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河内保二主宰の経済工学リサーチの発信情報

製造業の存続論

製造業の国内空洞化が加速してきたと、内閣府が調査の結果を発表した。海外現地生産比率は今後五年間に3.8%上昇し、2006年度には15.8%に達する見通しだという。価格競争に対応するため、製造業の18.9%が中国などに工場を建設するとしている。2001年度の製造業の海外現地生産比率は12.0%となり、前年度比0.9ポイント上昇し、電気機器や一般機械などの加工型業種で上昇幅が大きくなっている。総務省によると、国内の中小製造業は、1999年時点で約60万社であったが、3年間で1割近く減ってしまったという。しかし、商工総合研究所によると、生き残りの約6万社は着実に成長軌道にあるともいわれている。勝ち組の中小製造業として、注目を集めているのが、靴下メーカーのダン。同社は社員百人弱の中小会社であるが、ITを駆使して、在庫と欠品をなくすビジネスモデルを築き、その売上高は2002年2月期に88億円と、この十年で倍増の勢い。5千種に及ぶ靴下の売れ筋を瞬時に把握する。工場は好調な商品を翌日に補充、不調なら生産を即刻止める。「売り逃しと売れ残りをなくせ」と、品質を高めながら在庫・欠品ゼロを目指す。まさに生産の究極目標だ。このように、生産での売り切れのリスクと、売れ残りのリスクをなくして、丁度売り切るノーリスクの理想を目指すべきである。ダン社の挑戦はクィックレスポンスを実現し、日本の製造業のあるべき姿であり、その成功例である。ついにロンドンのキングスロードに海外第1号店を開店した。ハーバート大ビジネススクールから調査に来るほどである。ものつくりの勝ち組入りは、小規模の中小企業にもチャンスがある。その理由はものつくりの変容にある。そこで、ものつくりについて振り返ってみると、イギリスの産業革命が、ものつくりに動力を用い、機械を使うことを始めて、このため労働者が1カ所に集まる必要により家内工業から工場制工業に移行したわけである。市場を通じての分業から組織内の分業が有利になった。そして仕事の分業が行われるようになる。
この分業のメリットについては、沼上幹・一橋大教授によると、アダム・スミスは「個々の作業への習熟効果」「段取り換え時間の節約効果」「機械の発明効果」を上げ、さらにチャールズ・バベッジは「一つのまとまった作業に適する作業者を選ぶことより、作業を分業してその一つ一つに適した作業者を選ぶことの方が容易で、より低い賃金で仕事をすることができる効果」を上げていると説明している。このようにして、生産の効率化は組織の大規模化を促すことになり、20世紀の大量生産では大型規模が前提となった。日本における生産もこの路線を踏襲して世界の工業大国を築いたのである。そして、今中国はまさにこの路線で世界の工場として追い上げつつある。しかし、常識化した規模の大型化信仰を揺るがすのが、IT技術の進歩である。情報処理・通信コストの著しい低下によって、分業を実現する手段としての組織の重要性が下がり、市場の重要性が高まる。このため、大組織の有利性が低下し、小組織の有利性が高まる。技術進歩が急速であることは、小回りの利く小組織の有利性をさらに高める。野口悠紀夫・青山学院大学教授によれば、現在の米国経済を主導する企業は、従来の巨大企業ではなく、規模が小さくて価値の高い企業だとされる。そして、中国になくて、日本にあるのが、コンベヤーを撤去して、セル生産方式で多高短少(多品種・高品質・短納期・少量)生産をこなせる多能工の熟練作業者の存在である。中国の脅威、アメリカの底力にどう立ち向かうのか。日本を救うただ一つの道を示す男の全哲学、全ノウハウとして、山田日登志著の新刊「現場の変革、最強の経営─ムダとり」(幻冬舎)が刊行された。生産現場からベルトコンベヤーの撤去、マイ
スター制度、一人屋台生産方式、セル生産方式、活人・活スペース、間締め、多能工、からくりなど、常識破りの生産方式が日本の製造業を救う。取り入れている会社は、ソニー、キャノン、NEC、三洋電機、トステム、スタンレー電気、松下電器など、全国200社を勝ち組企業へと導く救世主・山田日登志による「メイド・イン・ジャパン復活」の著書である。




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