皇室典範に関する有識者会議 報告書 七
《天皇(男性)の配偶者は皇后、天皇(男性)の寡婦は太皇太后、皇太后と称されている。また、親王、王の配偶者には、それぞれ、親王妃、王妃の名称が用いられている。女性天皇、内親王、女王の配偶者等についても、専門的知識を有する有識者等の知見も得て、適切な名称を定める必要がある》 右の件くだりを見ると「皇室典範に関する有識者会議」の面々は自分達が「専門的知識を有する有識者等」ではないことを認めている様だ。 さて、女性天皇の配偶者に対する名称だが、外国の女王が婿を取った時には「皇配殿下」と呼んでいる。これをそのまま女性天皇に当てはめるには二つの問題点がある。 一つは「殿下」と言う尊称である。「皇后」は「陛下」であり、「天皇皇后両陛下」と並び称せられる。 「殿下」は「陛下」より格下なので、女性天皇の場合は「皇配陛下」、並び称する時には「天皇皇配両陛下」になる。 もう一つは「皇配」が「交配」を連想させるという下世話な問題。「天皇」「皇配」と並べるのは憚はばかられてしまう。 ジェンダーフリー命の有識者面々は「交配野郎」を「陛下」とお呼びできるような尤もっともらしい名称を編み出さなくてはならないのだが、悲しいかな、專門的知識を有しないので、人任せにせざるを得ない。 さて本日は皇室典範に関する有識者会議の報告書、七回目。 このたびの「皇位継承問題」に関し、政府に物申すという方は左記のフォームより。内閣官房「ご意見募集」首相官邸「ご意見募集」皇室典範に関する有識者会議報告書平成十七年十一月二十四日目次はじめに一、問題の所在二、基本的な視点一、国民の理解と支持を得られるものであること二、伝統を踏まえたものであること三、制度として安定したものであること三、安定的で望ましい皇位継承のための方策一、皇位継承資格(一)男系継承の意義等(二)男系継承維持の条件と社会の変化(補論)旧皇族の皇籍復帰等の方策(三)女子や女系の皇族への皇位継承資格の拡大の検討(四)今後の望ましい皇位継承資格の在り方二、皇位継承順位(一)皇位継承順位の設定方法(二)直系優先の原則と男子優先の原則(三)「長子優先」と「兄弟姉妹間男子優先」三、皇族の範囲(一)皇族の範囲の考え方(二)永世皇族制と世数限定制(三)皇籍離脱制度四、その他関連制度(一)女性天皇、内親王、女王の配偶者に関する制度(二)摂政就任資格・順序(三)皇室経済制度結び参考資料「皇室典範に関する有識者会議」について(続き)(二)永世皇族制と世数限定制 現行制度では、皇族女子は天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れることとされているが、女子が皇位継承資格を有することとした場合には、婚姻後も、皇位継承資格者として、皇族の身分にとどまり、その配偶者や子孫も皇族となることとする必要がある。 その場合、将来的に皇族の数が相当程度増加する可能性もあるため、天皇と血縁の遠い子孫から皇族の身分を離れるという考え方の下に、一定の世数を超える子孫を一律に皇族でなくする世数限定の制度をとることも考えられる。しかしながら、世数限定の制度をとった場合には、歴代の天皇や天皇の近親の皇族に、一定数の子が安定的に誕生しなければ、皇位継承資格者の存在に不安が生じることになるため、現在のような少子化傾向の中では、世数限定の制度を採用することはできない。このため、現行制度の考え方を踏襲して、天皇・皇族の子孫は世数を問わず皇族の身分を有するいわゆる永世皇族制を前提にした上で、その時々の状況に応じて、弾力的に皇籍離脱制度を運用することにより、皇族の規模を適正に保つこととすることが適当である。〔参考三十、三十一〕 なお、現在の皇族女子については、婚姻により皇籍離脱する現行制度の下で成長されてきたことにも配慮が求められる。その際、世数、皇室の構成等も勘案する必要がある。(三)皇籍離脱制度 皇籍離脱制度については、現行制度では、親王は意思による離脱ができないのに対し、内親王は、王や女王と同様、皇室会議の議により、意思による離脱ができることとされている。これについては、女子も皇位継承資格を有することとする以上、親王と内親王とを区別する理由はないこと、親王・内親王と王・女王との間では、皇籍離脱の条件等に差が設けられるべきであることから、内親王に関する制度を親王に関する制度に合わせ、共に意思による離脱ができないこととすることが適当である。 また、やむを得ない特別の事由があるとき、皇室会議の議により、皇籍を離脱する制度については、現行制度と同様、親王、内親王、王、女王すべてについて可能とすることが適当である。現行制度では、皇太子及び皇太孫については、やむを得ない特別の事由による皇籍離脱制度が適用されていないが、今後は、女子の皇太子及び皇太孫についても、同様の制度とする必要がある。 親王・王が皇籍離脱する場合等の配偶者や直系卑属等の離脱の制度は、内親王・女王の離脱の場合等もこれと同様の制度となるよう見直しを行う必要がある。 皇籍離脱制度により皇族の規模の調整を行う場合には、以下のような点に配慮し、円滑な運用を図る必要がある。・若年の皇統に属する皇族の数を目安として、将来における皇族の規模の適正化という観点から、離脱の要否を判断する。・原則として世数の遠い皇族から離脱する。・離脱の決定は、当事者の将来予測を可能にするため、適切な時期に行う。四、その他関連制度 現行制度には、以上のほかにも、皇族男子と皇族女子との間で差異が設けられているものが存在する。これらは、主として、皇位継承資格の有無に基づくものであり、皇位継承資格を女子にも拡大することに伴い、見直しが必要となる。具体的には、以下のような関連制度について、基本的には皇族女子に関する制度を皇族男子に合わせる方向で見直すことが必要である。〔参考三十二〕(一)女性天皇、内親王、女王の配偶者に関する制度一、配偶者の身分 現行制度では、天皇(男性)、親王、王の配偶者は皇族となることとされている。これと同様に、女性天皇、内親王、女王の配偶者も皇族の身分を有することとする必要がある。これに伴い、戸籍上の扱いも、天皇(男性)、親王、王の配偶者と同様、婚姻の際に、その戸籍から除かれ、皇統譜に登録することとする必要がある。二、配偶者の名称 現行制度では、天皇(男性)の配偶者は皇后、天皇(男性)の寡婦は太皇太后、皇太后と称されている。また、親王、王の配偶者には、それぞれ、親王妃、王妃の名称が用いられている。女性天皇、内親王、女王の配偶者等についても、専門的知識を有する有識者等の知見も得て、適切な名称を定める必要がある。 なお、天皇、皇太子、皇太孫という名称は、特に男子を意味するものではなく、歴史的にも、女子が、天皇や皇太子となった事実が認められるため、女子の場合も同一の名称を用いることが適当である。三、配偶者の敬称等 現行制度では、皇后、太皇太后、皇太后の敬称は、天皇と同様「陛下」とされ、その他の皇族は「殿下」とされている。また、陵墓についても、皇后、太皇太后、皇太后は、天皇と同様「陵」、その他の皇族は「墓」とされている。女性天皇の配偶者、寡夫についても、これと同じく、天皇と同様の敬称等とする必要がある。四、婚姻手続き 現行制度では、天皇(男性)、親王、王の婚姻は、皇室会議の議を経ることとされている。これと同様に、女性天皇、内親王、女王の婚姻についても、皇室会議の議を経ることとする必要がある。(続く)平成十七年 十二月二十一日 宮田耕八朗「秋田菅垣」を聴きながらコメント・トラックバックは予告無しに削除する場合があります。あらかじめご了承下さい。