウス ゆくりなく ─ 喜ばしい思いがけなさをいう時に用いる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年12月26日 13時49分12秒
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