テーマ:日本の伝統と文化 二(42)
カテゴリ:歴史 傳統 文化
旧暦八月十四日。葉月、せきれい鳴く。 秋田人が生まれ変はる? 四変身プラン提案 県民性改革は困難とも 「ハンドバッグ購入費」「子供服購入費」「美容院の人口比率」全国一位…一方「十万人当たりの自殺率」同一位、「多重債務相談件数」同二位。奥ゆかしく真心あふれるが、「いゝふりこぎ(見栄つ張り)」で「ひやみこぎ(怠け者)」。そんな秋田人を「変身」させ、衰頽する県勢を変へようと官民一体で作る「秋田の将来研究会」は、昨年度、「秋田人変身プロジェクト」を実施、先月報告書をまとめた。秋田人は本当に変身できるのか? れた秋田県人の特徴は、「自転車旅行中、地元の人が自宅に泊まるやう勧めてくれたのは秋田だけ」といつた心温まる多くのエピソードとともに、「商売下手」「(他県と違ひ)雪が降ると始業時間になつても半数の社員が出社しない」「他人の足を引つ張る」「リーダーシップに乏しい」「酒を飲まないとコミュニケーションできない」「他力本願」など耳が痛い指摘も相次いだ。 秋田の県民性は、他の東北地域と比べ、飢饉がほとんど発生しない裕福な地域だつたこと、四方を山と海に閉ざゝれた県土といつた歴史的、地理的な要因が長い時間をかけ形成させたといふ。大正二年に作られた旧軍による秋田連隊の性格を記した報告書にもかう記されてゐる。「県内有望なる各種事業は皆他国人の占有する所」「勤勉の美風に乏しく生活不規則(中略)山形民に比すれは雲泥の差」「服装最も華美なりとの評」 「飲酒の癖あり」「進取力に乏しき」。 「当時の文献と現代の特徴はほとんど変はつてゐない」と、一月に開かれた公開フォーラムのパネリストで『あ やぶにらみ秋田経営風土記』(無明舎)などの著作がある会社顧問、荒谷紘毅氏は嘆く。「今と昔では秋田を取り巻く環境が全く異なる。日本の経済構造が変はり地域格差が広がるなか、悪しき地域性を直していかねば、自殺率やがんの疾病率は改善しないだらう」 「秋田の将来研究会」はエピソードを下敷きに報告書で、(一)子供からの変身(二)家庭からの変身(三)男の変身(四)リーダーの変身の「四つの変身」を提案。具体案には、子供や親子対象の「お財布教育」や、変身を果たした団体やそのリーダーを表彰する「変身大賞」などが提案された。 県綜合政策課は「例へば、子供のころから『お財布教育』で 経済観念が身につけば、見栄つ張りな県民性から、多重債務に陥り、最後は自殺に繋がるといつた悪循環を断てる」と話す。今月中に「県教委など関係機関に報告書を上げ、施策政策に反映させる方針」だ。 一方、プロジェクト自体への反対論もある。アンケートでも一割程度が反対意見だつた。 『出身県でわかる人の性格 県民性の研究』(新潮社)などの著作がある岩中祥史氏も懸念を示す。「想像力豊かな秋田県人らしい著眼だが、県民性の良い部分と悪い部分は表裏一体で個人の性格と同じ。現在の秋田の厳しい環境を思へば、『変へたい』との思ひは分かる。だが時代によつて、県民性がプラスになる時代もあれば、マイナスに働く時代もある。そもそも県民性は変へようと思つて変へられるものか疑問だ」 賛否両論が寄せられたプロジェクトだが、「数百年をかけ培 つてきた県民性を変へるのは難しい」(荒谷氏)といふ点では皆、一致してゐる。一方、県は「報告書で県民が自分たちの性格を自覚するきつかけになれば」と話す。 今月十六日、民間の元メンバーの有志が県庁に集ひ、「秋田人変身プロジェクト推進協議会」を発足。湯瀬早百合会長(五十七)らは「報告書でプロジェクトを終はらせるのはもつたいない」とし、第二回の公開フォーラム開催などを決めた。 秋田人の変身は始まつたばかり。だが「コラ 何につけても一杯呑まねば物事はかどらぬ」(秋田音頭)と悠長に歌つてゐる時代は過ぎ去つたことだけは確かなやうだ。 ■秋田県の持つ「全国一位」 本文中の十二年連続でワースト一位の自殺率や、子供服購入費以外に、癌死亡率(十年連続)、脳血管疾患、肺炎の死亡率 が全国一位。不慮の事故による死亡率は全国二位。さらに出生率は十二年連続で、自然増加率は十一年連続で、婚姻率は七年連続でワースト一位(十八年の調査)。 一方、刑法犯認知件数は全国最少。中学二年の身長が男女ともに一位。昨年の全国学力調査では、小学生が全国一位、中学生もトップクラスだつた。 秋田人の性格を表す例え話として「岩手人は『俺もやるからお前もやれ』、山形人は『俺はやらないけどお前はやれ』、そして秋田人は『俺もやらないからお前もやるな』」が有名(秋田人変身プロジェクト報告書別冊より)。 (平成二十年四月三十日 午後三時四十九分 産經新聞) 【正字】舊暦八月十四日。葉月、せきれい鳴く。 秋田人が生まれ變はる? 四變身プラン提案 縣民性改革は困難とも 「ハンドバッグ購入費」「子供服購入費」「美容院の人口比率」全國一位…一方「十萬人當たりの自殺率」同一位、「多重債務相談件數」同二位。奧ゆかしく眞心あふれるが、「いゝふりこぎ(見榮つ張り)」で「ひやみこぎ(怠け者)」。そんな秋田人を「變身」させ、衰退する縣勢を變へようと官民一體で作る「秋田の將來研究會」は、昨年度、「秋田人變身プロジェクト」を實施、先月報告書をまとめた。秋田人は本當に變身できるのか? れた秋田縣人の特徴は、「自轉車旅行中、地元の人が自宅に泊まるやう勸めてくれたのは秋田だけ」といつた心温まる多くのエピソードとともに、「商賣下手」「(他縣と違ひ)雪が降ると始業時間になつても半數の社員が出社しない」「他人の足を引つ張る」「リーダーシップに乏しい」「酒を飮まないとコミュニケーションできない」「他力本願」など耳が痛い指摘も相次いだ。 秋田の縣民性は、他の東北地域と比べ、饑饉がほとんど發生しない裕福な地域だつたこと、四方を山と海に閉ざゝれた縣土といつた歴史的、地理的な要因が長い時間をかけ形成させたといふ。大正二年に作られた舊軍による秋田連隊の性格を記した報告書にもかう記されてゐる。「縣内有望なる各種事業は皆他國人の占有する所」「勤勉の美風に乏しく生活不規則(中略)山形民に比すれは雲泥の差」「服裝最も華美なりとの評」 「飮酒の癖あり」「進取力に乏しき」。 「當時の文獻と現代の特徴はほとんど變はつてゐない」と、一月に開かれた公開フォーラムのパネリストで『あ やぶにらみ秋田經營風土記』(無明舍)などの著作がある會社顧問、荒谷紘毅氏は嘆く。「今と昔では秋田を取り卷く環境が全く異なる。日本の經濟構造が變はり地域格差が廣がるなか、惡しき地域性を直していかねば、自殺率やがんの疾病率は改善しないだらう」 「秋田の將來研究會」はエピソードを下敷きに報告書で、(一)子供からの變身(二)家庭からの變身(三)男の變身(四)リーダーの變身の「四つの變身」を提案。具體案には、子供や親子對象の「お財布教育」や、變身を果たした團體やそのリーダーを表彰する「變身大賞」などが提案された。 縣總合政策課は「例へば、子供のころから『お財布教育』で 經濟觀念が身につけば、見榮つ張りな縣民性から、多重債務に陷り、最後は自殺に繋がるといつた惡循環を斷てる」と話す。今月中に「縣教委など關係機關に報告書を上げ、施策政策に反映させる方針」だ。 一方、プロジェクト自體への反對論もある。アンケートでも一割程度が反對意見だつた。 『出身縣でわかる人の性格 縣民性の研究』(新潮社)などの著作がある岩中祥史氏も懸念を示す。「想像力豐かな秋田縣人らしい著眼だが、縣民性の良い部分と惡い部分は表裡一體で個人の性格と同じ。現在の秋田の嚴しい環境を思へば、『變へたい』との思ひは分かる。だが時代によつて、縣民性がプラスになる時代もあれば、マイナスに働く時代もある。そもそも縣民性は變へようと思つて變へられるものか疑問だ」 贊否兩論が寄せられたプロジェクトだが、「數百年をかけ培 つてきた縣民性を變へるのは難しい」(荒谷氏)といふ點では皆、一致してゐる。一方、縣は「報告書で縣民が自分たちの性格を自覺するきつかけになれば」と話す。 今月十六日、民間の元メンバーの有志が縣廳に集ひ、「秋田人變身プロジェクト推進協議會」を發足。湯瀬早百合會長(五十七)らは「報告書でプロジェクトを終はらせるのはもつたいない」とし、第二囘の公開フォーラム開催などを決めた。 秋田人の變身は始まつたばかり。だが「コラ 何につけても一杯呑まねば物事はかどらぬ」(秋田音頭)と悠長に歌つてゐる時代は過ぎ去つたことだけは慥かなやうだ。 ■秋田縣の持つ「全國一位」 本文中の十二年連續でワースト一位の自殺率や、子供服購入費以外に、癌死亡率(十年連續)、腦血管疾患、肺炎の死亡率 が全國一位。不慮の事故による死亡率は全國二位。さらに出生率は十二年連續で、自然増加率は十一年連續で、婚姻率は七年連續でワースト一位(十八年の調査)。 一方、刑法犯認知件數は全國最少。中學二年の身長が男女ともに一位。昨年の全國學力調査では、小學生が全國一位、中學生もトップクラスだつた。 秋田人の性格を表す例え話として「岩手人は『俺もやるからお前もやれ』、山形人は『俺はやらないけどお前はやれ』、そして秋田人は『俺もやらないからお前もやるな』」が有名(秋田人變身プロジェクト報告書別册より)。 (平成二十年四月三十日 午後三時四十九分 産經新聞) 平成廿年 九月十三日 マリスヤンソンス 倫敦フィルハーモニー管絃樂團「リムスキーコルサコフ 西班牙綺想曲」を聽き乍ら コメント・トラックバックは豫告無しに削除する場合があります。あらかじめご了承下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月14日 12時51分42秒
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