河内保二主宰の経済工学リサーチの発信情報

2017/06/12(月)18:02

9日の日記

変わる産業と変わる社会の姿  経済産業省は去る3月20日、日本の産業が目指す姿を示すコンセプトとして「Connected  Industries(つながる産業)」を発表した。ドイツの「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」、フランスでの「Industrie du Futur(産業の未来)」などのプロジェクトに当たるもので、今後日本も「Connected Industries」を軸として施策を展開していくということである。  ドイツやフランスの先行する取り組みとして、IoT(モノのインターネット)とデータの分析および活用技術の進展により、産業の在り方が大きく変化する「第4次産業革命」に世界中から大きな関心が集まっている。第4次産業革命は、第1次の蒸気機関、第2次の電気、第3次のコンピュータの次として、IoTなどを駆使した産業の変化を示すもの。第4次産業革命による変化は技術だけでなく、社会制度や規制、教育などさまざまな領域に及ぶ。そのため、政府が主導し産官学の連携で推進するケースも多い。日本政府は、政府主導の将来の産業コンセプトとして「Connected Industries(つながる産業)」を発表したもので、今後、同コンセプトを軸に各種施策を進めていく。  こうした産業の変革の一方で、日本では「科学技術基本計画」の中で、社会そのものが新しい技術によって変革する「Society 5.0」を訴えてきた。「Soceity 5.0」とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、新たな社会の実現に向けた取り組みだとし、目指す姿は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」とし、この実現に向けた取り組みを進める方針を示した。  超スマート社会とは「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会のさまざまなニーズにきめこまやかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といったさまざまな違いを乗り越え、生き生きと快適に暮らすことのできる社会」だとしている。  今回新たにコンセプトとして打ち出された「Connected Industries」は、「Society  5.0」を背景に、あらためて産業領域での日本の強みと、それを織り込んだ新たな産業の未来像を訴えるものであるという。  このような将来展望は先見の明とみることもできよう。日本は「先見の明」で世界一位であったと、毎年恒例となった、「世界一の国」ランキングで、発表されている。米誌USニューズ&ワールド・レポートが毎年発表しているランキングで、日本は、総合ランキングで昨年から2つアップして5位となった。なかでも、「先見の明のある国ランキング」では1位となったという。  筆者の提唱してきた[客業生産]の理念が、将来、生産に留まらず、社会のあり方にも拡大浸透して行くことに強い関心を向けている。

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