天保暦十二月五日 納めの水天宮 聖徳太子が冠位十二階制定 師走 雉はじめて鳴く
平成廿二年歌会始の御題は光
東京都 古川信行
燈台の
光見ゆとの
報告に
一際高し
了解の聲
静岡県 小川健二
選果機の
ベルトに乗りし
我がみかん
光センサーが
糖度を示す
群馬県 笛木力三郎
冬晴れの
谷川岳の
耳二つ
虚空に白き
光をはなつ
北海道 西出欣司
前照灯の
光のなかに
雪の降り
始発列車は
我が合図待つ
兵庫県 玉川朱美
梅雨晴れの
光くまなく
そそぐ田に
五指深く入れ
地温はかれり
長野県 久保田幸枝
焼きつくす
光の記憶の
消ゆる日の
あれよとおもひ
あるなと思ふ
大阪府 森脇洲子
我が面は
光に向きて
ゐるらしき
近づきて息子は
シャッターを押す
東京都 野上卓
あをあをと
したたる光
三輪山に
満ちて世界は
夏とよばれる
福岡県 松枝哲哉
藍甕に
浸して絞る
わたの糸
光にかざす
とき匂ひ立つ
京都府 後藤正樹
雲間より
光射しくる
中空へ
百畳大凧
揚がり鎮まる
「大いなる秋田」東京公演